今日届いた旧ミサ (現行「特別形式」ミサ) の解説書を早速ちょっと開いてみたら,グレゴリオ聖歌の入祭唱 (Introitus) の理解のために重要なことが書いてあったので訳してシェアします。もともとは全部で1段落ですが,分かりやすくするため適宜改行を入れます。
入祭唱では詩篇唱は1節 (旧ミサではそれとGloria Patri) だけ歌うということにしたとき,機械的に最初の節を残した結果,こうなってしまったわけですね。しかしそれなら,典礼書にどう書いてあるかにかかわらず,その詩篇の中でどこが一番よくアンティフォナに (あるいはそのミサ全体に) 合うかを考え,その節を歌ったほうがよいのではないかと思います。
今後「グレゴリオ聖歌逐語訳シリーズ」で入祭唱を扱うにあたっては,新たにこの観点からも詩篇唱について考えることにしたいと思います。なるべく第119 (Vulgata:118) 篇がこないことを願いつつ。
【追記1】
ところで,最初の節にその詩篇全体を代表させるというのは,まさに「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」で行われている (とも言われる) ことですね。
【追記2】
昔も,必ずしも最後まで詩篇が歌われていたわけではありません。入祭唱は司祭 (たち) と侍者たちが入堂して位置につくまでの間歌われるものですから,その動きが完了したらそれ以上続ける必要はない (むしろ長くならないほうがよい) ことになります。同書のほかの箇所によると,司式者が「もういい,Gloria Patriに行って終わらせなさい」という合図を出したりしていたようです (Gloria Patriは詩篇唱の締めにほぼいつも歌われる栄唱のこと)。