世界の教養:カール・マルクス ー これまでの哲学者たちは、世界を様々に解釈してきただけだった。しかし重要なのは、世界を変えることである。

今回紹介するのは、「カール・マルクス」です。共産主義の生みの親として有名ですね。

マルクス(1818〜1883)は、他のどの哲学者よりも20世紀に大きな影響を与えました。ドイツでキリスト教に改宗したユダヤ人一家に生まれた彼は、研究者の道に進もうとしましたが、過激な政治思想のために大学に就職できず、ジャーナリストとして数年間働きました。

マルクスの歴史理論によると、歴史や政治の変化は経済的な生産手段によって説明されるとしています。社会には、食料や住居などを生産する決まった手段があり、その生産手段が、具体的な経済制度を決定します(例えば農業は、耕す人は多く、監督する人は少なくていい)。そのあとに政治制度を決定します。経済制度と政治制度が、発展の妨げとなった時、革命が起きます。

どの経済制度にも分業が存在するため、人々は階級に分けられます。マルクスは、資本主義を長い歴史的展開の結果だとみなし、階級対立が深刻化して、やがて限界に達する、としました。膨大な数労働者が劣悪な環境で働く一方で、生産手段を所有するごく少数の人々が裕福になる。資本主義が繁栄するにつれてますます格差が広がり、資本主義はやがて自滅するだろうと予言しました。やがて労働者たちは革命を起こし、新たな経済制度(各人が自らの能力に応じて与え、自らの必要に応じて受け取る制度)を打ち立てるだろう、と考えました。


参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 271p

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