理由その2:基礎学力の大切さに気付くのに30年かかっちゃった
子供のころから人に教えるのが好きで、塾のアルバイトを始めてからも、なかなか上手なほうだったんじゃないかと思います。いわゆる塾内トップの成績向上や合格実績なんかも出しました。
大変稚拙でご迷惑かけっぱなしだったのですが、若さには勢いってものがあって、すっごい成果も出るし、生徒も集まる。知らないことは山ほどあるけど、若さからほとばしり出る何かが世界を変えてしまう、のが塾の仕事の面白さです。
そんな若輩時代は今でも良い思い出ですが、当時は「基礎学力」というものの大切さを知らなかった。「生徒はこのくらいはできるものだろう」という目測で教えていたのですが、その後30年教え続けてみると、「ああ、生徒ってこんなに基礎が足りてないものなんだ。」と気づきます。
30年で気付き続けた、アレもできない、コレもできない、を指導していたら、まあ大抵の生徒がつまづく基礎学力診断プリントが出来上がります。そこに、「え!ソレもできないの!?」を加えて改良しました。
やらせてみると生徒は期待通り^^;に間違えますから、ああ、やっぱり基礎が足りないのね、という結論はそりゃ深まりますよ。。ね。
人生で到達できなかったことを鬱積したジジババが、「無理だからやめろ」と旧弊を振りかざすのは、吐き気がするほど嫌いな性分ですが、生徒の足りない基礎学力に関する知恵は、それを乗り越える力につながるから、惜しみなく若い先生たちに伝えていきたい。
30年かけて、生徒の足りない基礎学力に気付き、それを乗り越えようとしたのは、長い旅だったと感じます。教えたどのクラスもあの教場も、欠けてはならない旅路の1つでしたが、願わくばもう少し鷹の目で、自分の指導技術を見ていたらな、基礎学力の診断や養成にあと少し労力を割いていたらなぁ、とは振り返っています。
ただ、ここで大問題がありまして、仮に基礎学力の重要性に気付いたとて、塾というビジネスマシンは、それを組み込むことを許さないところがあります。
スイミングスクールが、子どもの筋力が足りないことに気付いても、60分のレッスンに筋トレを組み込むことはあり得ません。
同じことでして、すべての形態の塾において、基礎的なことを練習する時間を面で組み込んでお金をとるのは、まあ難しいのです。
ちゃんと、診断して・振り返って・説得したら、「絶対必要だ」って保護者も生徒も先生も、みんな気付くはずなんですけどね、あれおかしいなぁ。