詩集「屋久島」 その3
文責:Taka
雫
山は雨
弾ける音
深まる緑
映す鏡
七千杉
喧噪の中に浮かぶ月
森の中に一本の月
母なる大地よ
哀れな月を照らしてくれよ
父たる森よ
か弱き月を守ってくれよ
ああ名もなき木々よ
さみしい月に寄り添ってくれよ
鹿罠の狸
山に響く音
罪なき狸の鳴き声
哀しい声
何を望むか
やがて止む音
山に捨てられる亡骸
君はどこから来たのか
どこへ逝くのか
生きてたんだ
死んでしまった
めぐり逢い
風が吹いている
山間を走る雲
きっと君は空へと登って
森に雨を降らすのだろう
森に降った君は
命を与え再び海へと戻るのだろう
繰り返す巡り合いの中で
君に出逢えたこと
悠久の時の中で
刹那のような僕の生命が
君に重なったこと
君にとってはいつもの日常
僕にとっての奇跡
つづく…