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円買い介入実施

円買い介入実施


 日本時間7月11日の午後9時半に発表された米国6月消費者物価指数(総合)は、前月比がマイナス0.1%と2022年12月以来のマイナスとなり、前年同月比が3.0%上昇と前月の3.3%を下回った。

 これを受けて「さすがに」FRBによる利下げ予想が優勢となったが、発表直後に政府・日銀が5月2日以来の円買い・ドル売り介入を実施した。退任が発表されている神田財務官は介入の有無を公表していない。

 消費者物価指数発表直前のドル円は1ドル=161.55円程度だったが、30分後には一時1ドル=157.40円まで円高となった。介入はその30分間だけだったようで、NY時間終値は1ドル=159円手前まで押し戻されている。

 介入自体は「やや」意外だったが旺盛なドル買い需要は続いており、今回も絶好の「買い場」提供となった可能性もある。ここで財務省が一応1ドル=160円台からドルを押し戻そうとしたことと、米国当局が利下げ予想の高まったタイミングでの「ドルの下押し介入」を認めたことは注目しておくべきである。

 また日米当局が本気で「ドルの下押し」を考えているなら、本日(7月12日)の東京時間でも追加介入するはずであるが、そこはまだ分からない。

 ただ日銀政策決定会合もFOMCも同じ7月30~31日に開催されるが、ここでFRBが利下げ、日銀が利上げする可能性も「少し」出てきた。日米当局が本気でドル高修正を考えている可能性も「少し」あるからである。

 さらに米国では利下げ予想が高まったにもかかわらず11日のNASDAQ総合指数が前日の史上最高値(18467ポイント)から364ポイント(1.95%)も急落したことも注目しておくべきである。

 2023年10月以降、米国株式は「いずれ利下げ」を期待して上昇を続け、日本など世界の株式市場も追随してきたが、利下げとは景気が後退しているから実施されるもので本来は株式市場にとってマイナス効果であることを市場が思い出すかもしれない。とりあえず利益確定の売りは必ず出てくる。

 この動きは当然に日本株式の上昇も止めるが、日銀はすでに7月の決定会合で国債買い入れ額を減らすことを発表しており(量的引き締めの開始)、可能性はまだ少ないが利上げまで加わると日本の株式市場にも相当のマイナスとなる。

 岸田政権では外交はもちろん、金融政策もすべて「死に体」となったバイデン政権の「言いなり」で、財政政策は以前から緊縮財政・増税路線を強いる財務省の「言いなり」であるため、2024年1~3月GDPが異例の修正(国土交通省の信じられない計算ミス)で実質年率換算マイナス2.9%だった日本経済は、ますます浮上のきっかけを失う。

 そんなタイミングでわざわざ円買い・ドル売り介入を実施した財務省の「本音」も、本当はよくわからない。財務省にとっては輸出大手企業の業績と株式市場を支える円安は「わざわざ」円買い・ドル売り介入でブレーキをかける必要もなかったはずだからである。

 だから今回の介入も日本ではなく米国当局の意向で、日銀の金融引き締め(量的引き締めと利上げ)もすでに約束している「いやな」可能性が排除しきれないのである。