悪の心を読む者たち:韓国ドラマ
プロファイリングと言う言葉が、まだ浸透していなかった。1990年代韓国。
科学捜査班のクク・ヨンスは、増え続けていく犯罪、進化していく犯罪を目の前にして、事件を防ぎ、犯人逮捕のために、アメリカのFBIにならって行動分析チームを開設することが必要だと考えた。
そこで、プロファイラーとしての資質を持ち合わせている刑事のソン・ハヨンを引き抜いて、韓国初の行動分析チームを立ち上げた。
しかし、警察内でもプロファイリングに理解を寄せるものは少なく、いわば、警察のお荷物のような感じで、決していい環境とは言えない部屋でのスタートとなる。
そしてなにより、プロファイリングの方法が確立しておらず、凶悪犯を訪ねて、面談をし、資料を作っていくということから始まった。
拘置所や、刑務所を周り、犯人たちから、なぜ、犯罪を犯したのか、その時の感情はどのようなものだったのかを聞いて回り、分析していった。
その資料を作りながら、現実に起きる連続殺人事件を解決に導いていく。
まだ、サイコパスという概念も浸透していない時代に、犯罪が起きる背景を探り、犯人の行動を読み取り、逮捕につなげていく。
警察内の、二人の厄介者の刑事が、だんだんと信頼を受け、マスコミにも取り上げられるようになる。
韓国でのプロファイラー第一号のクォン・イルヨン教授の著書をもとにし、実際に韓国で起きた連続殺人事件をモチーフにしてつくられたドラマ。
とても丁寧に作られたドラマで、韓国ドラマの水準の高さがうかがえる。
犯罪事件が起きる背景の、怒りと狂気。
そして、犯人の心を理解しようとして、自分自身が犯人の気持ちになってしまうかのような危機に陥る刑事。
自分の心が不安定になり、追い詰められたハン・ソヨンは交通事故を起こし、手術、リハビリを経て、立ち直る。
そして、自分自身の心を大事にすることを再確認する。
凶悪な犯罪者が続々と出てくるが、どの役者さんも、怒鳴りつけてやりたくなるほどの本当にすごい悪役ぶり。
連続殺人の凶悪さが、これでもかこれでもかと描かれるのだが、見た後の気分は悪くない。
それは、最後のインタヴューで、ハン・ソヨンが語るこの言葉に救われるからだろう。
「大事なのは、他の人へいたわりの心を持つことです。
そして、自分自身にもいたわりを。」
それは、プロファイルにのめりこんで、自分自身の心が、犯人の心に侵食されそうになった反省からくるものであったろう。
しかし、もともと、ハン・ソヨンがしっかりとした自分自身を持ち、犯人との境界線を引くことができる人間だったからだろう。
凶悪犯の心に寄り添うプロファイラーは、やさしい心の持ち主だった。
チーム長を演じたチン・ソギュンは、私の大好きな映画「エクストリーム・ジョブ」の刑事の一人を演じている
張り込みのためにチキン屋を始めるにあたって、カルビ味チキンを作り、大ヒットさせた絶対味覚の柔道全国一の刑事役。
刑事のチキン屋が大繁盛してしまう、韓国一面白い映画の一番面白い役。
御本家アメリカのFBIの行動分析チームは、
「クリミナル・マインド FBI行動分析課」2005年
臨床心理大学院のコミュニティ心理学サンフランシスコ研修に行ったとき、デパートに、Dr・スペンサー・リード役のマシュー・グレイ・ギュブラーの大きな大きなポスターがたくさん貼ってあって、アメリカでの人気のすごさを再確認。
WOWOWで放送されていて、毎週熱心に見ていた私。
今度生れたときはプロファイラーになろうと思うほど。
心理学を勉強していた私は、人間の心の闇、暗い部分に興味があった。
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