学校におけるこれからの生徒募集方法を考える
はじめに
今日は、生徒募集について考えていきたいと思います。もう周知の事実ですが、日本は少子化社会に入っています。子どもの数が減っているということですから、当たり前ですが1校あたりの生徒数の密度は下がっているわけです。
そんな現状において様々な学校法人は小中高大どれもが躍起になって生徒募集に勤しんでいます。
基本的に学校運営は以下のような収益源があります。(某学校から引用させていただきました。)
これらは一般的にWebサイトで公開されているので問題ないとは思いつつも、今回のブログでは主に項目が知りたいので具体的な金額は伏せておきます。
学校法人の主な収入源としては、以下の4つになります。
また、これらの項目の中でコントロール可能な部分(努力次第で変動可能な項目)とコントロール不可能な部分に分かれます。
やはりコントロール可能な項目としては、学生生徒等納付金収入や手数料収入になるでしょう。入学したいと生徒が増えればそれだけ収入が増えますし、受験したい生徒が増えれば、手数料収入が増えます。学校のどの部分を増やしていきたいかという状況の違いはあるでしょうが、大体はこの2つのどちらか、もしくはどちらもを必死に考えて行動しているのではないでしょうか。
寄付金もある意味コントロール可能ではありますが、日本国内には寄付文化が海外ほど根付いていないため、もしかするとこのあたりは今後の成長余地があるかもしれません。
一方で補助金は都道府県指定の補助金の制度や国からの助成によって構成されるため、大幅な変動を見込むことは難しいです。
ということで、今回は学校経営において非常に重要な項目となる学生生徒等納付金収入を増加させるためにどのような施策を行うべきなのか、今後の運営方針において考えてみたいと思います。もちろん私自身が学校法人を経営しているわけでも、学校の中の人間ではないので、全ての生徒募集に関するアクションを把握しているわけではありませんので、あくまで開示されているデータや私が普段学校現場の方々と触れ合う中で知り得た情報から論を構成していきます。
生徒募集のために行っているアクション
まずは、生徒募集のために行っているアクションについてみていきたいと思います。ざっとまとめると以下の項目なのではないかなと思います。
他の動きもあるかと思いますが、メインとしてよく見聞きする生徒募集手段としては、上のようなものではないでしょうか。
では、実際に保護者や生徒、つまり顧客側からみたらこれらの効果はどうなのでしょうか。
先日のブログでも述べましたが、進路を確認する際には、学校のホームページを訪問することが多いということがわかっています。
しかし、これらのマーケティング活動を行う上で考えなければならないのは、顧客がどのフェーズにいるか、ということです。100年前からあるマーケティングの考え方でAIDMAというフレームワークがありますが、まず顧客の行動としては、Attention (注目)というプロセスが必要になります。
注目されているから、学校のホームページにいき調べるのであって、そもそも認知がされていなければ調べることすらされないわけです。
先ほどの生徒募集におけるアクションをAIDMAのフレームワークに当てはめるとこんな感じでしょうか。
これをみて分かる通りやはりAttentionへの施策が多くあるのはいうまでもないです。多くの認知をとらなければ、最終的なActionへの流入は期待できません。基本的には、AttentionからActionまでのステップの間に離脱していく構造になっています。
この辺りはマーケティングにおいてどんな商品をプロモーションするにしても非常に基本的な考え方になるので何を今更ということかもしれませんが、言いたいのはどれだけAttentionを取れるのかということが重要になっているわけです。
仮に同じ転換率であったとするならば、Attentionが1000人の時と10000人の時では、最終的にActionに移す人が10倍変わってくるというわけです。
Attentionを増やすために新しい選択肢として考えられること
せっかく何かの一石を投じるためにブログを書いているわけですから、既存の生徒募集におけるアクションを施行しつつ、以下のような点において新規で考えられるのではないでしょうか。
SNS等のメディアを活用した認知獲得
こちらに関しては、なんとなくイメージを持てるのではないでしょうか。InstagramやTwitterなどで学校の取り組みを発信し、なかなかパンフレットやオープンキャンパスでは見ることのできない日常を認知してもらうことを狙う戦略になります。
この戦略を実施することによるメリットとしては、顧客にとってはパンフレットやWebサイトなどの表面上の情報だけでなく、深い情報にリーチすることができ、学校が求める人材と受験する人材のミスマッチを防ぐことができたり、最初はそこまで興味がなかったけれど、SNSをフォローしていたら面白そうだからどんどん行きたくなった、などの期待ができます。
一方でデメリットとしては、SNSは更新頻度が非常に重要であったり、最初はフォロワーも少ないので影響範囲も限られています。このような運用におけるノウハウや影響力が小さいことが新しい生徒募集戦略を施行する際のハードルでしょう。
最近ではnote自身も学校の入試広報の一環で活用する学校も増えてきていますよね。InstagramやTwitter以外の媒体を活用するという媒体での差別化を図ることも学校としての独自の色を発信することにつながるでしょう。
また、SNSの特性もあるので、それに応じて運用の工数も変わってくることもどの媒体を選ぶかという判断基準になるかもしれません。
積極的なプレスリリース配信やメディアリレーションによる第三者媒体への露出
個人的には、この戦略に非常に期待を寄せています。だからこそ現在、弊社では教育プロデュース事業として、プレスリリース作成やメディアリレーションのお手伝いの事業をさせてもらっています。
大学では近畿大学などを中心に積極的なプレスリリースの発信を行っていますが、まだまだ中学校・高等学校ではプレスリリースの発信は多くありません。
だからこそ非常に大きなポテンシャルがあると考えています。
プレスリリースについて改めて確認しておくと、以下のような定義になります。
ここでよく間違えやすい"広告"と"広報"の違いなのですが、広告は自社の商品をCMや新聞広告や駅ナカ広告などで全面にアピールしていきます。つまり、主語が"I"になります。一方で、広報は"報"にあるように新聞やWeb媒体、テレビ局などが取り上げたいから報道する、ということを狙ったものになります。つまり、主語が"They"になります。
広報は難易度が一つ上がりまして、"報道"したいと記者が思うのは、「世の中が求めていること」と「あなたがやっていること」がどのように繋がっているのかを主張できなければ報道されません。世の中の多くの人が興味があるからこそニュースで報道され、新聞で見出しになるわけです。
この広報活動をプレスリリースを発信することによって実施していきます。
学校には日々様々な行事があります。どこの学校も同じ行事日程ではあるものの、実際の行事の内容は学校ごとに特徴があったり、カリキュラムにおいても特徴がありますから、発信する内容はたくさんあります。
ICTの配備や学習指導要領の大幅な改訂などで教育業界全体が大きく変化している現在において、記者は常にトレンドを追いかけています。
こうした流れを敏感に読み取り、学校での取り組みがなぜ必要なのかをプレスリリースを通じて発信することによって多くの人々があなたの学校を知るようになります。
デメリットとしては、かなり専門的なノウハウが必要になりますので、最初は専門としている機関や人材の採用が必要になります。(ご興味があればサポートしますのでぜひお気軽にご連絡を笑)
プレスリリース作成によって学校の理念もブラッシュアップされる
プレスリリースは端的に取り組みや商品を世の中ごとと絡めながら発信するものになります。
アマゾンでも、新規事業はプレスリリース形式でプレゼンが行われているのは有名な話です。
プレスリリースを考えることで、学校の理念、これから目指すべき学校像が明らかになります。学校像が明らかになれば、そこにつながるカリキュラムや教材、ICTの活用方法などが決まっていきます。
個人的には生徒募集という外へのアプローチ以外にも内へのアプローチとしても非常に有効的だと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
少子化にある日本社会において、どのようにそれぞれの学校が魅力を発信していくのかが問われています。
元々認知度の高い学校であれば従来型の生徒募集方法であっても一定数の受験生、入学生を確保できるでしょうが、それ以外の学校については、動き方をかえざるおえない状況になってきています。
これらの情報が少しでも参考になればと思います。
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