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3号 家族連れが集う南信の森の"いい会社"

世界一の自動車メーカー、トヨタ自動車の
豊田章男社長も見学に訪れた食品メーカーが
自然豊かで高遠城の桜が有名な長野県南部の
伊那市の片隅にある。
(※写真はこの日の諏訪湖)

会社の社是は"いい会社をつくりましょう"
たったこれだけの言葉に込められた想いとは

これから紅葉が見頃を迎える10月中ば
午前10時の現地集合に遅れまいと首都高から
中央自動車道へと一人愛車を走らせる。
久しぶりに見る諏訪湖は何だか物寂しい。

ナビに言われるまま行き着いた先は
そこだけ別世界と思うほどの静寂な森の庭園
場違いとさえ思われるようなロケーションに
伊那食品工業の工場が見えてきた。

ここが本当に目的地で間違いないよね?
思わずiPhoneの地図アプリを確認するくらい
工場が存在するとは思えない環境だった。

私も若い頃に機械メーカーの製造工場に
海外営業として勤務した経験があるが、
あぁ、もう何から何まで違うと感じた。

今回の企業訪問に誘ってくれた同業の仲間や
全国各地の経営者、経営幹部の方々と合流。
オフィス棟の前で伊那食品工業の井上会長が
笑顔で出迎えて下さいました。

毎日寒天を食べるから毎朝のお通じも順調
そんな話を挨拶がわりに工場見学がスタート。

綺麗に整理整頓された清掃道具の倉庫
毎朝社員が自分達で清掃する場所を決め、
自主的に綺麗な環境を維持する仕組み。
昔工場周りの清掃を嫌々やっていた自分が
とても恥ずかしい。。。

残念ながらこの日は雨だったが、
会長が仰る通り、地面に広がる苔が美しい。

実際に稼働している製造工場のラインも
見せてもらうことができた。
工場内で働く殆どが女性、男性は極少数。
腕力の弱い女性が重たい製品を持ち上げずに
済むような配慮から生まれた設備投資。

わざわざ機械を止め、生産効率を下げても
全従業員が一斉に休憩時間をとる。
おやつ代も福利厚生で負担しているとか。

従業員の幸せを第一に考える経営姿勢が
ただの言葉だけではなく、現場を見ることで
より深く伝わってきました。

研究開発棟、芸術が楽しめるホール、
日本中の美味しいものを集めた物産店、
寒天製品が購入できるスーパー、
お蕎麦、洋食、和食をそろえた飲食店、
全てを紹介しきれないのが残念。
土日は家族連れで賑わうそうです。

一通りご案内頂いた後は井上会長のお話。
事前にお送りしておいた質疑応答にも
快く回答して下さりました。

特に印象に残っている話を共有したい。

大口顧客との付き合いもあるが、
町の小さな和菓子屋さんとの付き合いを
とても大事にしていると仰っていた。
会社にとって必要な要望を挙げてくれるのは
こういう小口のお客様なのだそうだ。

"いい会社"というのは、業績が良い会社と
いう意味ではないとも仰っていた。
売上高や利益といった数値が良いというのと
従業員が自ら動く仕組みや環境の良さとの
違いがなんとなくだが感じ取れた。

数値目標はトップダウンでは立てません!!
これだけの規模の会社が数値目標を立てずに
どうやって経営数字を管理するのか?
と一瞬耳を疑ったが、そうではなかった。

一人一人、部署ごとで数値目標を掲げる
トップダウンではなく、ボトムアップで
そうやって押しつけの数値目標ではなく
自分達で考え、納得した数値目標がある
だからこそ結果として右肩上がりの成長が
あるのだろう。

工場見学の際に階段に落ちた小さな紙屑を
さりげなくさっと拾う従業員の姿も
印象的だった。

私もいい会社、いい人、いい仕事の
繋がりを大切にしていきたい。


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