(前回のエピソードはこちら)
メニューは毎月洗い替え
「店長としてのやりがい」「料理人としてのやりがい」について語った松村。胸元に光るソムリエバッジが目をひく。
レシピは誰が考えているのか聞くと、基本的には松村が考えているという。
メニューの洗い替えの頻度はなんと毎月10個前後。冷たい前菜・温かい前菜やパスタ、お肉・お魚料理などのメインディッシュでそれぞれ2~3個だ。
看板メニューはそのままに、新しいメニューを考える際は季節などをベースにするという。
それだけの頻度で洗い替えるとなるとアイディアが枯渇したり、大変ではないか、と聞くと松村は少し照れくさそうにこう語った。
ただただ料理が好き
笑顔でこう答える松村を見たときに、私は自分が最初に感じたことが間違っていたことに気が付いた。
松村は生計を立てるためだけのいわば「サラリーマンシェフ」なんかではなく、本当に料理が好きな男だ。
料理人は若手から一人前になるまで、たくさんのことを覚えながら成長していく。
料理を覚えるのはもちろんのこと、お客様をお迎えするためのマナーや会話、お店の切り盛りなど求められることは様々で、全てが一人前にできるようになるには相応の努力が必要だ。
しかし様々な経験を経て、現在Aponteで料理長を務めるまでに至ったのは、料理が楽しいという気持ちと、お客様の「美味しい」が何よりも嬉しいという本心があるからだ。松村の言葉を聞いて切にそう感じた。
松村は最後にこう語る。
(Ep.2 終)