福知山線廃線跡、真夏の小冒険
こんにちは。えだまめです。
7月になって数日たちました。連日雨が続いてやっと晴れたと思ったら今度は急に猛暑が襲ってきてもううんざりって人も多いんじゃないでしょうか。というか今年ももう半分無いって本当ですか…時間の流れの速さで老いを感じている今日この頃です。
まあそんな勝手に老け込んでもしょうがないのでハイキングに行こうとクーラーの効いた部屋で思い立ちました。結構歩いたりして体を動かしたりするのは好きです。暑いけど。まあ暑いからって更に外に出なくなったらもうどこにも行けないし動きましょう。さてさて、じゃあどこに歩きに行こう。そんなときに福知山線の廃線跡が整備されて歩けるようになっていることを思い出しました。写真で見た感じはキレイそうです。それ以上もそれ以下でもないですが行ってみることにしました。
はじめに:福知山線とは
長距離も中距離も短距離もいける黄色い子
とはいっても福知山線廃線跡、ひいては福知山線ってなに?おいしいの?という人も多いと思うのでざっくりとご紹介。
まずは福知山線の概要から。福知山線は大阪なのか兵庫なのかよくわからない県境の街:尼崎を起点に、歌劇で有名な宝塚、黒豆と牡丹鍋の小京都:丹波篠山市の玄関口である篠山口駅を経由して京都か兵庫か分からない北近畿の首都:福知山駅までを結ぶJR西日本の路線です。結局どこを走ってるのか分かりにくいですが福知山駅周辺以外は兵庫県を走っています。
全長は106.5km。福知山と聞くとのどかなローカル線をイメージしますが実は大阪と北近畿地域を結ぶ特急こうのとりが1時間に1本くらい運行される重要幹線だったりします。普通列車も基本1時間に1本程度確保されているのでそこまで悲惨なことにはなっていない。そんなイメージです。
元気な路線、ナゾの廃線跡
じゃあなぜこんな元気そうな福知山線に廃線なんてあるのか、という話になってくるんですがそれがあるんです。
時はさかのぼること1980年台。この頃の福知山線は宝塚まではバチバチに電化され、レールも2本ある複線の状態になっていました。しかしながらそれより北側は秘境の地。レールは単線、ディーゼルカーがのこのこと走る世界がひろがっていたのでした。
そんな中、ついに宝塚以北も順次複線電化をしようという話に。その際に川沿いをクネクネと曲がる部分が問題視されます。この部分、レールを敷くスペースもなくスピードも出せません。困った。
という経緯で山をトンネルでぶち抜くことにしたのです。そして使われなくなった川沿いの部分は廃線になりました。
具体的に場所を出すと宝塚市と西宮市にまたがった場所にあります。赤線と青線が旧線、左側の細くて黒い、まっすぐな線が新線になります。この内、赤い部分の大部分は危ないので立ち入り禁止ということになっていましたが2016年に整備され、以後ハイキングコースということで解放されています。このコースは川に沿っていた路線をそのまま使っているので武庫川の流れをそばで感じながら歩ける隠れた名所として知られています。(多分)
今回のルート
さてこのハイキングコース、主に二通りの行き方があります。って言っても北から行くか南から行くかってだけなんですけどね。どっちから行っても通るルートには変わりないので大丈夫です。
まず廃線跡の付近にはちゃんと駅があります。…よく考えれば当然かも。
その駅たちの名は何と申すかと言えば、北側は武田尾駅、南側は生瀬駅と言います。一応両駅の間に西宮名塩っていう駅もあってそこからでも南口にアクセス可能です。でもショートカットにもならないし、本来の廃線跡を辿りたいなら生瀬駅から歩いた方が無難です。大阪からなら運賃も安く済みます。私には名塩から行くルートを使う意味がよく分からないです。誰か意味を見出しましたら是非ご連絡ください。
とりあえず今回は南から歩いて武田尾駅を目指すことに。理由はなんとなく北が上を向いている地図を見ているからです。なんか地図的に下るのは私の性に合いません(?)
それも理由ですが本当の理由は生瀬駅からハイキングコースまで一般道を徒歩で10分程度歩きます。その部分を先に済ませた方が楽そうだと判断。そんなわけでこのハイキングは生瀬駅からスタートです。
ちなみに西宮市の公式サイトが参考になるので興味ある人は一旦見てみると良き。持ち物とか廃線跡MAPとかあって非常に参考になります。
これ以降は有料(200円)ですが、写真とか使いつつ公式サイトでは分かりにくい感覚的な部分を書いていこうという感じです。もしよろしければ続きも見ていただけると嬉しいです。
生瀬駅~廃線跡入口
ということで生瀬駅にとうちゃく。大体にはなりますがJRの大阪駅からは乗り換えなしで30~40分くらいでしょうか。結構アクセスは良いと思います。意外にも私以外に明らかにハイキング目的の方が数名降りていかれました。しかし暑いです。この日の最高気温は34度。7月ですよ。おかしい。こんなに暑いのにハイキングする物好きって結構いるんですね。ああ私か。
意外にも道路沿いにちょいちょい看板が出ています。やっぱり意外とハイキングに来る人多いんだな。そんなことを考えながら地図を見て進んでいきます。途中キレイなトンネルが見えますがその横におまけみたいなトンネルありますよね。我々徒歩勢はこっちです。結局途中で大きいトンネルに合流するので何の問題もありませんが。
道なりに進んでいくと高架橋が見えます。もう少し道なりで大丈夫です。ちなみに写真にも写ってますが路線沿いに阪急バス?が走っています。廃線跡入口の付近にバス停があるので今から歩くというのに極力歩きたくない自堕落な人はバスもご検討下さい。宝塚駅から1時間に1本ないくらいで走っているはずです。
高架の下をくぐったら今歩いている道路の反対側にわたります。横断歩道が何か所かあるのでどこかで渡れるはずです。ここ意外に交通量があるので元気なおじいちゃんみたいに適当に飛び出していったら普通に轢かれるのでやめましょう。下に降りる道を見つけ、明らかに倉庫にしか見えない仮設トイレが見えたなら入口はもうすぐ。すでに汗だくですが頑張りましょう。
というわけでここからが入口です。こちらの生瀬口には駐車場が無いので自家用車で来たい人は武田尾の方なら駐車場がありそうなのでそちらに車を停めて行き、武田尾駅まで帰りは電車で行く感じになると思います。
あと、トイレはさっきの仮設トイレ以降出口まで全くないので注意。自販機とかもないです。それに加えて携帯の電波も入らない場所だと思っていった方が良いです。基本通じません。別にトイレ以外なにもないので身支度とかすることないかもですけど、ちょっとここで確認しておきましょう。
廃線跡入口~第二武庫川橋梁
さあお待たせしました。歩いていきましょう。一応公式だと走破するには大体2時間程度が目安みたいです。知らんけど。
歩いてみると枕木のあとが埋もれています。これくらい埋もれててくれると歩きやすい。この辺りは岩もごつごつしていることもなく快適です。あとこれは全区間に言えることですが、鉄道が通っていたということで勾配が非常に緩やか。坂って概念がこの世界では消え失せています。登山的なイメージを持たなくても大丈夫です。
肝心の景色ですが、こんな感じ。どうでしょうか。私的には思ったより川が澄んでいるのがびっくり。写真だと伝わりにくいのが残念ですが、結構川底が見える場所が多いです。さすがにずっとこんな木に被らず川の景色を眺めることはないですが、常に武庫川が見れるので満足度高いです。むしろこれだけ開けていると日射が暑いので多分しんどいでしょう。
しばらく歩くとワクワク要素、廃トンネルの登場です。公式的には全部で6つのトンネルがあるとの記載があります。もちろんちゃんとこの中に入れます。サイコー。ただしここで一つ注意です。本当に暗いです。真っ暗。短いトンネルならまだいいですが長いのは普通に10分くらい中を歩きっぱなしなので懐中電灯等、何か足元や正面を照らす装備は必須です。無いと冗談抜きで歩けないのでここで引き返すという面白くないことになります。
まあスマホの懐中電灯的なモードでも行ける…とは思いますけど携帯の電池の残量が鬼のように減りますしやや光量不足です。足場も悪いのでおとなしく懐中電灯を持っていきましょう。
暗すぎます。写真で見るより10倍は暗いです。その上路面状況もそこまで良くないです。ごろごろした栗石が敷き詰められているので歩きにくい上に所々水たまりが。ちゃんと足元を照らしてゆっくり歩きましょう。
こんな感じで進んでいくとなんか枕木がどんどん地面に露出してきました。大体10センチくらいメンマみたいな木がコンニチハ。こんなところ歩いている人は躓かないと思いますが日常であったらやばいくらいの段差です。地面も土と小石が混ざった感じになってきて歩きにくさに拍車をかけます。
ちなみにこんなに草が生い茂ってますが7月上旬は全く虫とかには遭遇しませんでした。不安なら虫よけスプレーとかあると安心かもですが懐中電灯よりは必須ではないです。(と、思う…)
歩き始めて40分くらいが経過したでしょうか。結構歩いてきました。…めちゃくちゃ暑くてほどほどに死にそうですがたまにトンネルに入るとこれがかなり涼しい。昔社会科の授業かなにかで「どこかの国のとある民族(忘れた)は地中に家を造る。土の中は1年中温度が一定に保たれるため快適」みたいな内容を学んだような気がします。クーラーの効いた部屋に引きこもっている私の肌感覚によると多分20~24度くらいだと思います。ちゃんと計ってないから知らんけど。だとしたら10度くらい外界と違うのかな。…そう考えてみると全然自信ないかも。
そこで汗がスーッと引いていって快適です。…よく考えるとサウナと構図が似てる?まあ特に気持ちいいとか整ったとかないけど暑すぎて休憩ほしいみたいな感じには私はならなかったです。でもこういうの結構危ないので死にたくなかったら皆さんは適度に休憩取りましょう。
1時間ほど歩き始めて着きました。第二武庫川橋梁です。このコースで唯一のトラス型鉄橋、ハイキングコースの目玉になっています。
この前後は両方ともトンネルになっていてトンネルと鉄橋を写すことができます。武田尾側のトンネルは正面に水たまりができていたので写真の通りリフレクションを狙えます。これは一眼で撮ってますがスマホカメラでも十分いい写真が狙えます。わかりやすいシャッターポイントですね。近くにベンチもあったのでこの景色を見ながら休憩なんてのもまた風流。恐らくベンチもずっと濡れているので座れないのが唯一で最大の欠点です。
さあ、もうしばらく武田尾駅に向かって歩いていきましょう。
武庫川第二橋梁~武田尾駅
お昼14時、一番暑いくらいの時間帯ですがしばらくトンネルなのですいすい進んでいきます。このトンネルもよく見てみると斜坑があったり岩盤の石が直接露出していたりする箇所があったりするのでそういった部分に注目してみるとさらに面白いかもです。外も下の写真のように遺構が結構残ってるのでせっかくの廃線探訪を楽しむのはマストでしょう。
いやー、いい天気の日に来てよかった。暑いけどやっぱり屋外はこういう晴れた夏の日が一番楽しいです。写真も撮りやすいし。すれ違う同業者と何気ない挨拶を交わしながら歩くこの時間は、なんだか日常からかけ離れてて癒されます。素敵な時間。
しばらく歩いてると道が二手に。そのまま廃線ルートを進む方と恐らく廃線後に整備された親水公園へと至る2択を迫られます。なんとなく響きで後者を選びましたが200mくらい先でなぜか合流してから親水公園へとたどり着きました。なんだそれ。
親水公園にはいろんな品種の桜が植えてあります。今は新緑も過ぎ、特に面白みも個性もない桜の木ですが、きっとシーズンに来たらいろんな形の花が見られるのかな。見てみたいけど混みそうなんで恐らく来ないけど。
そんな中、明らかに川岸に繋がっていそうな階段を見つけました。こういうとき、私の小さい頭では降りることしか選択肢を提示してくれません。脳死で降りていきましょう。
川だ!!!わーい!!!(精神年齢小学生)
ちょっとテンション上がるよねこういうの。手前の小川なんて見て下さい、透き通っているという単語はこのためにあるような単語でしょう。思わず飛び込みたくなるような水質です。とか言いながら当然水着も持ってないし泳ぐの嫌いなんで遠慮しときます。
せっかくなので手前の小川の水を飲んでみることに。いや、別にお茶はもってますけどなんか野生の勘で行けると思ったので。ピロリ菌?カンピロバクター?知らない子ですね。
結論から言うとおいしかったです。まあ水は水なのでそこまで大きな違いとかは感じませんけど塩素とか入ってい分クリアで飲みやすい、臭いが気にならないってのは感じました。結構何杯も掬って飲んじゃったり。
あと冷たくて気持ちよかったので顔洗ったりここまでの道中汗をそれなりに吸い込んだタオルを洗ったりしてゆっくりしてました。ちなみに足を滑らせて水にダイブしかけたのはここだけの秘密でお願いします。
さあ、そろそろゴールが近そうです。実際、この辺りは以前から整備されていたっぽい(さっきの親水公園付近まで?)です。そして、さっきの親水公園あたりから気分的に人が多いような気がします。よく見てみると普通に虫取りに来たような親子連れだったりピクニック?というか単純にお昼ご飯を食べているお年寄りとかがさっきの親水公園めがけてやってきているという感じですかね。すごくいい雰囲気だと思います。
なんか道に木が埋まっているのが当たり前みたいになってきてますけど改めて考えるとすごいことです。転ばないように最後まで行きましょう。
歩き始める事1時間半、久しぶりのアスファルトの道が見えてきました。どうやらここが終点のようです。やった!
反対側はさっきの親水公園の桜をアピールする看板が立っていました。こっちから廃線跡にアクセスする人が多いのでしょう、トイレもちゃんとした公衆トイレがあり、駐車場もあり、しまいには民家、レストランとかもありました。生瀬の方とは大違いな状況です。
そして、生瀬駅側から行ったのは生瀬駅~廃線跡の距離が遠いから先に済ませるため。つまり駅まではそこまで歩かなくても着きます。本当のラスト数百メートル、レストランの誘惑に負けずに頑張ることにしましょう。
公道を歩くことカップラーメン約3個分、武田尾の駅に着きました。長いような、短いような時間でした。冷静に2駅分歩いて来たんだーという感情と汗ばんだ私の体と電池のないスマホの絶望感ともうなんか合わさりあって虚無です(?)何を言っているんだ数日後の私。
とりあえず水分補給。ぬるいお茶飲んでも気分が上がらなかったので自販機でコーラでも買いました。こういう暑い日に飲む近々のコーラは最高です。そんなこんなでうかうかしていたら電車が来るとのアナウンスが。武田尾の駅ってなんかトンネルと高架駅を足して割る2にしたようなおもしろい構造をしていますが十分観察することは叶いませんでした。実は次の予定もあるので急がないといけないのです。1本くらい逃しても多分間に合いますが調べてないのでわかりません。武田尾駅をじっくり見るのはまた今度だね。まあいつになるかは知りません。でも気が向いたら、できれば涼しい日に来たい。そんなことを思いながら宝塚方面の区間快速に乗るのでした。
おしまい。