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下田と南伊豆を旅する 《5》 記憶

生まれて初めての記憶は、下田。
もちろん、そこが下田だったことは、あとから教えられて知ったんだけど。
母親の腕に抱えられ、薄暗くぼんやりとした田舎道を、海に向かって歩いている。
その瞬く間の、映像のような、切り取られた一場面のような、遡り得る限り最初の記憶。
「母親の腕に抱えられ」とは、景色の視点の高さから、そう想像しているに過ぎない。まだ哺乳瓶が必要な年ごろに、家族で下田に海水浴に出かけたという話だから、たぶんそれで間違いないだろう。
もしかしたら、遊び終えて海から帰る途中だったのか。
あるいは、朝か夕方に、宿の周辺を散歩したときの出来事だったか。
今となっては確かめようもない、どこか夢の中にも思える記憶だ。

今回は、ごくごく個人的で、情緒的な話題でした。


南伊豆町で出会った「日野(ひんの)の菜の花畑」。
一面に広がる春の色と香り。

(訪問日:2023年3月8日)


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