見出し画像

感染しにくいが、感染させやすい?

毎日、新型コロナウイルス感染症に関するニュースが流れてきて、なんだか明るい話題が欲しいなと思う日々です。まだまだだとは思いますが、早く終息してもらいたいものです。ところで、新たな調査について触れておきます。

この研究は、2019年12月2日~2020年4月18日に検査もしくは臨床的に確認されたCOVID-19症例と、検査で確認された無症状の感染者の家庭内感染について、後ろ向きに調査したコホート研究。

FangLiMSら、Household transmission of SARS-CoV-2 and risk factors for susceptibility and infectivity in Wuhan: a retrospective observational study

The Lancet Infectious Diseases, 2021


Lancetの論文で、これは興味深いです。私は子どもは感染しにくく、移しにくいと思い込んでいました。どうやら違うようです。

要約すると、

新型コロナウイルスの家庭内感染の調査から、20歳未満の若年者は高齢者より感染しにくいが、いったん感染すると人にうつしやすい。また感染力は、症状発現前の感染者、症状発現後の感染者、無症状のままだった感染者の順で高かった。

特に面白い結果としては、以下の二つではないでしょうか。

・0〜1歳では、2〜5歳(オッズ比[OR]:2.20、95%CI:1.40~3.44)および6〜12歳(OR:1.53、95%CI:1.01~2.34)に比べて感染リスクが高かった。
・曝露時間が同じ場合、20歳未満の若年者は60歳以上よりも他者にうつすリスクが高かった(OR:1.58、95%CI:1.28~1.95)。

以下のようにまとめられています。

家庭内で、子どもはCOVID-19にかかりにくいが、高齢者に比べて感染力が高かった。症状のない人は症状のある人に比べて感染力が高く、無症状の人は症状のある人に比べて感染力が低かった。これらの結果は,子どもへの適時のワクチン接種など,COVID-19の家庭内感染を阻止するための介入策を考案することに寄与する。

まさか、0-1歳が感染しやすいとは思いませんでしたが、授乳したりすることを考えると当然と言えば当然かもしれないし。難しいところです。

あくまで家庭内感染に関する研究ですので、食事をしない場面などを含む・含まないで違ってくるでしょう。子どもは主に家庭で食事をすることが多いですし、この結果も全て鵜呑みにせずに、色々と総合して判断していきたいです。