現役教員が新聞奨学生について教えます! 実態 体験談 きっかけ、メリット・デメリット①
新聞奨学生制度ってご存知ですか?
大学や短大、専門学校、予備校に通いながら新聞配達をする、という制度です。
今回は現役小学校教員で、なおかつ新聞奨学生の経験がある私が、大学や短大、専門学校進学を考えている高校生、中学生。行かせてあげたいけどお金が心配な親御さん。
そして、小中高の先生方へ向けて、
『こんな制度があるんだよ!』
ということを体験談を含めて、前半後半2回に分け、紹介していきたいと思います。
概要を話すと
1.学費を出してくれる。
2.職場の近くに部屋を用意してくれて、家賃がかからない。
3.ご飯も2食、1ヶ月3万円以下で用意してくれる。
4.学費以外に月10万程度、お給料がもらえる。
5.基本的には毎日朝夕刊配達、折込チラシの準備 などの付随業務がある。
という感じです。
つまり、やりくり次第で仕送りや学費などは実質ゼロになります。そのため。親御さんの負担はなしで家庭環境関係なしに希望の学校に行ける、という制度なんですね。
今回は2011年から2013年まで2年間日経新聞の新聞奨学生だった私が、実態やメリット、デメリットなどを話していきたいと思います。
結論から言います。
新聞奨学生をやってよかった!
なぜ『現代の奴隷』とまで言われる新聞奨学生制度をやってよかったというのか、それを書いていきます。
ちなみにネットを見ると、かなり酷いことが書かれていますが、私から見るとそれらは、
半分本当で半分は嘘
だと思っています。なぜなら販売所によって左右されるから。
いや違うか、経験談を話している人は本当のことを言っているだろうし。
ですが、それが全ての販売所に当てはまるわけではないってことですね。
私の話も一つの例として読んで頂ければと思います。
うちの販売所では学校に通う奨学生は2年間関わった中では10人くらいいましたが、半分以上の人は最後までやりきっていました。
→一緒に入った女の子は4年間やりきりました。運動経験があるわけでもないのに。本気で尊敬します。女の子でもやる気次第でできるっていうのはここで言っておきます。
逆に言えば、私も含め、途中で辞める人も半分近くいるということです。
1.新聞奨学生の実態① きっかけ
きっかけは高校2年生。3人兄弟の末っ子として、北海道に住む私は、ある理由で関東の大学に行きたくなったのです。
しかし、我が家は自営業で、ちょうどその時期社長である父が会社を畳むことを決意。
父は無職になり、母がパートを掛け持ちしてなんとか生活する、そんな日々を過ごしていました。
陸上部でしたが、部活の道具を買うのも厳しい状況。高校生ながら気を遣ってお年玉も断りました。→結局無理矢理渡されたけれど。
そんな状況でしたから、関東の大学に行くとはなかなか言い出せず。
勇気を出して母に言ってみると、勧められたのがこの『新聞奨学生制度』でした。
さっそく札幌で開かれている説明会に行き、概要を聞きました。
陸上部で長距離をしていた私にとっては、正直楽勝に見える世界でした。
後で現実を思い知らされることになるのですが…
2.新聞奨学生の実態② 入店、そして東日本大震災
2011年3月1日、卒業式を終え、3月8日に横浜駅から徒歩10分程度の販売所へ入店しました。
大都会横浜の人の多さに目がくらくらしつつ…
まず東京神田の日経新聞奨学会本社で小切手を渡され、その年の授業料を先に支払ったような記憶があります。
→あれ販売所入る前だったかな?自信ないぞ笑
そして横浜へ行き、次の日に原付バイクの免許を取りました。
→原付バイクの免許は1日で取得できる。
先輩に教えてもらいながらバイクの練習をし、次の日から先輩の配達について行ったような気がします。
→この辺記憶曖昧ですいません笑
そして3月11日、夕刊の準備時にあの大地震がやってくるのです…
被害自体はなんもなかったのですが、配達にも大きな影響が。
それは、ガソリンです。
ガソリンスタンドが長蛇の列。基本は社員さんが並んでくれましたが、てんてこまいな様子でした。
なにより一番辛かったのが心細さです。
初めての一人暮らし、知らない人との共同生活。
→販売所の上に部屋があり、2階は所長室、3階が男子階、4階が女子階でした。各階に共用シャワーとトイレ、洗面所がありました。一部屋4畳くらいかな?この部屋の壁が薄くて音が丸聞こえ笑
ただでさえ、18年間過ごしてきた実家を出て、遠い横浜で仕事をしながら過ごすだけでも大変なのに、震災の影響でコンビニからは物がなくなる。テレビからは不安なニュースばかり。楽しみだった大学は1ヶ月後ろ倒しで入学式やオリエンテーションはなし。
慣れない仕事、親しい人が誰もいない環境…
温室育ちの18歳が苦しくなるのは想像に難くないですよね。
私の場合、震災という不運はありましたが、それが無くても親しい人が誰もおらず、新しい環境、人間関係で責任ある仕事をするというのは、想像以上にきついものでした。親や高校の部活の仲間に電話しまくりでした笑
販売所に来て、数日はご飯も吐いてしまった記憶があります。
→販売所のご飯がおいしくなかったのもあります笑
ゴールデンウイークに2日休みをもらえて、帰省し横浜に戻ってきた時には、
『もう戻ってこないと思ったよ笑』
なんて先輩に言われました。それぐらい切羽詰まっていたんでしょうね。
3.新聞奨学生の実態③ 休みや必修授業について
みなさんも気になるお休みについて、そして、大学卒業に必須な必修科目は取れたのか、そんなことをお伝えしていきます。
日経新聞奨学生制度では、4週6休を売りにしています。
えっ、週休2日もないのかって?
そんなことを言ってはいけません!
読売新聞や朝日新聞などは4週4休なんですから。
教員の今、ブラックと言われるこの世界でうまく生きていけているのは、この時の経験かもしれません。教員は一応制度上完全週休2日で、夜はちゃんと眠れますからね笑
この夜に寝て、朝に起きるという当たり前の生活ができることにありがたさを感じます。
この新聞奨学生の経験があるからこそ、今4時半に起きるのがあまり辛くないのかもしれません。
当時は2時起きでしたから…
4時半おきの習慣化についてはこちらへ。
さて、その休みの取り方ですが、基本は曜日固定でした。
私の場合、午後にしかない必修科目が火曜日だったので、火曜日を固定にしてもらいました。
基本的に取ることができる授業は1.2限のみ。
3限の時間以降は夕刊業務のため取ることができません。
そのため、午前に開講されていない必修科目はお休みをもらうしかありません。
実習が多い理系の大学は厳しいかもしないという話は説明会でもありましたが、この必修科目問題があるからでしょうね。
水曜日だけどうしても必修科目である英語コミュニケーションがあり無理矢理3限に入れました。
3限に出ると、大学から駅までダッシュです。
駅から販売所までもダッシュです。
それでも、いつもより配達は15分程度遅くなるので、時間指定がある家庭から先に配達します。
普通1日5限まであると
『嫌だなー』
と思うと思うのですが、当時は1日中大学で学べるのが楽しくて楽しくて…。
このあと書いて行きますが、この学びたいという気持ちもメリットの一つでしょうね。
なんせ、自分で授業料払ってるんですから、サボるなんてもったいない!!笑
おかげさまで、1年次は全単位取得。
→2.3年は捨てた科目もある…笑
4年次で見ても学科180人くらいいる中で13位の成績だったらしいです。
この成績も、のちのち新聞奨学生を辞める時に関わってきます。頑張っておいてよかった…。
4.新聞奨学生の実態④ 1日の流れ、サークル参加
私の新聞奨学生時代の1日の流れはこんな感じです。
これはあくまでも一番楽な日のスケジュールです。
雨が降れば準備も配達も時間がかかるし、新聞自体の到着が遅くなることもあります。
最後に新聞が余ったり、足りなくなったりしたら、忘れているところや間違えているところを確認しに行ったりもします。
→見つからないことも多く、そういう場合はクレームが入り、あとで配達し直す。その連絡が怖くて着信恐怖症になります笑
これに加えて折込チラシの作成や順路帳(配達順番の書いた冊子。誰でも配れるように、月一回更新)の作成、読み合わせなどの付随業務があることもあります。
20時就寝とありますが、慣れてくればもっと遅くなっても大丈夫です。
→私は2年の後半は11時まで友達と遊んで、それから配達なんかもよくやりました笑
夕刊がある関係と、土日も配達があるので、
→日曜日は夕刊がありません!嬉しい。
サークルや部活は厳しいです。
そんな中でも入れるサークルはあって、私はアニメやゲームに興味があったので、漫画研究会に入りました。陸上部からエライ転換ですね笑
漫研は基本的に昼休みオタクな話をするだけのサークルだったので、参加することができました。
年に一度の3泊4日の合宿という名のオタク旅行は休みをもらったり、途中から参加したりで、毎年参加できました。
ちなみに大学1年生の時にこのサークルで今の嫁さんと出会い、付き合い始めました。
このように、制限はかなりあるけれど、サークルには入れないわけではないです。
てかむしろ入った方がいいです!販売所だけの生活は辛いですよ…
5.最後に
長くなってしまったので、今回はここまでにします。
次回はメリット、デメリットを書いていきます。
なぜ、新聞奨学生を途中でやめたのにやってよかった!と思っているのか…
今回では直接言及はあまりしませんでしたが、なんとなく感じていただけたでしょうか?
次回にご期待ください。
最後にこんな本を見つけたので紹介します。
私よりも若くてこんな本を出していることに刺激を受けます。
そして、先生を目指しているとか。
共感しますね。
では今日はここまで!お読みいただき、ありがとうございました!