Green School Bali, イエナプランスクール, IBに見る多様な教育が目指す未来
みなさんこんにちは。
バリから帰国して2投稿目のブログです。
一つ目の投稿は以下になります。もしバリの基本情報などを知りたい方はぜひこちらをご覧になってからお読みください。
いよいよ教育事業をしている私が今回のバリ渡航での1番の目玉であったGreen School Baliをはじめとする教育について振り返っていきます。
残念ながら授業見学はかないませんでしたが、Green School Baliのスクールコーディネーターの方から約1時間半にわたってキャンパスツアーをしていただきました。
Green School Baliについて
まずGreen Schoolの基礎情報について以下に記載します。
Green Schoolは就学前の年齢から高校まであります。また、日本と違うところで言うと、小学校がGrade1-5(小1-5)まで、中学がGrade6-8まで、そして高校がGrade9-12という構成になっており、5年-3年-4年となっています。
生徒数は合計450名に対し、教職員 (Assistant Teacher含む)の数は96名とのことで、平均すると5人の生徒に1人の先生がつく、という計算になります。これは非常に手厚いサポート体制であることがわかります。
またツアーでもお話がありましたが、グリーンスクールは3つの学習フレームワークを軸に授業が展開されています。
Experiential Frame
体験型の学び
Proficiency Frame
リテラシー、数学的思考、科学的思考
Thematics Frame
テーマ別学習 (教科横断型で1つのテーマについて学習する)
例えばサーフィンなどバリに関連しているものが多かった
基本的に先生はこの3つのフレームワークを軸に比較的自由度の高い授業を展開しているとのことです。
Green Schoolで働くにはインドネシアで正式に働くための教員免許と面接があるそうです。特に面接を重要視しているとのことで、教員同士の同僚性や人間同士との関係性、自然との関係性に対してどのような考えであるか、学校が掲げるフィロソフィーにマッチするかを重要視しています。
また、先生用のトレーニングプログラムとしては、Green Schoolが独自に開発するGreen Educator Program (GEP)を提供しており、Green Schoolで働くことやマインドセット等のProfessional Developmentをします。
また、生徒に関しては以下のような施設があり、自然の中でさまざまなことを学びます。
トイレも水分とそれ以外で分かれており、用途別に肥料に使われたりなど自然の循環についてを当たり前のように学んだりする仕組みがあります。
イエナプランスクール TARUWARAについて
続いて、Green School Bali以外の学校訪問では、イエナプランスクールを掲げるTARUWARAに行きました。
ここでは、校長の石踊さんのお話はもちろんのこと、実際の授業の見学もすることができました。
非常にパワーの溢れる石踊さんは自分の子どもを通わせたい学校がインドネシアにないという理由で幼稚園を作り、また幼稚園から小学校にあがるタイミングで小学校も作ってしまうという非常にユニークな取り組みをされている方です。
そんな石踊さんからのお話では、イエナプランスクールの運営に関する難しさや葛藤についてお話を聞くことができました。
イエナプラン教育を知らない方のために、どのような教育なのかを確認したい方は、以下の日本イエナプラン教育協会のURLをご覧ください。
この記事を見ると様々な特徴がありますが、そのうちの一つとしてあるのは自律性を非常に尊重する教育です。
石踊さんも開校当初イエナプランの理想を形にして取り組んだようですが、なかなかうまくいかなかったとおっしゃっていました。例えば、小学校の開校当初は教室にドアを設置しなかったようですが、「ドアがなければ児童は勝手に外に出る」そうです。当初のイメージとしては授業では教室にいて、それ以外の時間は出入り自由な状況になるだろうと想像していたそうですが、実際には教室の"中に入る"、"外に出る"というのはある種トレーニングされないと人はできない、ということを学んだそうです。
また、幼稚園から小学校へ進学する際に他の学校を選ぶ、という実情についても赤裸々に話してくれました。イエナプラン教育は児童生徒に裁量があることで自律性や主体性が育まれますが、一方でイメージとして基礎学力がおそろかになってしまうのではないか、という印象を持たれてしまい、小学校に上がる段階で基礎学力を学ぶことをベースとした学校へ行ってしまうそうです。
これは日本国内で起こっている問題と同じだなと思いました。保護者の理解が追いついていない、という現状は世界共通なようです。
こうした様々な葛藤があると言っていたもののそれでも前に進もうともがいている石畳さんは本当にカッコよかったです。
そして、実際の授業を見学してみると、そこには主体性のある児童がたくさんいました。自らが自分の選択をして、それをグループ内に共有したり、ディスカッションをしながら協働したりと、なかなか日本の学校では見られない光景でした。
イエナプラン教育の片鱗を見た気がします。
多様な教育が目指す未来
さて、ここからはバリで視察した2つの学校やIB(国際バカロレア)などの多様な教育のあり方が少しずつ注目を浴びている中で、これからの教育の目指す姿について考えていきたいと思います。
IBについてはこちらをご覧ください。
弊社の理念として「今、これからを生きる力を。」を掲げていますが、結局のところこの理念に近いところなのかなと思っています。
様々な教育方法、教育理念は、そこで学んだ子どもたちが教育課程を修了し、いよいよ一人の個人として現代社会に身を投じるようになったときに「豊かに生きられるかどうか」ということを想定して設定されます。
生きる力については1年前に以下のブログにてまとめています。
「豊かに生きられるかどうか」という問いについては、どこで生きるか、誰と生きるか、どのような環境下で生きるか、によって変わってきます。
日本とインドネシアとでは、どのような力やマインドセットが必要になるのかはあらゆる面から異なります。それは他の国でも同様です。
例えば、日本であれば規律的なものや礼儀的なものは独特の慣習があります。これを学ばなければ日本で社会的な生活を営むには結構苦労したりします。
私たちはできるだけ汎用性のあるスキルを学ぼうとしますが、テクノロジーの発達により個別に最適化された社会においては、ますます全てを包含したスキルやマインドセットを習得することは不可能です。
そして、それらのスキルやマインドセットは時間と共に揺らいでいきます。
教育課程における子どもたちの教育で一番難しいのは、10-15年後を見据えた学習環境の設置です。
10歳の子が独り立ちした時に何を学んできたか、どのようなものを見てきたのか、それが資産となって豊かに生きられるかどうかを決定します。
もちろん独り立ちした後にも習得可能ですが、早くからそれらを習得できた方が圧倒的に豊かに生きられる可能性は高くなります。
VUCA時代において未来を予測することは極めて困難ではありますが、未来を見据えながら機動性を持たせた教育を提供することは非常に重要です。
例えば、Green Schoolであれば地球環境の変化においてどのように私たちが向き合っていけば良いのかをできるだけDirectに感じ、学ぶことができます。
イエナプランスクールであれば、どのように人と対話をし、自主的に考え、行動できるか、を学ぶことができます。(もちろんその他の教育も要素として同様のスキルを学べますが、よりイエナプランではこの部分を強調します)
選択を繰り返し、少しずつ形になっていきます。
今、日本教育についても改めて様々な視点からこれからの学びのあり方がどのように向かうべきなのか、問われています。
オルタナティブスクールの台頭や国内におけるIB校の増加などはその表れでしょう。また、公立の小中学校も少しずつではありますが変化をしようとしています。そして一方で変化が必要のない部分もあります。この見極めも非常に重要です。
これらの状況を踏まえて、国際エデュテイメント協会は「今」そして「これから」を生きる力を習得するための学びの環境を作っていきます。