ぶらり京都【後編】
インバウンドで賑わう京都も、有名観光地から外れると、途端に人影が薄くなる。
国立博物館で「雪舟展」を観たあと(雪舟のみならず、江戸時代までのあらゆる著名絵師作品のオンパレードだった。よくぞこれほど集めたもの!)、高校の修学旅行以来となる三十三間堂にお参りし、養源院、法住寺の前を通って、新熊野神社へ足を伸ばした。
新熊野神社は、熊野詣を厚く信仰した(というより、偏執的に参詣を繰り返した)後白河上皇が、熊野は遠すぎるというきわめてわがままな理由で、ついに都に勧請してしまったお社である。
上皇お手植えとされる大樟が、いまも元気に緑を茂らせていると聞き、訪ねてみた。
新熊野神社のことを知ったのは、京都検定1級挑戦中・noteに数々の神社仏閣訪問記を綴っているヤマダナガオさんの記事。
ヤマダさん、ありがとう。いつも興味深く読ませていただいています。
新熊野神社の目の前は、府道143号線の幅広な4車線道路で、昭和を彷彿させる色褪せたアーケード商店街が、緩やかなカーブに沿って続いていた。
歴史の栄枯盛衰に想いを馳せたのち、来た道を戻り、豊臣秀吉を祀る豊国神社に参拝。
9月の個展成功を祈願して、瓢箪型の絵馬を奉納した。
新熊野神社も、豊国神社も、参拝者はわずかしかおらず、密やかな空気が流れていたのが、かえって印象的だった。
備忘として、観光客目線の感想を二つほど。
一つ目は、京都では、普通の夕飯が食べられるお店を探すのに苦労した。
京都の夜はどうやら、お酒を嗜む人にとっては天国の街に変貌するみたいで...…。
もう一つは、京都名物の珈琲店をいくつかハシゴできたのが楽しかった。
個人的な好みは、小川珈琲かな。苦味と酸味のバランスの良さで。パンチの効いた苦味の前田珈琲も推したい。