ビジネスプロフィールに盛り込むべき4つの要素
こんにちは!エディマート代表の鬼頭です。
編集者となり四半世紀が経ち、最近では年に数回、「編集」や「文章」に関する講演の機会をいただくようになりました。
先日少し変わった講演をオーダーいただき、そのテーマというのが「ビジネスプロフィールの魅せ方」。ほとんどの会社がホームページをお持ちだと思いますが、事業内容や製品紹介には力を入れていても、経営者のプロフィールに関しては不思議と軽視されているケースが散見されます。
当日は、たくさんの経営者が集まる前で、その大切さを説き、なんと数名の方の実際のプロフィール文に赤入れをするという、冷や汗タラタラの時間を過ごしました。
せっかくですので、noteでも「ビジネスプロフィールの魅せ方」をまとめてみたいと思います。
1.ビジネスプロフィールは「自社との相性」を判断するための大切な情報
突然ですが、みなさんは取引先(クライアントや仕入れ先)を決める際に何を重視されますか?
まず何よりも、「自社が求めるソリューション(ノウハウ、知見、人材など)があるか」ですよね。
ソリューションを確認するため、多くの方は企業のオフィシャルホームページを訪問し、「製品/技術/実績」ページなどを見ながらチェックすると思います。
そしてもう一つ重視することが、「自社とその企業は相性が良いか」ではないでしょうか。
噛み砕いて言えば「この会社と付き合いたいか」。そのためには、相手先の会社の風土や価値観、働く人に流れるイズムを知り、自社との相性を確認する必要があります。
ところが、会社の風土や価値観、働く人に流れるイズムというものは、「製品/技術/実績」ページだけでは分かりづらい情報です。経営理念や働き手の紹介ページに目を向けなければなりません。
「自社が求めるソリューション(ノウハウ、知見、人材など)があるか」、そして「自社とその企業は相性が良いか」。取引先を決める際の2つのポイントはどちらも欠かせませんが、あえて優劣をつけるなら、私は日本においては、後者の方が重要なのではないかと思っています。
求めるソリューションが完璧にそろっていても、相性が悪ければ取引はしない(したくない)。でも相性が良ければ、求めるソリューションが多少欠けていても取引をする(したい)
──みなさんが今つながっている取引先の中に、こんな関係性の会社があるのではないでしょうか?
話を戻します。
先ほど、自社との相性を確かめるためには、経営理念や働き手の紹介ページに目を向ける必要があると書きました。
実は、相性判断のために大切な情報源となるのも、ビジネスプロフィール(経営者のプロフィール)です。想いと情報を整理して詰め込んだプロフィール文は、とてつもないPR効果、マッチング効果があることを知ってほしいと思います。
2.ビジネスプロフィールに必要な4つの要素とは?
プロフィール文にPR効果やマッチング効果があるとはいえ、ありとあらゆる情報を詰め込めば良いという訳ではありません。仮に3000字のプロフィール文ができたとしたら、それはもはや自伝です。
私が考える、ビジネスプロフィールに必要な要素は4つです。順にポイントを紹介していきますね。
必要な要素[1] 自社のソリューション・強み
自社が誰に向けて、どんなソリューションを使い、どのような課題を解決するのか、コンペティターと比較して強みや優位性はどこにあるのか、といった要素を指します。
オフィシャルホームページが充実している場合は長々と書く必要はありませんが、プロフィールでも補足されるとベターです。というのも、ビジネスプロフィールは提案書に盛り込まれたり、他社に開示されたりと、一人歩きすることがあるため、自社のソリューションや強みについても盛り込んでおくと、使い回しがききます。
必要な要素[2] 自社や経営者の歴史
会社の創業年や所在地、経営者の生まれ年や出身地、学歴、これまでの納入実績、保有資格や取得認証、受賞歴、といった要素を指します。
「この会社の社長、同郷なんだ」「この企業と取引しているなら安心だ」「硬派な企業だと思ったら、賞レースにも挑戦しているのか」など、見た人はさまざまなシンパシーを感じます。
「この会社と付き合いたいか」を判断するための情報となりますので、記載することでウィークポイントとなるものは割愛しましょう。
必要な要素[3] 自社や経営者の信念・信条
経営理念や企業理念、ミッション/ビジョン/バリュー、座右の銘(好きな言葉)、仕事におけるポリシー、解決したい社会課題、夢、といった要素を指します。
「会社の風土や価値観、働く人に流れるイズム」に影響する大切な情報ですので、欠かさず盛り込んでください。これまで多くののビジネスプロフィールを見てきましたが、この要素に欠けている方が多い印象です。
必要な要素[4] 人間味
最後に意外な要素が来ましたね。おそらく、この要素の必要性はあまり説かれないと思いますが、私はおすすめします。
千利休が「不完全の美」を説いたように、日本人はなぜか完璧なものに惹かれません。
たとえばプロフィールに、自社のユニークな取り組み、自身の趣味や特技、休日の過ごし方、「推し」、などを盛り込んでみましょう。少しだけ自身の「人間味」を添え、愛される文章をめざしてください。
3.プロフィール作文で押さえる4つのポイントとは?
ここまで、ビジネスプロフィールに盛り込みたい4つの要素をご紹介しました。おそらく、上から順に情報をまとめていくだけでも、PR効果・マッチング効果は高まることでしょう。
でもせっかくですから、作文のコツも知っていただき、より読みやすく、伝わるプロフィール文に仕上げていただきたいと思います。構えることはありません。ここでは4つのポイントをご紹介しますが、詳しくは下記の記事も読んでいただければ幸いです。
作文のコツ[1] 一つの文節は短めに
文節は主語と述語で構成され、だいたいの文章は「主語」と「主語を修飾する言葉」、「述語」と「述語を修飾する言葉」で組み立てられています。一つの文節に情報を盛り込みすぎると、主語・述語の関係がわかりづらくなるため、注意をしましょう。
なお、主語ブロックと述語ブロック、それぞれの長さが極端に変わらない文章はより美しく見えます。
作文のコツ[2] 難しい言葉は使わない
プロフィールは広く公開されるものです。獲得したい取引先の対象にもよりますが、あまり専門的すぎる用語を並べると、初見で離脱してしまう可能性が……。異業種とのつながりから、新たなビジネスが拓けることもありますので、老若男女が理解できる文章を心がけましょう。
コンテンツ業界ではよく、「中学生が理解できるか」を“誰もがわかる”の判断軸としています。完成した文章を、実際に中学生に読んでもらうのも良いかもしれません。
作文のコツ[3] 同じ表現はできるだけ避ける
「です。」が連続する上記の文章。同じ表現を多用することは必ずしも間違いではありませんが、リズム感が悪く読みづらくなっています。情報を伝えることが目的のプロフィール文は、最後まで読んでもらうために、同じ表現を避け、リズムを生むとより良いでしょう。
たくさんあります→バリエーション豊かです→少なくありません、など語尾の言い換えをストックしておくのもおすすめです。
作文のコツ[4] 適度に改行や空白行を入れて読みやすく
文章はそのまま流していくと、一つの「黒い塊」になっていきます。果たして「黒い塊」から情報を読み取ろうとするでしょうか?
誰もができる「読みやすさへの配慮」が、改行や空白行の挿入です。テーマが変わる印として空白行を入れ、同じテーマの中で内容が変わるときには改行を入れると、グッと読みやすくなります。
さらに上級者編として、プロフィールが長文かつレイアウトの自由度が高い場合は、テーマの頭に小見出し(そのテーマの要約コピー)を入れると、さらに伝わるプロフィールになります。
4.そんな私自身のプロフィール文とは?
さて今回、ビジネスプロフィールの大切さや盛り込むべき要素、作文のコツを説いてきました。「そんなお前のプロフィールはどうなんだ!」とお感じかと思いますので、最後に私のビジネスプロフィールを公開させていただきます。
上記要素をすべて詰め込み、かつ読みやすさも配慮した文章になっているはずです。
ぜひみなさんも、一度ご自身のプロフィール文を見直していただき、素敵な出会いに結びつけてくださいね。