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お銭湯さんスタンプラリー

※3,142文字

元旦の初銭湯

2024年1月1日夕刻 ゆープラザ若宮に行った。

自転車で向かう途中、スマホの緊急地震速報が鳴った。
いったん自転車を降りたものの、揺れは感じなかった。
電線は揺れていたが強風のせいにも思えたし。

ゆープラザ若宮

銭湯に着いたらロビーのテレビが北陸地方の地震や津波を報じていた。
かの地の方々の無事と平安を祈る。

そういう元旦であった。

そして私は日常を記し続ける。

市川市内の銭湯ではスタンプラリーを実施している。

五軒の銭湯を二度回ってスタンプ十個ゲットすると、プレゼントがもらえる企画である。

ゆープラザ若宮で最後のスタンプ一個を押してもらった。
そして言われた。
「プレゼントはもうなくなっているけど」
って、何それ?

いや、そりゃスタンプシートには景品がなくなり次第終了ってあるけど。

ほら書いてある

言っちゃうけど、私はこのゆープラザ若宮には三回も来てるんだからねっ。

一回目は11/26(日)。

二回目が12/26(火)クリスマス翌日である。
月曜定休日だから火曜日は大丈夫だろうと思って訪ねたのに連休だった。

12/25〜12/26 無念の連休

そして、改めて訪ねた三回目が正月元旦だった。

いちいちおめでたい私である。

市内の銭湯五か所を二度回るなんて楽勝と思うだろう?

いいや。
こう見えて市川市はなかなか広いのだ。

車があれば十日でコンプリート出来るけど。

自転車や公共交通機関しか利用できない身には、なかなかハードなのだよ。

特にこの若宮という町は、私が住む地区からは遥かに遠い。

道案内もある

家から駅まで自転車で、駅から一駅電車に乗って、そこからバスに乗るという行程である。

車ならほんの数分の距離だろうに。
だからってタクシーで乗り付けるのは業腹だ。

そんなわけで、家からずっと自転車を漕いで行く。
これなら四十分程で済む。
急な坂道はあるけれど。

汗みどろになっても行先は銭湯だもの。
さっぱり汗は流せるさ。

帰りの湯冷めなど考えてはいけない!!

お年賀タオルをいただきました

いや。
すっかり恨み節になってるな。

すんまへん。
我ながら潔さに欠ける。

頑張ってスタンプ十個コンプリートしたのを誇りに諦めよう。


スタンプラリー

もともと私が育った水戸市には銭湯があった。
寒い冬の日に家族で出かけた記憶がある。

当時は帰りに濡れたタオルがパリパリと軽く凍る程に寒かった。

温暖化著しいねえ。

いや、そういう話ではない。

だから銭湯に入ったことがないわけではなかった。

過去のスタンプラリーでもらった
賞品の数々

けれど上京してからは銭湯とは縁がなかった。
市川市に住むようになってから興味をもった。

初めての銭湯は重乃湯だった。

もちろんアパートに内湯はあった。
だが小さなバスタブに少しばかりの湯を溜めて入るのに飽いたのだ。

そしてつい立ち寄ってしまった。
重乃湯に。

見事にはまった。
広い湯船で温まると、帰りに鼻歌が出る程ハイになる。

サウナーの方々は〝整う〟という表現をするらしい。
その時の私の状態もまた〝整って〟いたのだろう。

そして時々銭湯に行かずにはいられなくなった。

今はなき宝湯、市川湯のタオル

当時の住まいに最も近かったのは菅野湯だった。
けれど、お気に入りは重乃湯だった。

脱衣場には、おそらく女将さんが縫ったのだろうバスタオルを足拭きにしたものが何枚も置いてある。

そんな家庭的な温かさが好きだった。

おお! 
唐突に思い出した。

確か3.11東日本大震災の後だった。
地震の影響で煙突が傾いたとかヒビが入ったとかで休業になったのだ。

休業時に恵比寿湯に流れた常連客が、
「重乃湯に行くと、長い時間入ってたね」
「あそこはサウナがあるもんね」
などと懐かしがっていた。

京成電車の線路を渡って行く
銭湯が何軒か

そして、休業から再開することなく閉店になったのだ。
マイホーム銭湯だったのに残念である。

菅野湯に関しては、いつの間にか更地になっていた。
いつ閉店になったのかも知れない。

※重乃湯、菅野湯の写真はない。
当時はまだ携帯電話で気軽に写真を撮る習慣はなかった。

私が銭湯スタンプラリーを知ったのは、その後である。

最も近い銭湯になった恵比寿湯でスタンプラリーのシートを手に入れた。
平成27年(2015年)のことだった。

その頃はまだ市内に銭湯は十一軒あった。
以来、通ったよ通いましたよ。
毎年のスタンプラリー。

はっきり言って冬場のスタンプラリーは車なしにはかなりきつい。

銭湯の営業時間は冬なら薄暗くなってからだし。
帰りは寒いし。

当時はまだ知らない銭湯も多かった。
夜道で迷子になるのもきつかったし。

でもお蔭で市内のあちこちを知るようになった。
名所旧跡でもない、わざわざ訪ねることもない、ごくふつうの住宅地を歩き回れたのだ。

手元に残るスタンプシート

今、手元に残っているシートはこれである。

千葉県と埼玉県との合同スタンプラリーなんてのもあったな。
さすがに埼玉までは行かなかったけど、松戸市までは足を伸ばした。

方向音痴の私である。

あちこちで道を訊くうちに気がついた。
「〇〇湯はどこですか?」
と尋ねると、
「名前は知らないけど、お銭湯ならこの先にありますよ」
大概こう返って来る。

11軒の頃と5軒の今と

みんな銭湯の名前など認識していない。

つまり銭湯とは、そういうものだったのだ。

町内には必ず一軒あって「お銭湯」だけで通じる場所。
〇〇湯という名前は知らなくとも毎日ふつうに通う場所。

だが今や銭湯は存続の危機に瀕している。
そしてスタンプラリーを始めた。

そう思えば、プレゼントゲットできなくとも遠くの銭湯に二度までも出かけて湯銭を払ったことで、存続を長引かせる役には立ったと満足できるのである。

何だか回りくどいな。

まあ勘弁してちょ。


市川市内の銭湯

というわけで、今も市川市に存続している銭湯五軒。
今後も長く営業してくれるよう祈るばかりである。

皆様にも機会があればぜひ行っていただきたい。

①朝日湯

市川広小路にある。
その先の市川橋を渡れば東京都江戸川区である。
最も東京都に近い銭湯である。

こじんまりしているが、玄関タイルも浴場のタイルもちょっと可愛い。
江戸川沿いをランニングした後に、汗を流すのにも良い場所である。

可愛い玄関タイル

②石乃湯

今や映画「アンダーカレント」のロケ地として名高い石乃湯。
真木よう子や井浦新が入った風呂である。

映画でも写っていたが薪で湯を沸かしている。

私は勝手に〝小人さんの湯〟と呼んでいる。
入り口にも浴場にも小人さんが何人もいる。
時々、ロビーで泥付き葱を売っていたりする。

ほら 小人さん


③柳湯

私は勝手に〝シネマ湯〟と呼んでいる。
市川コルトンプラザのすぐ近くにあるので、コルトンシネマで映画を見た後に立ち寄りやすい。

「カメラを止めるな!」を見た後も湯に浸かったものだよ。
なかなか味わい深かった……なんてね。

ここは男湯と女湯が日替わりなので、違うタイプの湯船を楽しめる。
サウナもある。


④恵比寿湯

ここは何と説明したらいいのかわからない住宅地の中にある。
(まあ基本的に銭湯とは、そういう場所にあるのだが)

あとは、ええと……ご主人の笑顔がいい。
向かい側にローソンがあるからアイスを買って帰れるぞ。

って、ちっとも銭湯を褒めてないな。
いや、いい湯ですよ。
井戸水を沸かしているから、湯が柔らかい。

月と銭湯 


⑤ゆープラザ若宮

こちらは京成中山駅、またはJR下総中山駅からバスで行ける。
駅から坂道を歩いて中山法華経寺や東山魁夷記念館などを見てから汗を流すもよし。

中山競馬場から馬券を破りながら坂道を下りて来て涙を流すもよし。
そういう場所にある。

サウナも露天風呂もある、ちょっと小さ目なスーパー銭湯的な湯である。 


最後に公式サイトを。
興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

どっとはらい。

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