今日という一日に乾杯するドラマ・居酒屋新幹線2
日に2・3本のドラマを見るのが当たり前だったわたしが、2・3か月に一度しかテレビをつけなくなってしばらく経った。そんなわたしが、今クール観ようと思っているドラマが2つある。その片方が、居酒屋新幹線2。
主演の眞島秀和さん演じる損保会社のサラリーマン・高宮進が、支店の内部監査のため各地に出張。その帰りに、出張先で調達したご当地グルメとお酒を、「居酒屋新幹線」として新幹線の車内で楽しむ。シーズン1は東北新幹線を、現在放送中のシーズン2では北陸新幹線と上越新幹線の沿線が部隊になるそう。
とはいえ、わたしはシーズン1を観ていたドラマファンではない。なんと、うちの推しの子が唄うがエンディングテーマに起用されたのだ。こーれは観ない選択肢はない。や
webでドラマの概要を見たくらいで、それ以外の前情報はほぼないまま、第一話の放送日を迎えた。エンディングが流れるのを心待ちに本編を軽い気持ちで観ていたのだけれど、これが、よかった…!
言ってしまえば、地方に出張した男性サラリーマンが、て、帰りの新幹線で飲食するだけの物語。大きな事件やドキドキする出会いがあるわけでもない。でも、だからこそいいなぁと思った。
監査なんて、一般に煙たがられる仕事だ。わざわざ新幹線に乗って出向いて、自分に与えられた仕事をして、仕事終わりの感想が「今日も嫌われたなぁ」という切ない立場。そんな人物の、一日頑張った自分へのご褒美が居酒屋新幹線なんだ。今日、ここに来てよかった! と思える理由になるんだろう。
何より、高宮が一つずつの瞬間を味わっているのがいい。基本は一人で、心の声だけでドラマが展開していく。第一話では、金沢の街を散策して、地元の老舗和菓子と駅ビルで、食材の仕入れをする。そして新幹線の車内でSNSに写真投稿しながら、一品ずつ食していく。私たちだって普段から買い物や食事はするけれど、こんな風にひとつずつをじっくりとみて、その美しさや味をゆっくりと楽しむことはない。新幹線の車内でじっくりと選んだ食材を楽しみつつ帰る高宮の生き方が、自分の何倍も人生を楽しんでいるように見えて、うらやましくなった。高価なものを買う必要はない。ドラマ内で高宮も、せっかくなら一番高価な「大名御前」というお弁当を……と手を伸ばすも、5,500円もするのは恐れ多すぎると、結局2,700円の「旬華旬彩」というお弁当を購入する。そんな背伸びをしない、自分らしいものを選ぶ価値観にも共感できる。
もう少し、ゆっくりじっくり日常のひとつずつを味わってみよう。それできっと、何でもない毎日は、今より何倍も豊かに膨らんで、特別になる。
ちょうど今日、火曜の深夜放送のドラマなので、よかったら見てみてほしい。番組の最後に「今日という一日に乾杯を 大それた豪華なものじゃなくていい」と優しく唄う杉本琢弥くんの声も、一日の終わりにぴったりだから。