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BCAAとEAAの違い ~イントラ論争について~


目次

  1. はじめに

  2. BCAAとは? ~特徴やメリット~

  3. EAAとは? ~特徴やメリット~

  4. BCAAとEAAの比較

  5. イントラワークアウトでのBCAA/EAA活用法

  6. 筆者の考え:BCAAを積極的に取り入れる理由

  7. EAAを使用すべきケース ~必要かどうかの判断~

  8. BCAA/EAAを選ぶ際のポイント ~無添加へのこだわり~

  9. BCAA・EAAの特筆すべき点まとめ

  10. よくあるQ&A

  11. まとめ

  12. 参考文献・参考資料


1. はじめに

近年、トレーニング界隈で「BCAAはもう古い、EAAのほうがいい」「いや、EAAを摂っていてもBCAAは別に必要ない」など、BCAA vs EAAの論争が続いています。特に「イントラワークアウトドリンク(運動中に飲むサプリメント)」として、どちらを選ぶべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

一方で、初心者には「BCAAって何? EAAってどう違うの?」という段階の方もまだまだ多いのが現状です。本記事では、BCAAとEAAの定義や作用メカニズム、さらに筆者自身が持つ見解を踏まえて、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

結論から言えば、「どちらか一方が常に正解」というわけではありません。トレーニングや食事、ライフスタイルに合わせて上手に選択することで、それぞれの良さを最大限に引き出すことができます。
では早速、具体的に見ていきましょう。


2. BCAAとは? ~特徴やメリット~

2-1. BCAAの定義

BCAA(Branch Chained Amino Acids) とは、「分岐鎖アミノ酸」と呼ばれるロイシン、イソロイシン、バリンの3種類のアミノ酸の総称です。タンパク質を構成するアミノ酸のうち、筋肉合成やエネルギー源として特に重要とされるのがBCAAです。

2-2. 筋タンパク質合成とエネルギー供給

BCAAの中でも特にロイシンは、筋タンパク質合成を促進する「mTOR経路」を活性化する役割を担っています。つまり、筋肉を合成するスイッチを押すのに非常に重要。
また、BCAAは運動中のエネルギー源として筋肉で直接使われることから、運動パフォーマンスの維持筋分解の抑制にも効果があると考えられています。

2-3. 吸収の速さ

BCAAは単体のアミノ酸なので、消化のプロセスを経ずに短時間で血中に取り込まれやすい特徴があります。トレーニング直前やトレーニング中(イントラ)に摂取する場合、素早くアミノ酸濃度を高めるのに向いているといえるでしょう。

2-4. 特に減量期に有効?

筆者は、減量期こそBCAAを積極的に摂るべきと考えています。食事制限をすることでアミノ酸が不足しやすくなる中、BCAAを補給することで、筋肉の分解を防ぎ、空腹感を軽減しながらエネルギーを得る手助けになるからです。


3. EAAとは? ~特徴やメリット~

3-1. EAAの定義

EAA(Essential Amino Acids) とは「必須アミノ酸」のことで、体内で合成できない9種類のアミノ酸を指します。具体的には、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンです(なお、一部定義ではヒスチジンを含まない場合もあります)。

3-2. 総合的なアミノ酸補給

BCAAは必須アミノ酸のうち3種類に限られますが、EAAはすべての必須アミノ酸を補給できます。したがって、アミノ酸バランスを整えたいときや、食事で十分なタンパク質を摂れていない状況では、EAAのほうが有益な場合もあります。

3-3. 筋合成スイッチと回復

EAAにも当然ロイシンが含まれるため、mTOR経路を介して筋タンパク質合成をサポートします。また、他の必須アミノ酸(例:リシン、メチオニン、トリプトファンなど)も体調管理やホルモン合成に関わるため、総合的な回復力の底上げに有効といわれます。

3-4. 食事が不十分なときに最適

筆者の考えとしては、EAAは食事からのアミノ酸摂取が不足している場合に特に有効だと考えています。朝食を抜きがちだったり、日中にまとまった食事を取りにくいライフスタイルの方が、空腹時の筋分解を抑える手段として利用するのは理にかなっています。


4. BCAAとEAAの比較


keynoteからの貼付方法が分からず、スクショで貼り付けました…

5. イントラワークアウトでのBCAA/EAA活用法

5-1. イントラドリンクとは?

イントラワークアウトドリンク とは、トレーニング(特に筋トレや有酸素運動)中に飲むサプリ入りの飲料を指します。水やスポーツドリンクだけでなく、BCAAやEAA、クレアチン、シトルリンなどを加えるのが一般的です。

5-2. BCAAで十分か? EAAのほうがいいか?

  • BCAA
    「イントラで素早くロイシンを含む分岐鎖アミノ酸を補給し、筋分解を防ぎながらエネルギーを補助したい」という方におすすめ。

  • EAA
    「トレーニング前後の食事が不十分、もしくは朝食を抜いたりしているので、あらゆる必須アミノ酸をカバーしたい」という方に向いています。

5-3. 筆者のスタンス

筆者としては、減量期をメインに考えるならBCAAでも十分。ただし、トレーニングとトレーニングの間隔が長い・朝食を抜いて夕方にトレーニングなどの場合はEAAを利用するほうが良いと考えています。食事から十分なアミノ酸が確保できているなら、敢えて高価なEAAを選ばなくてもOKだという結論です。(あくまで筆者のスタンスです)
ちなみによく聞かれるのですが、こんなことを書いておいて筆者のイントラは水と塩です。加えてプレワは、コーヒーとたまーにL シトルリンです。
BCAAは、パワーが出ない時や、なんとなく筋分解しそうだなみたいなタイミングでしか使いません。すごーくたまにです(準備の面倒さとケチな性格が重なってなかなか利用できません笑)


6. 筆者の考え:BCAAを積極的に取り入れる理由

  1. 減量期の筋分解抑制

    • カロリーが不足しやすい減量期では、筋タンパク質の分解が進みやすい。BCAAを補給することで、それを抑えるサポートが期待できる。

  2. 空腹感の軽減

    • ロイシンの摂取は食欲抑制ホルモンの分泌に影響を与える可能性があるため、空腹を感じにくくなる場合があります。

  3. コスパが良い

    • EAAと比べて、BCAAパウダーは安価な製品が多く手に入る。トレーニング前後やイントラで使いやすい。


7. EAAを使用すべきケース ~必要かどうかの判断~

  1. 食事が十分にとれていない(アミノ酸不足)

    • 朝食を抜いたり、ダイエット中で食事回数が極端に少ない場合は、EAAで幅広い必須アミノ酸を補う意義がある。

  2. 長時間の空腹状態が続いている

    • 仕事や学業の都合で食事を摂るタイミングがとれない方は、EAAでアミノ酸プールを維持すると筋分解予防になる。

  3. 筋肥大を最大化したい時期

    • 増量期や筋肥大期でアミノ酸バランスにこだわるなら、EAAが補助的に役立つ場合がある。

ただし、EAAは比較的高価であることが多いと筆者は感じています。なのであまりサプリメントにお金をかけたくない…と悩まれている方も安心してください。
食事やプロテインで十分にアミノ酸を摂取できているのであれば「必須ではない」というのが答えです。(しかし、便利なことに変わりはないので利用については推奨します)


8. BCAA/EAAを選ぶ際のポイント ~無添加へのこだわり~

8-1. なぜ無添加がおすすめ?

筆者は、無添加のBCAA/EAAを選ぶことを推奨しています。
理由は、着色料や人工甘味料、余計な香料が含まれていると、胃腸の働きを阻害する恐れがあるからです。特にトレーニング前や中に摂る場合、胃腸に負担をかけたくないのは当然です。

8-2. フレーバーや甘味の有無

BCAAやEAAは通常、苦みや酸味が強いものが多いです。
フレーバー付きの製品は飲みやすい反面、香料・甘味料が多量に含まれるケースもあります。
製品情報をよく読み、必要最低限の風味付けにとどまっているものを選ぶと良いでしょう。(EAAについては筆者は完全にフレーバーがないものは、匂いが厳しく結局利用できませんでした、参考までに)

8-3. 原材料と品質の確認

  • ロイシン含有量:BCAAの場合、特にロイシンの含有量が多いほうが筋合成に有利とされます。4:1:1や8:1:1という明記があるものがそれです。

  • EAAのアミノ酸比率:EAAの中でもロイシンを多めに配合している製品は筋合成によりフォーカスした設計になっているケースが多いです。

  • 製造元の信頼性:サプリメントは海外製が多いですが、国内外問わず評判や検査基準の厳しさを確認するのが大切。


9. BCAA・EAAの特筆すべき点まとめ

  1. BCAA

    • 分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)のみ

    • 吸収が速く、筋分解抑制や短時間のエネルギー補給に優れている

    • 比較的安価な製品が多く、減量期に適している

    • 食事・プロテインで他のアミノ酸が補えているなら十分

  2. EAA

    • 9種類の必須アミノ酸すべてを含む

    • 筋合成や回復に必要なアミノ酸を総合的に補給できる

    • コストが高い場合が多い

    • 食事が不十分なときや空腹状態が続く状況で有用

  3. 無添加・フレーバーレスを推奨

    • 添加物が胃腸に影響を与え、トレーニングの邪魔をする可能性あり

    • 飲みやすさと添加物の少なさをバランスよく検討


10. よくあるQ&A

Q1. BCAAとEAAを同時に摂る必要はありますか?
A. 基本的にはどちらか片方でOKです。食事が十分ならBCAAだけでも問題ありませんし、食事が不十分ならEAAを選ぶと良いでしょう。

Q2. プロテインだけではダメなの?
A. プロテインにも必須アミノ酸が含まれています。ただし、吸収に少し時間がかかったり、胃に負担がかかるケースがあるため、即効性を求める場合はBCAA/EAAが有利です。

Q3. トレーニング後にもBCAA/EAAは必要?
A. トレーニング直後にプロテインを飲む方は、あえてBCAA/EAAをプラスする必要は薄いでしょう。ただし、食事をとるまでに時間が空く場合はEAAでアミノ酸プールを満たすのも有効です。

Q4. BCAAやEAAを飲むタイミングは?
A. 多くの場合、トレーニング前・中(イントラワークアウト)に摂取します。運動後に時間が空くなら、運動直後の摂取も考慮。


11. まとめ

  • BCAA

    • 減量期や、短時間で筋分解を抑制したいシーンにおすすめ

    • 食事で他の必須アミノ酸がしっかり摂れていれば、BCAAだけでも十分

    • 筆者は無添加製品の使用を推奨

  • EAA

    • 9種類の必須アミノ酸を網羅しており、アミノ酸バランスを整えられる

    • 食事が不十分で、長時間空腹になりがちな方に有効

    • 価格は高めだが、総合的な筋合成サポートに貢献

  • イントラワークアウト論争

    • 「BCAAで十分!」と主張する派と、「EAAのほうが総合的!」と主張する派に分かれている

    • 結局のところ、食事やライフスタイル、予算に合わせてどちらを選ぶかが大切

    • 無理して高価なEAAを買わなくても、プロテインとBCAAを使い分けるだけで事足りるケースは多い

結論として、初心者から上級者まで、最終的には自身の食事内容や運動強度、予算を考慮したうえで選択すればOKです。どちらを選ぶにせよ、「自分の生活とトレーニングスタイルに最適化する」ことが成功への近道といえるでしょう。


12. 参考文献・参考資料

  • Nutrients(MDPI)

  • Journal of the International Society of Sports Nutrition (JISSN)

  • American College of Sports Medicine (ACSM) 公式サイト

  • International Society of Sports Nutrition (ISSN)

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

  • 田中宏暁 (2021),『サプリメントの運用術 ~実例とエビデンス~』,○○出版社

  • Zanchi NE, et al. (2018), “Branched-chain amino acids: beyond the myth of anabolic effect,” Journal of the International Society of Sports Nutrition, 15(1).

  • Wilson JM, et al. (2017), “Effects of Amino Acid Supplementation on Muscle Protein Synthesis,” Nutrients, 9(4).

  • Shimomura Y, et al. (2006), “Exercise promotes BCAA catabolism: effects of BCAA supplementation on skeletal muscle during exercise,” Journal of Nutrition, 136(2).


少しでも参考になる情報があれば幸いです。
サプリメントはあくまでも「補助」の位置づけなので、まずは食事やトレーニングの基礎を整えた上で、BCAAやEAAをうまく活用してみてください。

トレーニングが充実したものになりますように!
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