ロットNo.
毛糸にもロットNo.がある。
編み物を習い始めて知った。
以前の仕事では、よくクレームを受けた。
「お届けしたのは前回ご購入されたコピー用紙と同じ商品でございます」
なんて謝っていた。
コピー用紙の場合、ロットNo.が違うと手触りが若干異なるのだ。
そもそもロットNo.とは何ぞや?
ググってみれば、
〝製品を管理するために単位ごとに付けられた生産番号のこと〟
だそうです。
毛糸の場合は染めの番号になる。
つまり染めが違えば、同じ色番号でもビミョーに色味が違ったりする。
そこが問題なんだ!!
初めての手編みセーター。
毛糸が足りなくて買い足そうとしたら、もう店頭にはなかった。
なので取り寄せたら、ロットNo.が違っていた。
ロットNo.CとロットNo.D。
並べて見ればはっきりわかる。
色味が違う!
同じ色なんだけど、ビミョーに違うのだよ。
これはもう身頃と袖に編み分けるしかない。
胴体と袖の色が違うのは、そういうデザインに見えるだろう。
と思っていたのに身頃を編んでいる途中で、毛糸がなくなった。
結局、身頃の色がビミョーに違うセーターになることが決定した。
まだ制作途中だけど。
ロットNo.って人間にも言えると思う。
同じ年に製造された同じ性別の人間だってみんな色が違う。
女の子なら誰だって恋をして結婚したい!
……わけじゃない。
女の子なら誰だってリボンやフリルが大好き!
……なわけじゃない。
女の子なら誰だってお化粧したい!
……わけじゃない。
小学生の頃。
家の外で遊ぶのに同級生のヨーコちゃんが真っ赤な唇でやって来た。
私は怖くて何も言えなかった。
通りかかったおばちゃんが、
「ヨーコちゃんお母さんの口紅つけたわね」
って言って原因はわかった。
でも理由はわからなかった。
大人の化粧に憧れる乙女心?
微塵も理解できなかった。
ましてや共感をや。
あんなもの唇につけたら不気味なだけだ。
第一不潔じゃないか!
……それは今も変わりない。
物を食べる口元に異物を塗りたくるなんて。
不潔極まりない。
(コスメ好きの皆様すみません)
ファンデーションなんかもっと不衛生!
一日中顔に塗りたくってるなんて!!
(コスメ好きの皆様にスライディング土下座)
とか思いながら、異分子になるのが怖くて化粧をしていたOL時代。
今は晴れてスッピンBBAだ。
(日焼け止めだけは塗ってます)
いや、ロットNo.の話だった。
別に服飾会社や化粧品会社を責めているわけじゃない。
ニーズあらばこそ生まれた商品だ。
ただそのニーズがない人間もいる。
きっとロットNo.が違うんだ。
ヨーコちゃんはロットNo.Cだけど、私はロットNo.Dなんだ。
今はそう思っている。
どっとはらい。