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観察や共感が失敗したとき

あなたと共にうたいたい。

元高校教師(国語)の
たこせん枝瀬です🐙

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教育は
自分が変わらないと
他人を変えることなんてできない。
       =「主体変容」

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【たこせん枝瀬の発信の足】

タコマンダラ

【河合隼雄『で』語ります!!】


観察や共感が失敗したとき

河合俊雄『100分de名著 河合隼雄スペシャル』より

そりゃあ、
クライアントにしたって、

セラピストと自分との関係というのは、
世界の中でいちばん大事だというのは
知ってるわけでしよ。

知ってるから来るわけでね。

だから、
あんまり困らすようなことをいって
関係を壊したら、

自分が損するというのは
どこかで知ってるわけです。

それを
あえてつきつけてきたというのは、

セラピストとしても、
それまでの面接のどこかで

共感に欠けていたと見て、
まず間違いないですね。

河合俊雄編『臨床家 河合隼雄』

卑近な例で、申し訳ないが、
多くの男性陣がうなづいてくれると思い、
取り上げてみたい話がある。

ねえねえ、髪切ったの気づいた?

ドキッ!

妻なり交際相手なりから、
もし、こういう切り出し方をされたら、

その時点で勝負は決している。

「もちろん、気づいてたさ!」
「ウソツキ💢」

パターン①

「え、髪切ったの?全然、気づかなかったよ」
「…ひどい💢」

パターン②

気づいていたパターンにせよ、
気づかなかったパターンにせよ、

怒りマーク(💢)は避けられず、
防戦一方になるのは必至だ。

なぜかといえば、
我々は、

ねえねえ、髪切ったの気づいた?

言われた時点で負けていたのだ

と切り出される前に、
髪を切った事実に
気づかなければならなかったわけで、

なんなら

その髪型、前より似合ってるじゃん

くらいの共感を示したいところではある。

ただし、
そんなやり取りを楽しむのは、

二人の関係が浅い段階か、
ラブラブなときに限られており、

ほとんどの場合、

「ねえねえ、髪切ったの気づいた?」
言われることもなく

「髪切ったんだね」
言うこともなく

お互いが無関心に時間が流れていく。

パターン③

ではなかろうか(苦笑)。

相手のことを知り尽くして、
関係が熟した(??)上で、

そうなっているのなら
大きな問題はないだろうが、

学校現場や家庭や
カウンセリングの実際で、

お互いが
無関心で諦め切っていたら

それは、
お話にならないわけで

教師や親は、

生徒や子どもの
感情や心の動きの変化を、
注意深く観察し捉えていかなければならない。

まして、
カウンセリングやセラピーという現場になれば、

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
観察と共感こそ、
勝負どころ。

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そこができていなければ
クライアントに噛みつかれるのは
当然なのだけど、

どのように噛みつかれるのか?

その実例を
河合隼雄は実にわかりやすく示してくれて、
大いに参考になる学びがあるので紹介したい。

先生、わたし臭いですか??

自分の匂いが気になる、
というノイローゼがあるそうだ。

ホントは
全然匂いなんてしてないのだけど、

ヘンな匂いがするから
みんなが私を嫌っていると、
その人は思い込んでいる。

こういうケースは
なかなか治りにくいものらしい。

河合隼雄もかつて、
そんなクライアントの
面接をしていたそうだ。

のちに(別の記事でも)
詳しく述べていきたいが、

河合隼雄の
カウンセリングなり面接は、

□□□□□□□□□□□□□□
何もしない
何も話さない

□□□□□□□□□□□□□□

という点に大きな特徴がある。

「自己臭ノイローゼ」
の場合も同様で、

河合隼雄は、
クライアントに
心を開く態度をとりながら、

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
話を聴くことに専念する。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

それだけで(それだけなのに)
治っていくものらしい。

おやじがこんなこと言った、
友達とこんなけんかしたとか、
そういうのをずうっと聞いていったら
だんだん治っていくわけです。

結局、
自分の心のなかが整理されていくわけですから、
ぼくらは大体、筋を考えて聞いているわけです。

ある方でそういうふうにずうっといっていた。
大体うまいこといっているから
安心しとった。

河合隼雄・南伸坊『心理療法個人授業』より

ところがである。

ある日、その人が入ってくるなり、
ボンボーンとぼくをはたいてくる。

「先生、僕の匂い、するでしょう」
言うんです。

答えるの、すごい難しいでしょう。

河合隼雄・南伸坊『心理療法個人授業』より

難しい。
これは妻なり、恋人なりから

髪を切ったの、気が付いた??

と問い詰められる何倍も切迫している。

「(匂いが)する」と言うたらウソでしょう。
しないんですから。

「しない」と言ったら
怒って帰るかもわからん。

「ウソつけ!」いうかもわからない。

「先生、ぼくの匂い、するでしょう」
言われて、アッと思った。

河合隼雄・南伸坊『心理療法個人授業』より

こういうことを聞かれたら
ひとつには、それまでの面接で
こっちがだいぶ失敗しているということです。

そういう疑問を
投げかけてきたということはね、

おまえの態度はなってないということでね、
つまりクライアントが
短刀を突き付けてきたということで

その痛みをおまえは感じてないんじゃないか
と言ってきているわけです。

河合俊雄編『臨床家 河合隼雄』より
太字は枝瀬が付けた

場を壊すくしゃみ

枝瀬は、
河合のこの文章を読んだとき、
思い当たる場面が次々に想起された。

たとえば、
自分が自分の話に酔ってしまい、

ポジティブでいこうぜ。
感謝できる人って強いからさ。

今の自分の境遇に感謝だよ。
友人に感謝だよ。
家族に感謝だよ。

そんな話を
気持ちよさそうに教室で話していると、

くしゃみだったり、
椅子をひきずる音だったりがして、

自分の話や、
その場の雰囲気を壊すように
雑音を立てる生徒がいる。

その生徒は
意図的ではない。

意図的ではないのだけど、

枝瀬の配慮の足りない一方的な正論に
苦しくなってしまって、
必死の抵抗として、

くしゃみをするのだ。
(と枝瀬は解釈している)

つまり、
どうしても前向きになれない
心情のときがある。

家族にどうしても
感謝できない瞬間だってある。

そういう生徒にとって、
あまりに共感や配慮の足りない発言を
枝瀬が滔々と述べていると、

なんだか、
一石を投じたくなるわけだ。

河合に向けられた発言

先生、私、匂いますか?

も、
観察と共感の足りないカウンセラーに対する
必死の抵抗の一つなのかもしれない。

そんなとき、どうする?

じゃあ、
そういう「しくじり」を犯した時、

どうすればいいのか?

ここが一番、
気になるポイントなのだけど、

この点についても
河合隼雄は指針を示してくれる。

「先生、ぼくの匂い、するでしょう」

言われて、アッと思った。

ぼくはこれは大変なことが起こったと、
前回のことを思い出したんです。

河合隼雄・南伸坊『心理療法個人授業』より

というのも、
河合は、前回の面接の終わり、
次の予定の講演会のことを考えていて

クライアントの話を
ちゃんと聞いていなかったそうなのだ。

(面接の)終わりのほうは、
これで延長したら大変なことになると思って、

時間内に終わって、
タクシー乗って、とグルグル考えているから、
話を聴くのが上の空。

そこに気がついたので、

この前、悪かったなァ。
この前の最後のほうの10分は
本気で聴いてなかった。

悪かったけど、
あれは実際は
あんたのすぐあとで、

タクシーーでかけつけて
講演しなければいけなかったんや

と謝るそうなのだ。

すると、

ああ、そうですか

と言って、
クライアントは
もう普通に話をする。

匂いも何もない。

それだけで元に戻る。

クライアントが入ってくるなり
「先生、僕、何か臭いがするでしょ」
っていうでしょ。

そうしたら僕、
少し間をおいて、

「あの、この前お会いしたとき、
何か嫌なことありましたか」と言いますね。

それで
本当の関係が成り立つわけです。

「そこまであなたが言ってるんだから、
この前、僕、変なこと言いましたか」
と言って構わないわけです。

つまり、
ここで河合隼雄が言いたいことは、

□□□□□□□□□□□□□□□□□
相手の苦しみを
共感し直すこと
□□□□□□□□□□□□□□□□□

なのだと思う。

教師や大人であれば、

生徒や子供が
わざとこちらを困らせるような

言動をしてくることは
体験的にあるだろう。

そのとき、

ああ、この子は
それほどまでに困っているんだ

という理解の仕方ができるかどうか?

そこが

関係性を維持していくか、
関係性が壊れてしまうか、

の一つの分かれ目になるのだと思う。

まとめ

わかりやすくするために
話をかなり単純化していることは
お断りしたい。

ここで言いたいのは

観察が共感が足りないと、

髪切ったの気づいた?

わたし、匂いますか?

はっくしょん!

という反応をもらうから要注意。

でも、そこで
「まずい!」と思って、
軌道修正して、

相手の苦しみや悩みを
しっかり共感し直す態度を
こちらが忘れなければ、

関係性は維持されていく、
ということだ。

徹頭徹尾、

#なんのはなしですか

と思われたかもしれないが、

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
解釈の仕方によって
人間関係は変わっていくよ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

ということを
河合隼雄の言葉『で』
枝瀬は語りたかったのです。

今日は、ここまで。

最後までお読みいただき
ありがとうございました。
嬉しくてタコ吹いちゃいます‪(˶˙๏˙˶)♡‬


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