拝領唱 "Notas mihi fecisti vias vitae" (グレゴリオ聖歌逐語訳シリーズ5)
GRADUALE ROMANUM (1974) / GRADUALE TRIPLEX pp. 362–363; GRADUALE NOVUM I p. 223.
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更新履歴
2023年10月4日 (日本時間5日)
現在の方針に合わせて全面的に改訂した。
2018年11月13日 (日本時間14日)
投稿
【教会の典礼における使用機会】
【現行「通常形式」のローマ典礼 (1969年のアドヴェントから順次導入された) において】
1972年版Ordo Cantus Missae (GRADUALE ROMANUM [1974] / TRIPLEXはだいたいこれに従っている) では,次のようにさまざまな使用機会がある。
四旬節第3週の水曜日
年間第1週の火~土曜日
年間第31週 (木曜日を除く)
「教会博士」のCommune (Communeとは,あるカテゴリーに属する聖人を記念するミサで共通に用いられる式文のこと) ……複数ある選択肢のうちの一つ
「教育者」のCommune ……複数ある選択肢のうちの一つ
聖トマス・アクィナス (1月28日)
シエーナの聖カテリーナ (シエナの聖カタリナ) (4月29日) ……複数ある選択肢のうちの一つ
マグダラの聖マリア (7月22日)
すべての亡くなった信者の記念 (死者の日,万霊節。11月2日) ……複数ある選択肢のうちの一つ
おとめの奉献や修道者の誓願 ……複数ある選択肢のうちの一つ
死者の埋葬の日および諸々の追悼記念 ……複数ある選択肢のうちの一つ
2002年版ミサ典書では,この拝領唱は四旬節第3週の水曜日と年間第31主日 (※) のところにだけ記されている。
【20世紀後半の大改革以前のローマ典礼 (現在も「特別形式」典礼として有効) において】
1962年版ミサ典書での使用機会は未調査である。いつか調べることがあったら追記する。
AMSにまとめられている8~9世紀の聖歌書では,この拝領唱は四旬節第3週の水曜日にのみ割り当てられている。
ただし聖歌書によって (地域によって) 数え方が異なっていたようで,Rheinau (ライナウ) とCompiègne (コンピエーニュ) の両聖歌書ではこの週は第2週となっている (正確にいうと「第○○週」という記述はなく,主日のところに「第2主日」と書かれている)。数字が異なるだけで,実際に用いられたタイミングは同じである。
【テキスト,全体訳,元テキストとの比較】
Notas mihi fecisti vias vitae: adimplebis me laetitia cum vultu tuo, Domine. T. P. Alleluia.
あなたは私に生命の道々を知らせてくださいました。あなたは御顔によって私を喜びで満たしてくださることでしょう,主よ。(復活節には) ハレルヤ。
詩篇第15篇第10節の一部 (ヘブライ語聖書では第16篇第11節の一部,七十人訳ギリシャ語聖書では第15篇第11節の一部) が用いられている。テキストは,最後に "Domine (主よ)" という呼びかけが加えられていることを除いては,ローマ詩篇書にもVulgata=ガリア詩篇書にも一致している (「ローマ詩篇書」「Vulgata=ガリア詩篇書」とは何であるかについてはこちら)。
【対訳・逐語訳】
Notas mihi fecisti vias vitae:
あなたは私に生命の道々を知らせてくださいました。
直訳:あなたは生命の道々を私に知られるものにしてくださいました。
英訳 (DRAを現代語に直したもの):You have made known to me the ways of life. (DRAのこの箇所へのリンク)
adimplebis me laetitia cum vultu tuo, Domine.
あなたは御顔によって私を喜びで満たしてくださることでしょう,主よ。
T. P. Alleluia.
(復活節には) ハレルヤ。
上述の通り,この拝領唱はさまざまな機会に用いられ,復活節に当たることもある。復活節には何でもかんでも "alleluia (ハレルヤ)" をつけて歌うことになっているため,そのための "alleluia" がついているわけである。