鍵盤音楽作曲家群像2
お気に入りのチェンバロ音楽を紹介します。
チェンバロ奏者もさまざまな方を選んでいますが、私のイチオシをご紹介しております。
ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー
ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(1616-1667)は、シュトゥットガルトに生まれた作曲家で、舞曲形式の組曲の先駆者です。
先述のように、フレスコバルディの下で学び、その伝統にしたがったトッカータ・リチェルカーレ・ファンタジア・カンツォーナなどの対位法的音楽を作曲すると同時に、アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグからなる組曲を多数遺しています。
トッカータ・ハ長調
クリストフ・ルセによる演奏です。
若き日のルセの演奏ですが、若くしてすでに達観したかのような境地を垣間見ます。
楽器もフローベルガーにふさわしいフレミッシュ・チェンバロであるヨハネス・クシェの豊かな響きが魅力的です。
アルマンド・ニ長調
セルジオ・ヴァルトロによる演奏です。
副題として「来るべき我が死への瞑想」と題されていますが、アウフタクトをもつ四拍子のアルマンドの形式に瞑想的要素を含ませている作品と思います。
もちろん、舞曲のアルマンド風に弾くのもアリと思いますが、ヴァルトロの演奏は瞑想に似つかわしい時間軸を引き延ばしたようなゆったりとした演奏で、文字通り瞑想的な作品になっています。
ファンタジア4番・ト長調
エンリコ・バイアーノによる演奏です。
フレスコバルディの記事でも述べたように、ファンタジアというとこの時は対位法を駆使した作品で、厳格な作品が多いのですが、この曲はファンタジアらしからぬ愛嬌のある楽し気な作品です。
フローベルガーは舞曲の方が有名ですので、リチェルカーレなどの収録は少ないです。
また、オルガンによる収録の方が多いかもしれませんので、このファンタジア4番の瑞々しい演奏はなかなかレアでしょう。
フローベルガーの舞曲はおそらく中全音律(ミーントーン)に合わせて演奏されていたのだと推測しますが、そうすると和音の響きがとても美しく、特にチェンバロで演奏される場合は響きの美しさを楽しめます。
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