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学年別 中学の三者面談を有効活用するポイント

あっという間に11月になりました。中学1、2年生は少しずつ自分の進路について考え始めている頃だと思います。
中学3年生は、夏から秋にかけて実施された高校の文化祭やオープンスクールに参加し、志望校や併願校がだいぶ固まってきたのではないでしょうか。

当事者である中学生が中心となるべき高校の志望校選びですが、特に第1志望を公立にするか、私立にするかに関しては親子で十分に会話をする必要があります。学校選びの際に親にとって重要なのは「入学やそれ以降にかかる費用」や「学校の進学実績」等の現実的なもの。「充実したスクールライフ」を夢見る中学生とは学校を見るポイントが異なることが多く、どうしても中学生の思いのままに進路を決めることができないのが現実です。

今まさに進路に悩む中学生や保護者にとって、この時期に行われることの多い学校の「三者面談」は少しだけ頭の痛いイベントの1つなのではないでしょうか。

特に中学生は共働き家庭が多くなるため「忙しい仕事の合間を縫ってせっかく参加したのに、全く無駄な時間だった……」という思いは、できるだけしたくないものです。

このブログでは、進路に悩む中学生家庭が、子どもと保護者、双方にとって最適な進路選びに「三者面談を有効活用するポイント」をご紹介します。

1.三者面談の目的とは?(学年別に解説)

小学校の時は、保護者と先生の二者面談が主なので、子どもが中学校に入学して初めて「先生・子ども・親」の三者面談を経験されるご家庭もあるでしょう。
三者面談の回数は、学校や地域によって差があります。全学年2回の学校や3回の学校、1年と2年が2回、3年になると4回の三者面談が行われる学校もあるようです。

「子どもが思春期になってあまり家での会話がなくなった」という家庭も多いことから、学校での子どもの様子や進路について親子、そして先生が認識を共有する大切な機会です。

学年を重ねる毎に面談の内容や、事前に準備すべき質問なども異なるため、学年毎の面談の違いを簡単にまとめてみました。

ー中学1年生

1年生の三者面談では、「学校生活や家庭での様子について」が面談の主な内容です。
初めての成績が出た後の面談では、なぜそのような成績がついたのかを細かく説明してくれる場合もあります。都道府県によっては、高校受験の内申点に1年生の成績から必要な場合もあるため、内申制度等についてもしっかりと確認することをお勧めします。

先生からは、主に学校生活(友人関係や部活、委員会のようす)や成績(授業態度や定期テスト、宿題などの提出状況)などについて話があります。

学校側は、子どもの家庭での状況や親子関係などが知りたいので、子どもが恥ずかしくない程度の家庭での様子や、勉強面で心配なことなどを話すとよいでしょう。

また、子どもについて学校側に知っておいて欲しいことをさりげなく伝える良い機会でもありますね。
先生と保護者はお互いに、学校・家庭では見ることができない子どもの姿を知ることができ、親は学校の方針や雰囲気を知り、先生との関係を築くよいチャンスです。

是非「クラスの生徒の通塾率」「高校受験に向けた勉強法」「高校受験制度」などについて、積極的に質問してください。

ー中学2年生

2年生の三者面談は1年生の時とさほど変わりはありません。
2年生になると受験を控えた3年生に代わって、部活動や委員会活動での活動量が増えてきます。中学校生活にも慣れ、後輩もできたことから責任感が芽生えたり、進路や将来について考え始める時期でもあります。
そのため、女子より比較的、精神的成長スピードが遅いといわれる男子も、急激に自我が芽生えて友達や親、先生や先輩後輩と衝突することが多くなる学年でもあります。

また、学習面でも英語を中心に急に難易度が上がり、生徒による成績の差が顕著になり、多くの生徒が通塾を開始します。塾の先生の中には「中2が1番大事な学年」だと考える先生も。

部活動や委員会活動に慣れ「ダレ」が生じるとも言われる学年であり、この時期をどう過ごすかで高校受験の結果に差が出る、とも言われています。

中学2年生の後半の三者面談では、先生から「進路についての考え」を訊かれる可能性もあるためこの時期から少しずつ子どもと志望校や進路について話をしておくとよいですね。

「2年の時点でこの成績だったら、どういった高校に進学できるか」を、中学校の今までの進学実績から教えてもらうなど、高校受験について子どもにもしっかりと意識させるような面談が理想的です。

ー中学3年生

3年生の三者面談は、具体的な進路についての話がメインになります。

夏休み前に行われる面談では、主に進路や志望校についての生徒への聞き取りが行われ、夏休みの勉強の進め方の指導などが行われます。

1学期までに内申点を落としてしまっている場合、どうしてそのような成績がついてしまったのか、思い描いている学校を志望するためには2学期にどれくらい成績を引き上げる必要があるのか、また、内申点を引き上げるための学習法や、夏休みの宿題への取り組み方も確認するとよいでしょう。

この面談は、内申点について先生に直接問い合わせができ、挽回を図れるラストチャンス。子どもの志望校に見合った内申点への近道は、先生に内申を上げるための具体的アドバイスをもらうのが1番です。

第1志望校の公立高校はなんとなく決まっていても、併願する私立高校については頭にない家庭に対しては「すべり止め私立」の受験を先生から勧められることも。
夏から秋にかけて、各高校でオープンスクールなどのイベントが開催されるため、「この学校を見に行ってはどうでしょうか?」いうアドバイスがあるかもしれません。

この時期の面談では子ども・親・先生も時間的な余裕があるため、志望校を具体的に決めるのではなく子どもへの「志望校に対する意識づけ」がメインになり、まだ和やかな雰囲気で行われることが多いのではないでしょうか。

一方で11月頃に行われる面談では、受験校を確定する目的で行われるため、具体的な志望校と成績の話がメインになり、張りつめた空気の中で行われることが少なくありません。

先生からは、直近のテストや成績について話があったあと、現実的な受験校の提案を受けます。「推薦入試」「併願優遇の高校」「公立受験」など、詳細な受験校を詰めることができるよう、事前に子どもと第3希望くらいまでの志望校と、すべり止めの高校について話をしておいてください。

「子どもがお金のかかる私立を第1志望としていることがわかり、面談中に口論になってしまった」といったことを避けるために、私立に進学してもよいのか、公立にしか進学できないのかなどの、家庭の状況が大きくかかわる事柄については、面談前に子どもと母親だけでなく、父親も交え話をしておくことが肝心です。

2.【中3編】三者面談の事前準備 

3年生の11月の面談時点で志望校のすり合わせができてない場合、出願書類作成の締切りの都合上、先生や学校の主導による「成績での事務的な志望校決め」になってしまいます。お互いが納得した進路を選択するために、家族で志望校についてしっかりと調べるなど事前準備をしてから面談に臨んでくださいね。

以下に面談前に準備しておくべきことをまとめました。

①1年生からの成績表や受けた模試の結果など、子どもの成績を確認しておく。校外模試を受けている場合は模試の結果を持参してもOK
②住んでいる地域の内申などの高校受験制度をしっかり把握しておく。さらに大学受験制度を理解していると、高校選びにも役立つ
③子どもに高校の説明会やオープンスクールに参加させる、または子供と一緒に参加する。インターネットで気になる学校のHPや口コミを調べる
④父親を含めた親と子で一緒に、第1志望校・併願校について検討をつけておく。志望順位もなるべく親子で揃えておく
⑤私立を第1志望・併願校とする場合、何校かを候補として入学金や授業料など、かかる費用を調べ比較しておく
⑥まだ志望校が決まっていない場合は、進学する高校で「重視したいポイント」を明確にしておく。(先生はそのポイントから生徒にあった学校を選び、提案することができるため)
⑦学校での様子や、成績、進路について等、質問したいことをメモにまとめておく
⑧子どもと一緒に「これは先生に話してもOK」「これは話題にするのはNG」等、面談中に話していいこと、悪いことのすり合わせをしておく

高校図鑑では、各高校の入学金や総費用、奨学金の有無などを掲載しています。子どもに合った高校選びに是非活用してください。

3.まとめ 「親子にとっての有意義な三者面談」のために気を付けたいこと

子どもを育てる中で、一番悩ましいともいえる思春期の中学生。「何かいいヒントを得たい」と期待をして三者面談に行ったのに、
・先生からは「何も問題ありません」と言われ雑談に終始した
・「三者面談」なのに子どもと先生、子どもと親、二者ずつでしか会話せず「三者」の意味がまったくなかった
・子どもがいる手前、先生に相談できることが少なく、意味がない

などと嘆く声がインターネット上にはあふれています。

また、当事者の子どもも、三者面談について
・親が、家での態度など、知られたくないことを先生にチクチクいうので、嫌でたまらない
・親にテストの点数を教えておらず、先生から話があると絶対に怒られるので、仮病を使ってでも休みたい
・面談中、親の言うことと先生の言うことが全く違ったので混乱してしまった
・先生から「この成績ではこの学校は難しいよ」といった批判的なことしか言われず、落ち込んだ

等、ネガティブな想いを持っていることが多いのも事実。
せっかく時間を割いて参加する三者面談を、親と子双方にとって有意義で気持ちのよい時間にするために、事前の情報収集以外に親や教師が心がけることは何でしょうか。

■子ども自身や、子どもの志望する進路を否定するのはNG
反抗期真っただ中の子どもに対する愚痴をだれかに話したくなる気持ちは、どの母親でも持っているものです。特に三者面談の場では「先生に問題の解決策を教えてもらいたい」という気持ちから、子どものいる前で「悩み・愚痴」を話す親が多いようです。実際に三者面談で子どもについての悩みを話しているうちに、感情が高ぶり泣き出してしまう親も多いのだとか。

親にとっては「子どもについての悩みの相談」であっても、隣で聞いている子どもから「悪口・つるし上げをされた」と、捉えられてもおかしくありません。
三者面談の場で大人が感情的になってしまうと、本当に必要な進路の話が建設的に行われることは難しくなります。

出来れば子どもについてのネガティブな情報は、三者面談の場ではなく、事前に手紙や電話で先生に伝えておくとよいでしょう。その時に「親が子どもについて何か知っておくべきことはないでしょうか」と尋ね、先生にも子どもの前でネガティブな事をなるべく話して欲しくない旨、伝えてみてはいかがでしょうか。

■三者面談に「ピグマリオン効果」を活用しよう
ピグマリオン効果とは、「他者から期待されることで成績や成果が向上する現象」のことで、教育心理学の用語の1つ。

アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが行った実験で、あるクラスにテストを受験させ、その中から数人の生徒を適当に選び、教師に「〇さんと△さんと◇さんが成績が伸びるので注意してみていてください」と伝えたところ、本当にその生徒たちの成績が上がっていった、という結果に基づいたもので、別名「ローゼンタール効果」「教師期待効果」とも呼ばれています。

先生や親から期待されることにより生徒のモチベーションが上がって努力をするようになり、より高い学力を身に付けることができるのです。

「三者面談の場」は、この「ピグマリオン効果」を試す絶好のチャンスではないでしょうか。

親と先生が揃って「期待しているよ」「これから伸びるはずだから大丈夫」「いい学校だね、そこにに似たこんな学校もあるよ」といったポジティブな声かけをすることで子どもが一層努力し、良い方向に向かうことも考えられます。

実際親になると「反抗期の子供に対し否定的なことを言わず褒めること」はなかなか難しいことかもしれませんが、三者面談の席では子どもの自尊心を尊重し、可能なかぎり良い点だけを話すことにとどめ、家ではきちんと叱り現実的な話をするなど、メリハリをつけることが必要です。

「三者面談」を子どものよりよい進路のために活用するには、家庭でしっかり事前に進路について話をして情報収集を行うこと、そして先生と親が協力し、思春期の中学生のプライドをうまく利用して子どものモチベーションを上げることが必須。

是非先生も巻き込んで作戦を練ってから面談に挑み、三者面談を収穫の多い時間にして下さいね。
※参考:「受験生を持つ母親のメンタル整理術」早川律子著 文芸社2016年4月出版



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