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星を掬う(中央公論新社) 著 町田その子

【思い出の海に沈んだ美しい記憶をそっと掬い集めよう】


夫から激しいDVを受ける千鶴は、かつて自分を捨てた母親が住まう住居に身を寄せ、そこで出逢う人々と共に、気付きや変化を齎していく物語。


母親に捨てられたせいで不幸になったのだと、世界を僻んでいた千鶴。

夫に人生を支配されて、身も心も傷だらけだった。

静かな絶望に身を窶す中、自分の母親が住む住居に転居出来る機会を手にする。

そして、そこで出逢う人々と幸せの形を模索する。

自分が下した人生の責任は自分だけの物。
他者に依存する事なく、自分の人生の責任を受け入れる事で、本当の幸せの光が見えてくる。
母親との美しい思い出を記憶の残滓に留めながら。
絶望だらけの世界の中で、自分の中にも星のように瞬き輝く拠り所がある事に気付く。


そして、認知症を患った母親と共に零れ落ちる記憶を掬い集めていくのだ。


自分の人生に行き場の無い不満を持っている人には是非とも読んで欲しい。





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