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Écristoは物事の見方を探求しながら日常を問い直す運動体・WEBメディアです。

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  • 詩集「屋久島」

    屋久島を訪れたTaka @Takatakky49 が経験した出会いと別れ、荘厳な自然などを鮮やかに表現した詩集です。

最近の記事

詩集「屋久島」第二篇

文責:Taka 涙 その男を語る時 彼はうっすら涙を浮かべた そして信頼という言葉を吐いた いったいどれだけの人間が 亡き友の信頼に 涙を流すのだろうか 森星 森色に切り取られた星空があった 星が瞬いていた 川がさざめいていた 車座 囲炉裏を囲んで 車座になる 最初は6人と1匹 後に3人 2人になって 3人になる 2人になって 最後は炬燵で3人 船出 安房から降っていた雨が宮之浦でも降っていた フェリーに乗り込みデッキで僕は島を見つめてい

    • 「脆弱」を「きじゃく」と読んでしまうのはなぜか──漢字学習の落とし穴

      文責:Belfastは19街区のなか  「脆弱」は「もろくて弱いこと」を指す単語であり、正しい読み方は「ぜいじゃく」であるが、これを「きじゃく」と読み間違えてしまうことが多々あるようだ。「脆」は訓読みで「もろい・よわい・かるい・やわらかい」であり、音読みは「ゼイ・セイ」である。  漢字の成り立ちは六書に基づき6つとされており、そのうち今回の問題に関わっているのが「形声文字」である。この文字は意味を表す部分と音を表す部分から成り立っており、それぞれ「意符」と「音符」という。

      • 詩集「屋久島」 その4

        文責:Taka 永田にて 男が釣り糸を垂らしている 男が寝っ転がっている 風が吹いている 波がさざめいている ここに立っていると全てがどうでもよくなる 時間がただただ流れている 宮之浦川へ きっと人間は心の内を全て見せられないのだから 僕は川になりたい 言葉が無力であるならば 僕は川になりたい ああ人間様 どうして君たちは理を覆そうとするのか 僕は川になりたい 高きより低きへ流れる 川になりたい ああ川よ 君は何を考えている 何を感じている 僕

        • 詩集「屋久島」 その3

          文責:Taka 雫 山は雨 弾ける音 深まる緑 映す鏡 七千杉 喧噪の中に浮かぶ月 森の中に一本の月 母なる大地よ 哀れな月を照らしてくれよ 父たる森よ か弱き月を守ってくれよ ああ名もなき木々よ さみしい月に寄り添ってくれよ 鹿罠の狸 山に響く音 罪なき狸の鳴き声 哀しい声 何を望むか やがて止む音 山に捨てられる亡骸 君はどこから来たのか どこへ逝くのか 生きてたんだ 死んでしまった めぐり逢い 風が吹いている 山間を走る雲

        詩集「屋久島」第二篇

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        • 詩集「屋久島」
          4本

        記事

          詩集「屋久島」 その2

          文責:Taka 空思ふ 星空見上げる君の横顔 「綺麗だね」 目が合う 止まる息 ねぇ一番星 月が目をそらした空で証人になってよ この愛がたとえ刹那だとしても 惑星に持ち帰って何億年何兆年語り継いでおくれ さぁ誓いのキスをしよう 証明しよう 流星 きっと君が見ない流星 だから僕は願う 明日も君が健やかであれ 世間を騒がすニュース 誰が彼のために願ったか 彼は誰のために願えたのか 切り取られた星空 温泉に浸かりながら星空を眺める 遠く水平線まで延びる

          詩集「屋久島」 その2

          日本の再生産領域における男性性―福祉制度における政策と実態の乖離―

          文責:魚の理 序論 最近、再生産領域に従事する男性を扱ったテレビドラマが日本においても散見される。例えば 2020年に日本テレビ系で放送された『極主夫道』では専業主夫として働く男性を主人公としていたり、2021年からTBS系で放送されている『俺の家の話』では第 1 話で父親を介護する男性が描かれていた。長きに渡って家事や育児は女性の領分と見なされてきた日本において、男性が積極的に再生産領域に参入する場面が描かれるようになったのは、性別役割分業に対する問題意識が世間に浸透して

          日本の再生産領域における男性性―福祉制度における政策と実態の乖離―

          詩集「屋久島」 その1

          文責:Taka 再びの島 迫る島 暗い島 太陽は雲の裏 今日ぐらい照らしてくれよ きっと鬼ヶ島 行こうか鬼退治 お天道様に首級掲げよう 春田浜にて 寄せては返す波よ どうか僕を取り込んではくれないか その大いなる不完全性に その偉大なる非再現性に 空に浮かんだ一番星 愛を届けてはくれないか 没世界 人は語る 人は歌う 人は生きる 僕は焦がれる ああ 世界よ 僕に分けてくれよ ああ 世界よ 俺を赦してくれよ ひとみ 大人の責任 語る彼の瞳

          詩集「屋久島」 その1

          『鶯姫』における昔話の構造──『竹取物語』との比較考察

          文責:Belfastは19街区のなか 昔話『鶯姫』について 物語とは私たちにとってとても身近である。なにも小説だけでなく、漫画やテレビドラマも物語であり多くの人々を魅了してきた。私たちが物語に触れるその入り口は、幼少期に読んだ絵本、そして童話ではないだろうか。その童話の起源とも言うべき興味深い話がある。ここでは『日本の昔話』(柳田 1983)で日本全国から集められた昔話のひとつ、『鶯姫』について論じていこうと思う。  『鶯姫』は有名な『竹取物語』と内容が類似しているどころ

          『鶯姫』における昔話の構造──『竹取物語』との比較考察

          Écristo、はじまる。

          文責:魚の理  Écristoはものの「見方」を探求しながら日常を問い直す運動体・WEBメディアです。  メディアや運動体が跋扈する現代に、Écristoが産声を上げる意味はあるのでしょうか。もしかすると、意味はないのかもしれません。Écristoは必要に迫られた訳でもなく、生活の役に立つことだけを載せる訳でもありません。洗練された情報を素早く提供しないと存在価値が見出されない現代に、Écristoは”いる”ことは許されるのでしょうか。  その問いを考える前に、お茶でも

          Écristo、はじまる。