みごとなおねえさん
通所もプールもお休みの日、長女はコミュニティバスに乗って、買い物に行くのがお気に入りだ。
コミュニティバスは狭い道路でも通れるように、小型の車体になっている。
電車の駅がない地区や、市の外れなど、交通の便が悪いところを走っている。
30分に1本しか来ない。
だからいつもとても混んでいる。
高齢者と、障害者と、子ども連れのお客さんが多い。
そして、どこまで乗っても100円。
コミュニティバスに乗ることで、100円玉を覚えた長女。
他のお金は、いつまでたっても覚えないけど、コミュティバスに乗るための100円玉は覚えた。
今日も車内は混んでいた。
狭い車内なので、お客さん同士、こっちへ詰めたり、あっちへ寄ったり、赤ちゃん連れの人を座らせようと道を開けたり、みんなで助け合っていた。
席が一つ空いたので、私が座った。
次のバス停で、私の前の席が空いた。
すると、その席の前に立っていた、クールなおねえさんが、長女の目を見て、空いた席を指さした。
すると長女はすっとその席に座った。
おねえさんも長女も、一言もしゃべらず、目と指差しだけで通じたようだ。
その間、数秒。
お見事です。
どこのどなたか、知りませんが、クールビューティーなおねえさん。
ありがとうございます。
ひょっとして同業者のかたでしょうか。
私は何も言わず、何もなかったような顔をしていた。
長女は見た目には、障害者に見えないかもしれないが、見る人が見ると障害があるなとわかる。
私も、知的障害、自閉症などの人は見ればわかる。
長女は、ヘルプマークはつけたくないというのでつけていない。
狭い車内では、その後もお年寄りが乗ってくると席を変わったりの、譲り合いが続き、無事終点に到着。
貧しい者の味方。100円バス。(電車より安い)
高齢者と、障害者と、子ども連れの味方、コミュニティバス。
バスが遅れるときは、たいてい、車いすの乗客がいる時だけど、だれも何にも言わない。
運転手さん、今日も安全運転ありがとうございます。