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歴史学との出会い⑤:見慣れた景色が違って見えるとき

アメリカン・スクールでの歴史学との出会いについて、辛く苦しかった経験ばかり書いてきましたが、歴史の授業ってこんなに面白いんだと思うこともありました。

日本の歴史の授業では、基本的に先生が歴史の流れはこういうものですよ、と一方的に話して、それを理解したり覚えたりすることばかりでした。

アメリカン・スクールでは、教科書を読んできて、先生から投げかけられる問いについて、みんなでディスカッションするような授業でした。ディスカッションには、うまく参加できませんでしたが、色々な意見や物の見方に触れることができて、とても面白かったです。

特に印象に残っているのが、第一次世界大戦と第二次世界大戦の違いについて比較していたときです。

ある生徒が、第一次世界大戦はオーストリアの皇太子夫妻の暗殺という偶発的な事件によって起こったのに対して、第二次世界大戦はドイツのヒトラーが計画的にヨーロッパを侵略しようとしたために勃発したと述べました。

その意見に対して、先生が、確かにそう思えるところはあるけれど、本当にそうなのだろうか?と問いかけてきました。

つまり、第一次世界大戦は暗殺がきっかけではあるかもしれないけど、それまでの外交的な構造から不可避だったかもしれないし、第二次世界大戦についても、ヒトラーはイギリスやフランスの宥和政策が続くと思ってポーランドを侵攻して、世界大戦を望んでいたわけではないのではないだろうか?と。

その時に、歴史がこれまでと違ってみえてきました。もちろん、先生の述べた解釈の是非はともかくとして、それまで当たり前だと思っていた歴史の理解を揺さぶられました。

これこそが、歴史学の最大の魅力だと思い続けています。

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