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オルタナティブ投資とは?種類や魅力からリスク、始め方まで徹底解説

オルタナティブ投資は、株式や債券といった伝統的な投資対象とは異なる対象への投資をいいます。低金利環境の長期化や市場の不確実性増大といった背景から、分散投資先としての有効性が見直され、個人投資家の間でも「オルタナティブ投資」への関心が高まっています。

2023年に政府が策定した「資産運用立国実現プラン」では、「オルタナティブ投資やサステナブル投資などを含めた運用対象の多様化が重要」と明記されるなど、国をあげてオルタナティブ投資の普及を後押ししています。

しかし、「オルタナティブ投資ってなんだか難しそう…」「自分には関係ないかも…」と感じている方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、初心者の方でも理解できるよう、オルタナティブ投資を徹底解説します! 種類やメリット・デメリットから、始め方まで、あなたが知りたい情報をご紹介します。


1. オルタナティブ投資とは? 株式・債券に代わる「第3の選択肢」

オルタナティブ投資の「オルタナティブ」とは「代替の」「代わりの」といった意味を持ち、まさに株式や債券に代わる投資対象を意味しています。

ここでいう「第3の選択肢」とは、第1の選択肢である「株式」、第2の選択肢である「債券」といった伝統的な投資対象に次ぐ、別の選択肢という意味合いです。

従来の資産運用では、主に株式や債券への投資が行われてきましたが、近年、これらの伝統的な投資対象とは異なる値動きやリスク・リターン特性を持つオルタナティブ投資が注目を集めています。

具体的には、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、不動産、コモディティなどさまざまです。これらの資産は、株式や債券とは値動きが異なるため、ポートフォリオに組み入れることでリスク分散効果を高めることが期待されます。

2. オルタナティブ投資の例

伝統的資産以外への投資であればオルタナティブ投資といえることから、ここでは、代表的なものを詳しく見ていきましょう。

1. ヘッジファンド

ヘッジファンドは、高度な運用手法を駆使して市場の変動に関わらず絶対収益(市場平均や特定の指数にとらわれず、いかなる市場環境でも収益をあげること)を目指します。

株式や債券だけでなくデリバティブ(※)などの金融商品も活用し、多様な戦略で利益を追求します。例えば空売りなどの手法を活用して、市場が下落する局面でも利益を狙うことができます。

※株式や債券、金利、通貨など、さまざまな金融商品を原資産とした金融派生商品のこと。例えば先物取引やオプション取引、スワップ取引など。

ヘッジファンドは高いリスク許容度を持つ富裕層や機関投資家を対象に、私募形式で募集されることが一般的です。

2. プライベートエクイティ

プライベートエクイティ(PE)は、非上場企業の株式に投資する手法です。企業の成長を支援し、株式公開(IPO)やM&Aの際に利益を得ることを目指します。投資対象は、大企業の子会社や非流通部門、オーナー経営の中小企業、ベンチャー・スタートアップ企業など多岐にわたります。

プライベートエクイティは、高い成長ポテンシャルを持つ企業に投資することで、大きなリターンが期待できる一方、流動性が低く、投資期間が長期にわたるという大きなリスクがあります。

■私募ファンド
特定投資家(※)など一部の投資家向けに非公開で募集されるファンド(私募ファンド)の中には、ヘッジファンドやプライベートエクイティファンド、不動産ファンドなど、オルタナティブ投資に該当するものがあります。私募ファンドは大々的に広告などを打たず、限られた投資家から資金を集めます。

※金融商品取引法で定められた、投資に関する専門知識や経験が豊富な投資家のこと

■株式投資型クラウドファンディング
プライベートエクイティ投資の一つとして株式投資型クラウドファンディング(ECF)があります。これはインターネットを通じて非上場企業に少額から投資できる仕組みで、これまで機関投資家や富裕層に限られていた非上場企業への投資機会を、個人投資家に提供しています。

ECFのプラットフォームを提供する「イークラウド」では、厳正な審査を通過したスタートアップの株式等に約10万円から投資することができます。

3. 不動産投資

不動産投資は、マンションやアパートなどの不動産を購入し、家賃収入を得たり、売却益を狙う投資方法です。安定的な収入源となるだけでなく、インフレ対策としても有効といわれています。

近年では従来の不動産投資に加えて、不動産投資型クラウドファンディングのようにインターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、不動産に投資する手法も登場しています。一口数万円程度から投資できるため、多額の資金を準備できない個人投資家も始められるでしょう。

不動産投資には区分マンション、一棟マンション、アパート、戸建てなどさまざまな形態があり、それぞれメリット、デメリット、リスクがあります。自身の投資目的やリスク許容度に合ったものを選ぶことが大切です。

4. コモディティ投資

コモディティ投資は、金や原油などの商品(コモディティ)に投資する方法です。株式や債券と異なる値動きをするため、ポートフォリオの分散効果を高めることができます。

コモディティは大きく「ハードコモディティ」と「ソフトコモディティ」に分けられます。ハードコモディティには金・銀などの貴金属、原油や天然ガスなどのエネルギー資源があり、ソフトコモディティにはトウモロコシや小麦などの穀物、コーヒーや砂糖などの嗜好品があります。

コモディティ投資はCFD取引やETFなど、さまざまな方法で投資することができます。CFD取引ではレバレッジをかけることで少額の資金で大きな取引を行うことができますが、レバレッジをかけると大きな利益を得られる可能性がある反面、損失も大きくなるリスクがあり、ハイリスクな取引であることを理解しておく必要があります。

3. オルタナティブ投資のメリット・デメリット

オルタナティブ投資には、株式や債券といった伝統的な投資対象とは異なるメリット・デメリットが存在します。

メリット

■高リターンへの期待
成長著しい非上場企業や市場の変動に捉われないヘッジファンドなど、オルタナティブ投資は伝統的な投資対象を上回る高いリターンを獲得できる場合があります。しかし、高いリターンを期待する反面、大きな損失が生じる可能性がある点に注意が必要です。

■リスク分散効果
オルタナティブ資産は株式や債券といった伝統的な投資対象と異なる値動きを見せるため、ポートフォリオに組み入れることでリスク分散効果を高めることができます。オルタナティブ資産は非公開市場であることも多く、その場合は市場変動の影響を抑える効果が期待されます。

■インフレ対策
不動産やコモディティなど、実物資産への投資はインフレ対策としても有効です。 実物資産とは物理的な形があり経済的価値のある資産のことを指し、具体的には不動産(土地、建物)や貴金属(金、銀、プラチナ)、美術品、骨董品などが該当します。

インフレ時には現金や預貯金などの価値は目減りしてしまいますが、土地や建物、金などの実物資産はインフレに伴ってその価値が上昇する傾向があります。これは実物資産がそれ自体に価値を持ち、需要と供給の関係で価格が決まるためです。

例えば金の価格は経済情勢や市場の需給バランスなどによって変動しますが、インフレ局面では安全資産としての需要が高まり、価格が上昇することがあります。

デメリット

■流動性の低さ
流動性とは自分が換金したい時に換金できるかどうかを示す指標で、オルタナティブ資産は株式や債券に比べて換金が難しい場合があるため注意が必要です。例えば非上場株式や実物資産などは流動性が低い投資対象といえます。

■情報開示の少なさ
非上場企業やヘッジファンドなど、オルタナティブ投資は上場企業に比べて情報開示が少ない傾向にあります。そのため投資前に十分な情報収集を行うことが重要です。

■高い最低投資金額
ヘッジファンドなど一部のオルタナティブ投資は、専門性の高い投資を行うため高額な最低投資金額が設定されている場合があります。例えば、数百万円から数千万円、場合によってはそれ以上の投資金額が必要となることも珍しくありません。

4. オルタナティブ投資の始め方

オルタナティブ投資は投資信託やETFなどを通じて、初心者でも比較的簡単に始めることができます。例えばコモディティに投資するETFや、不動産に投資するREITなどが挙げられます。

また、イークラウドのようなECFプラットフォームを通じて、非上場企業に投資することも可能です。

オルタナティブ投資は株式や債券など伝統的な資産と組み合わせることでポートフォリオ全体のリスクを分散し、長期的なリターンの安定化を図る効果が期待されます。例えば株式と債券、REIT、金を組み合わせる「カルテット運用」と呼ばれる運用方法は、リスク分散の手法として知られています(他にもさまざまな組み合わせが考えられます)。

それぞれの資産には異なる特性があり、景気動向などによって価格変動要因も異なります。複数の資産を組み合わせて保有することで、リスクを分散しながら安定したリターンを目指すことができます。

まずは情報収集から

オルタナティブ投資は、投資に関する知識や経験が豊富な人に向いている投資商品もあれば、ECFや不動産投資型クラウドファンディングのように比較的少額から始められ、初心者でも取り組みやすい商品もあります。

イークラウドのように非上場企業への投資機会を個人投資家に提供するプラットフォームも登場しており、オルタナティブ投資は今後ますます身近な存在になっていくと考えられます。まずは情報収集から始めて、ご自身の投資スタイルに合った商品を見つけてみてください。

オルタナティブ投資に関するよくある質問

Q. オルタナティブ投資は初心者でも大丈夫?
A. オルタナティブ投資は伝統的な投資に比べて複雑な商品やリスクの高い商品も含まれるため、ある程度の投資経験が必要です。ただし、投資信託やETF、ECFなど、初心者でも始めやすい商品もあります。まずは少額から始めて、徐々に投資額を増やしていくことをおすすめします。

Q. オルタナティブ投資で注意すべき点は?
A. オルタナティブ投資は流動性が低く、情報開示が少ないという特徴があります。投資する前にリスクやリターンをよく理解しておくことが重要です。信頼できる情報源から情報収集を行い、投資判断を行うようにしましょう。

5. オルタナティブ投資の歴史と最新情報

国内では2000年代に入ってからオルタナティブ投資が広がりを見せ始めました。その背景には、長引く低金利環境や株式市場の不安定化を受けて、伝統的な資産運用では十分なリターンを得ることが難しくなってきたことが挙げられます。それまでは大手銀行などが自己勘定運用の一部として取り入れていた程度で、当初は米国債への投資が中心でした。

2000年代以降、オルタナティブ投資は多様化と拡大を続けてきました。ヘッジファンドの台頭、プライベートエクイティ市場の成長、不動産証券化の進展などにより、新たな投資対象や投資手法が次々と登場しました。

また、2008年のリーマンショックを契機に、リスク分散の重要性が再認識され、株式や債券との相関が低いオルタナティブ資産への関心が高まりました。近年では、ESG投資への関心の高まりとともに、環境・社会問題の解決に貢献するサステナブルなインフラ投資なども注目されています。

日本の公的年金積立金の管理、運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もオルタナティブ投資に積極的に取り組んでいます。GPIFは発電所、道路、空港などの社会インフラやプライベート・エクイティ、不動産を「オルタナティブ資産」と定義し、2023年12月末時点で約3.6兆円分保有しています(年金積立金全体に占める割合の1.46%)。

GPIFは豊富な流動性資産を有していることから、あえて流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで長期的なリターンの安定化を目指しています。

海外に目を向けると、世界最大級の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金(GPFG)は、不動産やインフラストラクチャーといったオルタナティブ資産への投資を数十億ドル規模で行っています。

また、米国ではハーバード大学基金やイェール大学基金などの大学基金が、運用資産の30%以上をオルタナティブ投資に配分し、高い運用実績を上げてきたことで知られています。これらの機関投資家は、長期的な視点に立ち、分散投資の一環としてオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れています。

最後に

オルタナティブ投資は、高いリターンが見込めたりリスク分散効果があったり、多くのメリットがある一方で流動性の低さや情報開示の少なさなどのデメリットも存在します。オルタナティブ投資を始める際はメリット・デメリットをよく理解し、自身の投資目的やリスク許容度に合わせた、適切な投資判断を行うことが重要です。

特にECFは、これまでオルタナティブ投資に触れる機会が少なかった個人投資家の方々にとっても投資手段の選択肢の一つになります。ご自身の投資目的に合致した、最適なオルタナティブ投資を選択し、資産運用の可能性を広げてみてはいかがでしょうか。


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