「気づかせる」という援助
この記事は775文字です。
自分の意思を伝えられずに
悶々とストレスをため込んでしまうAさん。
誰にも気づかれず自傷行為をしていました。
「どうせ反対される」
「家族が心配するから(辛いと)言えない」
自分の意思はありつつも
そんな考えがAさんの行動を妨げていたのですが
ある時、自分の意思を伝えることができました。
家族と主治医に、みずから入院したいと伝えられました。
意思を持っただけでなく
勇気を出して行動を起こしたのです。
自傷行為を心配する家族の目が
本人にとっては窮屈に感じられていたようですが、
主治医の勧めもありひとりで過ごす時間を持てるようになりました。
ひとりの時間が手に入った心地よさは感じているものの、
自分が勇気をだして行動を起こしたから今がある、
という現実感は持てていなかったようです。
思っているだけで行動しなければ
ひとりの時間は手に入らなかったかもしれないです。
それはあなたが自分で手に入れたものなんですよ。
勇気を出して行動したからです。
私はそのことをとても素敵だと思っています。
と、私はAさんに繰り返し伝えました。
一見小さなことのように見える自己決定でも、
当人にとってはものすごく重大な決定をしていることもあります。
「どうせ反対される」「心配されるから」というのは
実際に家族がそのような反応をしたわけではなく、
本人が考えたことです。
過去にそのようなことがあり、
その時の記憶と結び付けている可能性があります。
しかし、その時の記憶がもたらした自分の考えに振り回されずに
自分の意思を伝えられました。
素敵なことではありませんか?
気づかせる、という援助もあるんですね。
こういう気づきを重ね、自己肯定感につなげ、
ある時、「できるかも」「できるはず」
に変わっていったらいいなと思っています。
自分にも時々してやってもいいかもしれません。
お読みくださりありがとうございました。