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本気でふざける
■極める
5/13(火)なかのZEROで開かれた落語会に行く。
橘蓮ニプロデュース〝極める〟Vol.17
柳家喬太郎トリビュート 柳家の一族
という長い名前の落語会である。
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チラシを見ると映画のようだが、ふつうに落語会である。
演芸写真家の橘蓮二さんがプロデュースしている会である。
柳家喬太郎師匠が作った新作落語を若い落語家たちが演じる趣向だった。
開口一番の市助さんだけが古典落語「元犬」を演った。
市助さん曰く、この演目は蓮二さんのリクエストでわざわざ覚えたそうである。
何故ならば「犬神家の一族」にかけているからだそうである。
「元犬」と「犬神家の一族」………何それ?
と、いうようなふざけた落語会である。
全編に蓮二さんのこだわりが散りばめられている。
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トリの柳家喬太郎師匠は古典落語「短命」かと思いきや。
それを発端とする伊勢屋一族の秘密と陰謀……といった新作落語だった。
冒頭の艶笑噺「短命」では会場は爆笑に包まれる。
そして後半、金田一耕助を彷彿とさせる探偵が登場してからは、噺の成り行きに会場はシーンと静まり返った。
誰もが喬太郎師匠の一言一句聞き逃すまいと耳をそばだてている。
緊張の糸がピーンと張ったような静けさ。
ふつうの落語会ではちょっと経験が出来ない状況だった。
正に〝固唾を呑む〟って常用句そのまま。
喬太郎師匠の独擅場だった。
幕が下りて客が帰るまで、会場にはこの音楽が流れ続けた。
家に帰っても頭の中でこのテーマ曲がぐるぐるした。
それぐらい強烈な新作落語であり、会場の演出であった。
(念のために、落語自体は落語家が座布団の上で語るだけの通常通りのものである。
もちろん背景も音楽もない。
ただ、喬太郎師匠の出囃子が「犬神家の一族」だったぐらい)
■ふざける
大体が落語会〝極める〟シリーズは毎回、蓮ニさんのこだわりがハンパないのだ。
お土産にくれたポストカードも凝っている。
会場で販売していたパンフレットなど完全に映画のパンフレットそのままである。
なのに価格はたった500円。
普通ならそんな値段では買えないような凝った作りなのだ。
マクラで皆さん話していたが、昨年の六月から撮影を始めたそうである。
他の〝極める〟シリーズでもそうなのだ。
蓮二さんはこの撮影のために衣装や小道具を揃え、ロケ場所を探すのだ。
小手先のお遊びではない。
本物の衣装やロケ地で、プロフェッショナルが力一杯ふざけているのだ。
それらの凄まじいふざけ具合を並べてみる。
あいにく私は〝極める〟シリーズ全参加ではないので少ししかないのだが。
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わかる人にはわかりましょう
「俺たちの円楽党」ばかりが多いのは、私の推しが円楽党の三遊亭萬橘師匠だからである。
ちなみに「柳家の一族」も今回が二回目だった。
私は一回目も参加しているのに、チラシが見つからないのだった。
記憶も遠くなっている。
初回も金田一喬太郎が登場した覚えはあるのだが。
口惜しや……。
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あえて旧名称の円楽党にしたらしい
ちなみにチケット代も普通の落語会とそう変わりはない。
たぶん殆ど蓮二さんの持ち出しのような気がする。
本気で全力で遊んでいるのだ。
ご自分でもおっしゃっていた。
講演会で聞いた覚えがある。
ふざける時は本気で力一杯ふざけるのだと。
そんなの面白いに決まってる!!
だから予定が合う限り私は蓮二さんプロデュースの会に足を運ぶことにしている。
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柳家三三師匠が主任の
エンゲイマジック
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この衣装は撮影のためだけに使われた
落語家たちがこの衣装で
高座に出て来るわけじゃない
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落語家 三遊亭ごはんつぶ
私ごときの体験と比べるのも失礼なのだが……。
先に3行日記に書いたように、私は趣味で小説もどきを書いている。
その時の頭の働き具合が、ただごとではないのだ。
ビュンビュンと回転して脳味噌が広がって行くような感覚。
完全に日常から解き放たれている。
書いていて楽しくてたまらないのだ。
(思い通りに書けないことも含めて)
いや、本当に私ごときが僭越ですが……拝察してしまうのです。
おそらく〝極める〟の準備をしている時の蓮二さんも、それぐらい楽しくて楽しくてたまらないのだろう。
脳味噌はち切れんばかりの楽しさと喜び!!
それが出演者に伝わり会の空気を作り、そして我々観客をも巻き込むのだ。
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なかのZEROから徒歩5分
お勧めのデザイナーズ銭湯
そんな感動の一夜であった。
どっとはらい。