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『室町幕府将軍列伝 新装版』の読みどころ

皆さまこんにちは、戎光祥出版の丸山です。
気付けば2021年ももう終わり。
忙しない年末ではございますが、新刊の榎原雅治・清水克行編『室町幕府将軍列伝 新装版』が刊行となりましたので、ご案内をば。

まずは本書の目次は下記の通りです。

初代尊氏――初代将軍の神話と伝説  清水克行
二代義詮――不屈のリアリスト  吉田賢司
三代義満――「簒奪者」の実像  大田壮一郎
四代義持――安定期室町殿の心配ごと  山田徹
五代義量――「大酒飲み将軍」の真実  清水克行
六代義教――幕府絶頂期の将軍の旅  榎原雅治
七代義勝――束帯姿の幼き将軍  榎原雅治
八代義政――父への過剰な憧れ  丸山裕之
九代義尚――独り立ちへの苦悶  石原比伊呂
十代義稙――流浪将軍の執念  木下昌規
十一代義澄――戦国と向き合った将軍  浜口誠至
十二代義晴――マジナイに込めた血統  西島太郎
十三代義輝――大名との同盟に翻弄された生涯  山田康弘
十四代義栄――戦国の幸運と不運の体現者  天野忠幸
十五代義昭――信長の「傀儡」という虚像  神田千里

コラム 足利直義  清水克行
コラム 足利満詮  榎原雅治
コラム 足利義嗣  桃崎有一郎
コラム 足利義視  木下聡
コラム 足利義維  木下昌規

一般的には歴代足利将軍の知名度はそれほど高くないかもしれません。
初代尊氏、三代義満、八代義政、そして大河ドラマ「麒麟がくる」に登場し話題になった十三代義輝と十五代義昭が知られているくらいでしょうか。

ただし、歴史学の世界では歴代の足利将軍はそれぞれ強烈な個性を持っていたことことで知られています。その治世が「恐怖の世」とも評される六代義教はその最たるものかと思います。
さらに、政変に巻き込まれ殺害された義教・義輝(嘉吉の変、永禄の変)、クーデターで更迭されたうえ諸国を流浪した義稙、そして義稙以降の将軍は政局によりたびたび京都から没落するなど、前後の鎌倉幕府・江戸幕府に比べて波瀾万丈な人生を送った人物も多くいました。

そこで本書では、歴代15人の足利将軍を取り上げ、各人の事績を羅列するのではなく、数々のエピソードから、それぞれの将軍がどのような個性を持っていたのかがわかるよう、列伝形式で編集いたしました。
たとえば尊氏は後世の伝説や神話を、義教は旅を、義政は父親との関係から人物像を掘り起こしています。
さらに、将軍に協力的だったor将軍になる可能性のあった将軍の俗人の兄弟である足利直義・満詮・義嗣・義視・義維の5人をコラムとして取り上げ、内容の充実を図りました。

お読みいただければ、きっと皆さまも足利将軍の魅力の沼にはまるはず。

本書は2017年に刊行し好評を博したものの、その後長らく品切れになっていた『室町幕府将軍列伝』を装いを変えて刊行するものですが、その後の研究動向にあわせて一部内容の改訂も行っています。
ぜひこの機会にお手に取っていただければ幸いです。

なお、本書は歴代足利将軍の個性に焦点を当てた書籍ですが、将軍の一生や政務、関連する事柄を項目ごとにまためた便利な『足利将軍事典』(木下昌規・久水俊和編)が2022年1月下旬に刊行予定です。

『室町幕府将軍列伝 新装版』と相互補完的な内容になっていますので、両方とも揃えていただくのがおすすめです。

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