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【20代学生】拒食・過活動。卒業1年後のお話

みなさんこんにちは。摂食障害オンライン相談室を運営する、元摂食障害の心理士、渡邉茜(わたなべ・あかね)です。

この企画は、当カウンセリングの卒業後を追う企画。

今回ご紹介する卒業生は、現在大学4年生のエミさん(仮名)。
2021年11月に卒業し、約1年ぶりの近況報告インタビューを行いました。

課題/回復のアプローチ

【エミさんカルテ】
■症状:拒食・過活動(低体重)
■カウンセリング期間:2019年2月〜2021年11月(2年10ヶ月)
■サポート内容
初回お母様通話⇨お子様月2回通話/お母様メッセージ

■プロフィール
2019年開始時、18歳。ご家族の都合で海外在住、高校2年の頃からダイエットでご飯を食べなくなり、152cm50kgから10kg ほど体重減少。生理が停止。高校卒業後は親元を離れ、海外の医学部に進学。2022年現在、大学4年生。

⚫︎典型的な努力家。日本人が少ない地域で育ち、英語以外の語学もたしなむ。海外大学の医学部の授業を英語でこなすほど多才。一方、頑張り屋で完璧主義。「向上心がなくなったら終わりだ!」という白黒思考気味。完璧主義によって感じる生きづらさを自覚し、緩和することを目指しました。

⚫︎健康志向が強く、毎日筋トレ、オルトレキシア気味。健康的な食事や運動をしている割に、体の心も健康ではない現状を問い直しました。目指すべき「健康」の意味を再定義し、「自分のパフォーマンスをあげるために」思考や食事、それに合わせた体型になることを目指しました。

⚫︎妹さんの痩せ体型への憧れがあり、「自分は努力してもすらっとならないのに、妹ちゃんは…」という比較に悩んでいました。憧れの対象を変更する必要があると考え、回復の過程で体型へのこだわりを韓国系タレントから、筋肉美にシフトしていきました。

卒業1年後のインタビュー

【1】カウンセリングをうけようと思った理由

母の紹介で受けることにしました

【2】実際に受けてみて、カウンセラーあかねの感想

あかねさんは常に私に話をちゃんと聞いてくれました。自分が思ってるように食べ物と向き合えていなかったりするところや、改善しようとしてまた違う問題に直面したときも、なにかと私の中で上手くいかないことも、なんでもポシティブに言い換えてくれました。カウンセリングの最後には今度の時までには何をしてみるかや自分の変えたいところやチャレンジしたいところを一緒に決めました。次の時まで少しでもそれを意識できるようにするのが私の中ではよかったです。意識できれば変わろうと思たり、自分の中でも自分は今変わろうとしてるんだって思えてよかったです。少しずつですが、自分もあかねさんのようにポシティブ思考に切り替えられるようにもなりました。例えば自分の思い通りにいかなかった日があってソワソワしてる時も「まあ〜いっか」と口ずさむようにしていたら、少しずつですが本当にまーいっかとおもえること増えて知らず知らずのうちに自分を責めることや食べ物のルールを決めることが減ってました!
自分は大丈夫だと思える言葉が一つでもあれば、落ち着きたい時に繰り返し使ってみると少しずつですが、本当にそう思えるようになっていいと思いました♪(私も最初は「まーいっか」なわけないって思ってましたw)

摂食障害の子って、基本的に自己否定的な自己評価をします。
良くあるパターンは、自己否定することによって傷つくことから自分を守り、前向きになる努力から逃げているとも言えます。厳しい言い方をすると、自己否定を言い訳にして、挑戦や面倒なことから逃げるようになってしまうのです。

しかし、彼女の場合は努力から逃げず、好奇心旺盛で、挑戦したがるタイプでした。これは、「向上心高すぎるゆえの、理想と現実とのギャップを感じて、自己評価が低い」という特徴がありました。

もうみなさんもわかるかもしれませんが、彼女は痩せていなくても、十分に実力があり、人間的魅力がある子です。自分のいい面を認め、理想に届かない自分を許し、8割達成でも自分を責めない心を育てていきました。

【3】実際に受けてみて、症状・生活・価値観の変化

小さい頃から好き嫌いはなかったのでなんでも食べれて、スポーツも毎日何時間もしていたので食べるのが大好きでした。なので自分が摂食障害になるなんて思ってもみませんでした。なった途端に食べ物に勝手に好き嫌いをつけて食べたくないものは嫌いと分類して避けて食べなかったです。生活も食べ物のことしか頭になく、自分の集中したい勉強にさえ集中するのが難しくそんな自分が嫌いでした。あかねさんとカウンセリングを始めてから、自分からいろいろ食べ物とどう上手く向き合えるかを考えられるようになりました。これを試してみると言ってベジタリアンだったり、低FODMAPの食べ物食べてみると言ったり、食べたいもの友達と食べる時間作ったり、となんでもこれしてみるということに対してあかねさんは否定せず毎回「いいねっ!」と言ってくれて、その次の時にどうだったか報告する際もどんな結果であっても聞いてくれて、アドバイスしてくれました。

彼女が大変だったのは、日本食が好きなのに、海外の食文化の中で回復していかなければならなかったこと。しかし、いろんなトライアンドエラーを繰り返し、少しずつ許可食が増え、チートデイも許せるようになりました。ポテチ好きだったよね(笑)

【4】実際に受けてみて、苦しかったこと

私は2週間に1回のペースでしたが、カウンセリングの後2、3日は精神的にも落ち着けていましたが、時間が経つにつれて思考が自分でも間違ってるとわかってるのに戻ってしまう時がありました。繰り返し同じことをしてしまったり、チャレンジしても自分では思ったように上手くいかなかったり、後戻りしてしまったんじゃないかなと思うこともたくさんありました。自分の中ではそんなこんなでいろいろしていてもループのように見えていても、あかねさんは常に変わってきてることや学んだことなどにつなげてくれて感謝でした。少しの変化にも気がつくこと、そしてそれがどんなに些細なことであっても、大切であることを知れたことは、今も私が生きていく上で大事にしていることの一つです。

彼女だけでなく、摂食障害の方ほとんどが、良くなったり悪くなったりの波を繰り返しながら回復に向かいます。その中で、悪くなっても、定期的にいい波に戻してあげることが大切だと考え、それがカウンセリングの役目だと思います。

彼女が偉かったのは、カウンセリングをした2年10ヶ月の間、ほぼ2週間に1回というペースを守ったこと。多くの方は、カウンセリングが面倒臭くなって、休んでしまうのに、彼女は調子が良くても悪くても毎回お電話に応じてくれました。「継続は力なり」という、当たり前のことを、当たり前にやってのける彼女だからこそ、ここまで回復したのだと感じます。

【5】卒業を決めた理由

私の大学では3年生が1番忙しい年とされていて、テスト期間の準備から課外活動やプロジェクトの担当などいろいろとやることがたくさんあり、気が散ってしまっていたので一旦お休みしようと伝えました。お休み期間中浮き沈みはあったものの、自分でこれからも大丈夫そうだと感じれたのでカウンセリングに戻りませんでした。また助けが必要だなっと感じたらあかねさんに連絡できると思えるだけでもすごく心強いです。

私は「摂食障害は完治できる」と、私はいろんなところに書いてますが、実際のカウンセリングでは「摂食障害とうまく付き合いながら、やりたい目標を叶えていく」ことを目指します。つまり、完治を卒業の定義にしません。
多くの方は、「痩せたい気持ちはあるけど、それよりも大切な生活を優先できる」という期間を過ごしたのちに卒業します。

彼女もきっと、まだ体型のこだわりもあるだろうし食事で悩むこともあると思います。でも、難しい勉強をこなしながら、大学生活を楽しむことを最優先にできていることが、彼女なりの回復した姿なのだと思います。

私もですが、20代はどうしても身なりを整えたくなるものです。30代になって、やっといろんなことに諦めがついたりしますし。そういう意味で、病的な痩せ信仰でなければ、摂食障害をほぼ克服したと言ってもいいと思います。

【6】卒業後の症状、体重、生活など

多少の浮き沈みはあっても、前のように極端な食生活はしなくなりました。また食べないという選択肢も今はもうなく、いくら食べ過ぎた日次の日でも食べれるようになりました。

お!すごいね。前はチートデイの後は、絶食に近い調整日をもうけていたもんね(笑)いいじゃんいいじゃん♩

彼女が素晴らしかったのは、どんなに痩せたい気持ち、食事が怖い気持ちがあっても「大学生を謳歌したい、友達と一緒に過ごしたい」という気持ちを勝たせていったことです。

一つ覚えているのは、「人生を後悔したくない」というのが彼女の口癖でした。でも、「痩せることで今を犠牲にすることは、将来後悔しない?」という私からの問いかけでした。それに気づき、考え方と行動を変えていった彼女に拍手です。

【7】カウンセリングを受けようと迷っている方に一言

迷っているということは、もう自分ではすごく考えた結果まだ答えが見つからずにいると思うので、1人で抱え込まずに、他の人に話を聞いてもらうといいと思います。話してみると解決することや自分の頭が整理されたりすることもあるのでまずは同じような経験をした方だったり、自分が信頼を置けると思える人に心境を語るのがいいと思います〜

そうですね。彼女もボランティアやプロジェクト活動など、さまざまな人と会話する機会を自ら作ったことが、彼女の回復の手助けになったと思います。さまざまな価値観に触れることで、世界は広がり、自分という存在を客観的に見れるようになります。

私も彼女からたくさんの刺激を受け、学び、私も学生生活をやりなおしたくなりました(笑)

そしてなんと、お母様からも素敵なメッセージを頂いてしまいました。

これからも、エミさんご家族を陰ながら応援させてください。もちろん人生に迷ったらいつでも頼ってください。帰国した際は、宮崎にもきてくださいね。エミさんとご家族の将来を楽しみにしています!

摂食障害オンライン相談室公式HP

■毎週月水金17:00〜YouTube

■著書「摂食障害のしおり〜ダイエット依存を卒業する5ステップ〜

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