地方都市のコンテンツ制作会社は、なぜ、どうやってDXを進めたのか?
こんにちは。エディマート代表の鬼頭です。
2021年9月にデジタル庁が発足し、政府主導で企業のDX化を進めていますよね。ついこの前まで「大企業先行の取り組み」と思っていたのですが、その波はあっという間に、当社を含む中小企業までやってきました。
この「あっという間に波が押し寄せる」感覚、SDGsに近いと思いませんか?
取り組まないと、社会に取り残されるような焦り。
一方で、取り組むことで、ビジネスチャンスが広がるような期待。
よくわかります。当社がまさにそうでしたから。
ここ数年、制作会社としては率先して働き方改革に取り組んでいますが、それに加えてDXまで手がつけられるか?──そんな不安が先立ちましたが、取り組んでみて「大正解」でした。
そこで、地方都市のコンテンツ制作会社であるエディマートがなぜDXに取り組んだか、また、どういう手順でお墨付きを得たのかを、2回に分けてご紹介したいと思います。
1.中小企業にも押し寄せるDXの波
当社の話に入る前に、DXについての基本情報から。
DXは「Digital Transformation」の略で、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念だとか。
教授の定義によると、
となります。
多くの経営者の方は、「これまでもIT化は進めてきた」といぶかしく思いませんか?
ここで大切なのは、「ビジネスにおける既成概念の破壊をともない、新たな価値を提供できるか」ということ。
「社会の変容が早く、大きい今、デジタル技術を通じて新たな商品・サービスの提供、新たなビジネスモデルの開発に至らなければ、あなたの会社は続きませんよ」。拡大解釈かもしれませんが、そういうことだと思います。
国内では、2018年に経済産業省がDXに向けた研究会を発足。DX推進のためのガイドラインなどが整い、まずは大企業から取り組みがスタートしました。
なお、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会が、2021年9月27日〜同年9月29日にかけて行った「大手企業におけるDX推進」の実態調査によると、
という回答が得られたそうです。
このアンケートからもわかるように、大手企業のDXは、やがて取引先の中小企業にも波及します。まさにそれが、今ではないでしょうか。
2.地方都市のコンテンツ制作会社がなぜDXに挑んだのか
あらためて、このたびDXに取り組んだエディマートは、
といった会社です。超簡単にまとめましたが(笑)
そんな当社ですが、大きく下記4つの理由からDXを推進することに決めました。
商圏の拡大
名古屋を拠点とする当社は、創業より愛知・岐阜・三重の東海三県、中部地方のクライアントとのつながりが中心です。
しかし、従来の印刷媒体をメインとしたコンテンツ制作から、WEB領域にソリューションを拡大したのをきっかけに、ここ数年は関東圏のお客様が急増。今後、全国からのご依頼に対応するためには、環境を整備し、よりスムーズな対応をする必要性があると感じていました。
個人情報をはじめとしたリテラシーの向上
エディマートでは、業種を問わずさまざまなジャンルのコンテンツを制作しています。そして、クライアントの課題解決を果たすために、他の人が知り得ないことまで把握することも少なくありません。
コンテンツは、イコール「情報」です。コミュニケーションを通じてキャッチした情報は、厳重に管理し、適切に扱う必要があります。
後ほどご紹介する当社が取得したDXの認証は、「個人情報保護をベースにDXを積極的に推進する企業に発行される」ものです。社内のDXが進むだけではなく、個人情報保護に関する制度を整備し、情報リテラシーを高められれば──そんな想いがありました。
従業員の働きやすさ強化
手前味噌ではありますが、ハードワークが当たり前のコンテンツ制作会社としては、率先して働き方改革に努めてきました。その改革が一気に加速したのは新型コロナウイルスがきっかけです。
さかのぼること2年前。当時の安倍総理大臣は2020年4月7日に東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大しました。これにともない、エディマートではテレワークを試験導入。その後、リモートで働きやすくする制度を整え、現在は全社員が好きな場所で好きな時間に働けるようになりました。
さらなる働き方改革を進める上で、DXを除くことはできません。
大手クライアントへの対応
先ほど取り上げたアンケートで、大手企業94.4%が「取引(受発注)先となる中小企業もDXを推進すべき」と回答、また大手企業の7割以上が、DXを全く推進するつもりがない企業との取引を「躊躇」、というデータを共有させてもらいました。
さすがにそこまで露骨に言われたことはありませんが、電子署名でのNDA締結、パスワードで鍵をかけたサーバーでのファイルのやり取りなど、細かなところで「当たり前」のレベルが変わってきています。
コンテンツ制作にこれまで想定していなかった企業が参入する今、DXを求められる前にできている状態にしておくのは、勝ち残るために欠かせない戦略です。
3.DX化を証明する手段としての認証制度
こうしてDXに取り組むことになったエディマートですが、ただ「DXに挑戦しています」「DX化できました」と発信するだけでは、なんの裏付けも信憑性もありませんよね。
SDGsもそうですが、大切なのは
というサイクルだと思います。
この一連の流れを自社だけで行うのは、かなり難しいのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが認証制度です。
DXに関する認証制度にはいくつかあります。よく知られているのは「DX認定」と「DXマーク認証」だと思います。
DX認定
2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律外部リンク」に基づく認定制度。国が策定した指針を踏まえ、優良な取組を行う事業者を、申請に基づいて認定するもので、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、「DX認定制度事務局」として各種問い合わせや認定審査事務を行っています。
DXマーク認証
事業者の改革に必要とされるデジタル化およびDX化の推進において、備えなくてはいけない組織・体制づくりを項目別に定め、選ばれる事業者になるために必要となる項目をとりまとめて評価する制度。
DX化に向けて必要な要素として、4つの大分類(DX推進体制、デジタル化、DX人材、ビジネスモデル)を定め、それぞれの課題を洗い出しクリア(もしくはクリアのための道筋をつけること)することで、認証取得となる。一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会が事務局。
当社は後者の「DXマーク認証」を選びました。その理由は、この制度が“中小企業の組織・経営強化およびDX化への取組推進に寄与することを目的”としているからです。
DXマーク認証のホームページにその点が明確に書かれています。
当社の場合は先述の通り、「個人情報をはじめとしたリテラシーの向上」を目的の一つに掲げていたため、体制整備から審査に問われる「DXマーク認証」はうってつけでした。
次回の記事では、実際にエディマートがどういう過程を経てDXマーク認証取得に至ったか。また、自社だけは難しい部分をどう解決したかをまとめますので、引き続きご覧くださいね。