『足利将軍事典』の読みどころ
皆さまこんにちは、戎光祥出版の丸山です。
1月の新刊、木下昌規・久水俊和編『足利将軍事典』が刷り上がって参りました。まもなく刊行となりますが、刊行に先駆けて本書の読みどころを紹介いたします。
本書の目次は下記の通りです。
第一部 歴代足利将軍の事績
初代・足利尊氏/二代・足利義詮/三代・足利義満/四代・足利義持/五代・足利義量/六代・足利義教/七代・足利義勝/八代・足利義政/九代・足利義尚/十代・足利義稙/十一代・足利義澄/十二代・足利義晴/十三代・足利義輝/十四代・足利義栄/十五代・足利義昭
第二部 足利将軍の一生
誕生/生育儀礼/乳母(乳人)/学問/元服/幼名/実名と改名/官位昇進/将軍職争い/将軍就任儀礼/花押/御台と側室/子どもたちの処遇/病気と祈禱/信仰/出家/葬送儀礼/院殿号/墓所/菩提寺
第三部 将軍の政務と生活
将軍と室町殿(北山殿・東山殿)/家格/御所/文書/政策方針/裁判/偏諱/ブレーン/鎌倉公方との関係/大名・守護との関係/栄典授与/和平調停/天皇家との関係/公家との関係/家司・昵近公家衆/家政機関/所領/軍事と合戦/近習/将軍が愛した稚児/武家護持僧/女房/御成/旅/文化/御物と公方御倉
第四部 足利将軍子弟辞典
附録
『文安年中御番帳』
国立公文書館蔵内閣文庫『代番日記(結番日記)』
室町幕府の首長として、武家のみならず公家にも君臨した歴代足利将軍。近年、各将軍の伝記が相次いで刊行されるなど、それぞれの将軍の事績や個性については認知が進んできているかと思います。しかし一方で、生まれてからどのような儀礼や過程をたどって将軍となり、将軍就任後はどのような政務を行ったのかなど、基本的な事項は意外と知られていないのではないでしょうか。
そこで本書では足利将軍の基礎的事項を丸裸にというコンセプトのもと、第一部では「歴代足利将軍の事績」として各将軍の事績を簡潔に解説したのち、第二部では「足利将軍の一生」として、出生以降の通過儀礼を中心にとりあげました。また、第三部は「将軍の政務と生活」として、その日常や政務、さらにはそれを支えた人々などを最新の研究成果に基づき項目ごとに丁寧にまとめています。
さらに将軍を支えた俗人の弟や僧侶、女性をも掲載した「足利将軍子弟辞典」、将軍の親衛隊ともいえる奉公衆のリストである「文安年中御番帳」や、政所執事伊勢氏の被官らによる輪番の日記「代番日記(結番日記)」の二つの関連史料も付録として掲載するなど、盛りだくさんの内容となっています。
本書では編者の木下昌規・久水俊和先生のほか、室町幕府・足利将軍建久に確かな業績のある髙鳥廉・川口成人・水野嶺・田中誠・松井直人・佐藤稜介各氏の気鋭の研究者たちに執筆していただきました。
一言で言えば「便利」に尽き、まさにかゆいところに手が届く1冊です。
なお、本書の「はしがき」に記されているように、『室町幕府将軍列伝 新装版』『図説 室町幕府』との併読をぜひオススメします。