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【Aponte取材日記③】Aponte総支配人の素顔(松村 雄太)Ep.2

(前回のエピソードはこちら)



メニューは毎月洗い替え

「店長としてのやりがい」「料理人としてのやりがい」について語った松村。胸元に光るソムリエバッジが目をひく。

「ソムリエの資格は、お料理に合うお酒のことを良く知りたい、お客様に聞かれた際にしっかりと答えられるようにしておきたい、という想いから取得しました。やはりそこで答えられるとお客様からの信頼も感じることができるので」

レシピは誰が考えているのか聞くと、基本的には松村が考えているという。

メニューの洗い替えの頻度はなんと毎月10個前後。冷たい前菜・温かい前菜やパスタ、お肉・お魚料理などのメインディッシュでそれぞれ2~3個だ。

看板メニューはそのままに、新しいメニューを考える際は季節などをベースにするという。

「まずは日本人は四季を大切にしているので、旬の食材を使ったもので考えます。秋であれば白子やカキなど。それらが被らないように、他とのバランスも考えながら考案していきます。メニューを選べる楽しさをお客様に感じてほしいですから。

「食材に応じて味付けのベースはありますが、例えばソムリエの資格を生かしてこのお酒に合う味付けはこういったものかな、など考えていくこともあります。」

それだけの頻度で洗い替えるとなるとアイディアが枯渇したり、大変ではないか、と聞くと松村は少し照れくさそうにこう語った。

「アイディアが浮かばない場合は文献を読んだりして参考にしています。
新しいメニューを考えるのは楽しいので、あまり大変だとか思ったことはないです。

「食材は良いものを使えば美味しくはなるものの、そのぶん仕入価格があがってしまい最終的にお客様にお支払い頂くことになってしまいます。
こだわりのものを使うことも良いとは思いますが、食材をいかに美味しくできるかがプロに求められていることなのかなと思っていますので、そこはバランスを見て仕入れています。」


ただただ料理が好き

笑顔でこう答える松村を見たときに、私は自分が最初に感じたことが間違っていたことに気が付いた

松村は生計を立てるためだけのいわば「サラリーマンシェフ」なんかではなく、本当に料理が好きな男だ

料理人は若手から一人前になるまで、たくさんのことを覚えながら成長していく。
料理を覚えるのはもちろんのこと、お客様をお迎えするためのマナーや会話、お店の切り盛りなど求められることは様々で、全てが一人前にできるようになるには相応の努力が必要だ。

しかし様々な経験を経て、現在Aponteで料理長を務めるまでに至ったのは、料理が楽しいという気持ちと、お客様の「美味しい」が何よりも嬉しいという本心があるからだ。松村の言葉を聞いて切にそう感じた。

松村は最後にこう語る。

「求められることは多いですが、日々料理人をしていると、自分がいつもの日常では会うことのなかったであろう沢山の方々との出会いがあります。そういった方たちとお話しして、世の中の様々なことを知ることができるのも、料理人をやっていて楽しいことですね。」

「料理人は覚えることが多いのでそれなりに大変ですが、日々自分で考えて行動しなければならないので、節目節目で自分の成長を実感できます
社会的に人手不足の中で、飲食店も人手が足りていませんが、皆さんに美味しい料理をお届けしたい、という想いをもって料理人になる若い人を絶やさないためにも、今の飲食業界を少しずつでもいいので変えていけるよう、何かできないか考えたいと思っています。」

(Ep.2 終)