#2「私たちは子どもの声を聞いているのか~若者に広がる “気候不安症”~」②
前回の記事に引き続き、気候不安に焦点を当てた「第2回オンライン勉強会」において、気候不安の対処法を学びながら、教育に何ができるかを考えました。教育現場で働く参加者、子育てをする参加者、教育に関心がある参加者等、「気候変動 X 教育」を軸に新たな重要な対話の場が生まれています。
“気候不安” の対処法
残念ながら、気候変動がこれだけ深刻化する中で解決策はないかもしれませんが、いくつかの対処法は示されています。
ELEMINISTには、①自然の中で過ごして癒しの時間をもつこと、②自分でできる行動や人とともに行動を起こすこと、③家族・友人・専門家とコミュニケーションをとること、④情報の適切な管理やデジタルデトックス等が提案させています。
気候に詳しいセラピストは、環境不安や悲嘆に関連しがちな無力感に対処する方法として、アクティビズムや自然の中で過ごすことを推奨する (Whitcomb, 2021)。自然の中で過ごすほか、ガイドのある瞑想をして、平和な状態を想像したりすることで、「マインドフルネス」な状態になり、気候変動への不安や悲しみに伴う激しい感情に対処するのに役立つことが示されています。
また、気候変動活動に対する取り組みを(一人ではなく)集団で行うことで、気候不安症とうつ症状との関連が大幅に減少することもわかっている(Schwartz, S.E.O., Benoit, L., Clayton, S. et al. ,2023)。
セラピストの力を借りることは重要だが、アメリカにおける2016年の調査によると、5人に1人のセラピストが「幻想的だ」「おおげさすぎる」等と不適切な対応をとっているため、セラピストの研修が急務である (Whitcomb, 2021)。
教育が気候不安解決の鍵ともなる。気候変動の①原因,②根拠,③予測,④適応策と緩和策を教育したところ、気候変動の知識が増しただけではなく、自分の将来に対する不安度がやや軽減し、熱意が増し、行動しようと思う意欲が増した (Thomas Isaac, 2019 | TED)。
参加者の声:
気候不安への理解と支援
気候変動に対する不安を軽視せず、「不安は感じて良い」と伝えられる環境作りが求められている。感情の扱い方や心のケアを学べるようにすること、特にカウンセリングや感情を扱う教育の場が必要なのではないか。
マインドフルネスの導入
不安な状況下でも自分の心と向き合えるよう、マインドフルネスやリラクゼーションの機会を提供したい。これにより、子どもたちが将来に向けて自己肯定感を育めるのではないか。
教師自身の知識と意識向上
教師が気候変動を自分の課題と捉え、積極的に学ぶことで、子どもたちの置かれている状況を自分事として理解できるようになる。専門家との連携も重要で、教室での対話の場を設け、子どもたちが考えや感じたことを自由に表現できる環境を整えたい。
成果が見える学習の導入
気候変動問題に関わる実際の取り組みを紹介し、行動が無駄ではないと子どもたちに感じさせることで、無力感を和らげ、積極的な態度を引き出すことを重視したい。
環境教育
気候変動の原因、現状、対策を正しく誠実に伝える。また、知識を伝えるだけの受け身の授業だけではなく、プロジェクト型・探求型・対話型の生徒主体の授業が必要。
ローカルとグローバルの視点を学ぶ
地域での行動が世界にどのようにつながっていくかを子どもたちに伝えることで、気候変動に対する意識を広げ、自分にもできることがあると感じさせたい。気候変動への理解と意識が、子どもたちの未来への力になる。
今回は2回にわたって、第2回の勉強会の勉強会のまとめをお届けしました。教育現場で働く参加者、子育てをする参加者、教育に関心がある参加者等、「気候変動 X 教育」を軸に新たな重要な対話の場が生まれています。
「気候危機時代に “行動する強さ” と “他者を想う優しさ” を育てられる教育を目指して」というEFFのミッションに共感する方、ぜひお気軽に今後のミーティングにご参加ください。
📣次回の勉強会のお知らせ
2024年11月22日(金)20:00〜21:30
テーマ「私たちは子どもの声を聞いているのか〜行動を起こす子どもたち、若者たち〜」
参加希望の方はこちらよりお申し込みください。
引き続き皆様との学び合いを楽しみにしています!
(文責:小林悠)