#2「私たちは子どもの声を聞いているのか~若者に広がる “気候不安症”~」①
第2回オンライン勉強会では、「気候不安」の定義・現状を共有してから、参加者同士がそれぞれの気候不安の経験を共有し、教育現場や家庭での課題について議論しました。気候変動による不安とその心理的影響に対し、大人として子どもにどう寄り添い支援できるか、教育に何ができるかを考える機会となりました。
“気候不安” とは
・急速に進行する地球温暖化や環境破壊などの変化に反応して高まる感情的、精神的、身体的苦痛(Climate Psychology Alliance, 2020)
・将来起こりうる災害や、自分の子どもを含む人間の存在や世界の将来を憂う感情で、①生理的要素(例:心臓の鼓動や息切れ)や②行動的要素(例:社会的な人間関係や職場・学校での生活に支障をきたす)等に現れる(Yale Sustainability)
・気候不安は、気候変動関連による自然災害を一番に受ける若者世代により多く見られる (Dodds, 2021)
世界でも日本でも 増えている “気候不安”
ELEMINISTにまとめられている内容をみんなで読みながら、気候不安の世界での状況、日本の現状、その原因について学びました。10カ国の若者を対象にした研究によると、「気候変動を心配している」と答えた人が8割を超えることが分かりました。特にグローバルサウスの国では、気候変動による直接的な影響を受けていることがわかりました。
この研究をもとに、電通が日本でも調査したところ、先進国の中での気候不安は高い一方、自分の将来についてはあまり悲観していないという興味深い結果が得られました。
気候不安の影響については、①絶望的なニュースや映像、②自然災害の増加とトラウマ、③政府や企業の不十分な対応等が上げられています。
参加者の声:
初めて気候不安という言葉を聞いた
気候不安を意識的に考えたことがなかったけど、子どもたちが外で遊べなくなる、プールできなくなる、とか子どもたちのことを考えたら気候危機によっていろいろな弊害がでてきて、やりたいことができなくなってしまうということが不安だったり、ストレスにつながったりするのではないか。
気候不安という言葉を初めて知ったが、6月に再エネの電力会社に変えたい時、家族をなかなか説得できなくて、疲れたし、イライラしたことを思い出した。
親としてどうサポートできるか
気候変動に関心を抱き始めた子供が、不安や恐怖を抱くようになり、睡眠や心の安定に影響が出ている。子どもにどの程度気候変動の情報を伝えるべきか、どのように関わるべきか、試行錯誤しながら対応している。
教師として子どもの不安に向き合う
2学期に入って体調が悪そうな4年生の児童に声をかけると、「毎晩暑くて眠れない」と訴えてきた。地球温暖化の話をすると、その児童は「でも私たちにできることないんでしょ」としょんぼりうつむいてしまう。教師として、子ども達が行動することで気候危機を止められると希望をもててないことに焦りを感じた。
長年教師をしてきて、最近の小学校高学年から中学生の子どもたちが不安定な行動を取ることが気にかかる。ある生徒が「なぜ人を傷つけてはいけないのか」という疑問を抱く場面を目の当たりにし、これだけ世界が人を傷つけている中で、子どもたちは既に傷ついているのではないかと感じるきっかけとなった。
大人も不安
子どもが3人いて、子どもたちの未来を想像しながら、自分だけではどうしようもできないなっていう不安にかられることがある。
数年前は自分が気候不安になることはないだろうと思ってたが、最近の気候で、暑すぎて長すぎる夏や、冬でも夏日になるような気候を経験して、気候変動のことで頭いっぱいになってイライラすることが増えている。体力的にも精神的にもきつくて、気候不安と向き合っている。
解決策を知らされていないと不安が強まる
解決策については、2050年までに自然エネルギー100%を目指し、エネルギー効率の向上と脱炭素化を推進することが、子供たちに現実的な希望を示せる方法だ。
メディアがより多くの情報を発信し、気候変動の深刻さを伝えることで、人々が気候不安を理解しやすくなり、行動に移しやすくなる。日本の対策では間に合わないし、逆行していることもあるのが大きな問題だと思う。
📣次回の勉強会のお知らせ
2024年11月22日(金)20:00〜21:30
テーマ「私たちは子どもの声を聞いているのか〜行動を起こす子どもたち、若者たち〜」
参加希望の方はこちらよりお申し込みください。
引き続き皆様との学び合いを楽しみにしています!
(文責:小林悠)