書評 見抜く力 佐藤優著
雑誌プレジデントで掲載された対談を収録している。
独自の理念を持つ企業経営者、人材の育成に尽力する大学の学長、最先端分野に携わる研究者など、一級の人との対談をもとに彼らの独自の目、見抜く力が象徴的に現れた言葉を抜き出して紹介している。
対談の収録にとどまらず、著者の見解もふんだんに盛り込まれているため、読み応えがあった。
新聞では読めないであろう物事の見方を得ることができると感じた。
例えば、
電気自動車の普及が国際テロリズムとの戦いにおいて大きく貢献すると書かれている。
現在のガソリン主流の環境では、石油を使用することが中東テロリストの資金源につながっていた。
しかし、自動車が電気に変わることによって、石油に依存しない世界が生まれることでテロの資金源を挫くことが可能。
様々な見抜く力のほかに著者のノートの使い方やスケジュール管理方法についても紹介されている。
驚いたのは、基本的に原稿は締め切り当日に書くそう。
普通の人は綱渡りで仕事をするのはリスクが高いと思いがち。
だが、当日に書き上げることのメリットには以下のようなおのがると説明する。
・そもそも仕事には、適切なタイミングがある。
・原稿を前もって書いておくと、テーマが古くなる恐れがある。
・事前に書いておくと、古くなった原稿を取り出す羽目に陥る。
・予定を詰め込んでギリギリの状況に自分が追い込んだほうが、いい仕事ができる。
このようなことができるのは、著者が膨大な知識を所有しているからではないかと思った。
知識がおぼつかない人は、いろいろと調べながら書くはめに陥り、時間を費やしてしまう。
常に書く準備が脳内でできているからこそ成しえる方法だと感心した。
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