ロケンロー・ヘッドホン(勝手に命名)
やってくれますなぁ、STAX社!彼らはとんでもねぇヘッドホン(イヤースピーカー)を作ってしまったのかもしれません。
*ポタフェスに行ったら。
開発に携わったイヤホンがポタフェスでデビューしたので様子を見に行ってきました、なんてことを先週書きました。会場ではそのイヤホンメーカーであるMother Audioブースの斜向かいにSTAX社が出展しておりまして、久しぶりにお会いした営業さんとイロイロ話したのです。
ワタシは長年STAXのイヤースピーカーを愛用しておりまして、あまりに好きすぎてディーラーとして販売もさせていただいているのですが、タイミングを逸していて最近発売された新製品は試聴も仕入れもしていませんでした。
気にはなっていたのですよ、このイヤースピーカー。STAX社の営業S氏によると、SR-X1はマーケットでたいそう評価されているとのこと。
ポタフェスのブースに試聴機が設置されていたので試聴させていただくと『あ、コレはとても上出来なヤツだ』と瞬時に認識できましたので、ウチもディーラーとしてデモ機を導入しないワケにはいかないぞと相成りました。
今号はSTAX製品の紹介投稿であります。
*仕様もヤバいな。
実機を手にして改めて慄きました。コレ、エントリー機でしょ?なんでレザーのイヤーパッドが標準装備なの?本革のパッドは上位モデルにのみ装備される仕様です。ヤル気ムンムンだなこりゃ。
アークが金属製になっており、メカとしてのデザインも良き。そしてなんといっても軽い!長時間装着していても全然疲れないだろうな。
音を聴かずとも仕様からして『こりゃ売れるわな』と確信したのです。
*で、試聴しましたよ。
長年の愛機、限定生産品のSR-L300Limited。コレと比較試聴しました。
早々にアレですが、SR-X1はリケーブルが出来ます。ココでまずはヤラれたーってカンジ。上位モデルで標準採用されている高級ケーブルを、別途オプション購入して使えるってことです。愛機SR-L300Limitedはダイヤフラムがシリーズ最上位モデルと同一というアドバンテージがあるけど、ケーブルは本体から生えていて差替えが出来ません。抜けないのです。
試聴で使ったドライバーはSRM-727A。
すでに販売終了しているモデルだけど音色が好きなのです。営業S氏からしてみれば『現行モデルに入れ替えてよー』って言いたいところでしょう、ごめんね。
ココにSR-L300LimitedとSR-X1をザクっと同時挿し。
さて、音色のインプレッション。
ワタシ、現行のSTAXイヤースピーカーは全部試聴しています。どのモデルからも一貫したポリシーを感じ取ることができます。
メーカーとしてのサウンドキャラクターを総括すると『ワイドレンジ、アタックはシッカリあるけどサスティンが猛烈に綺麗、繊細な弱音を美しく再生するけど大音量もイケる』と、そんな個人的所感。マーケットを見渡しても類似がない無双状態だと思っています。
SR-X1は前述のサウンドポリシーから外れず、でもワタシにはミドルレンジの出音が他のモデルと違うように聴こえるのです。太いというか密度が高いというか。よくある『中域にクセがあってカーカーコーコーいうカンジ』ではありませんよ。とても上手に整えられている。
クラシックとかのストリングス、はたまた繊細なボーカルを聴く場合は、SR-X1以外のイヤースピーカーを使った方が美しく聴こえるかもしれません。ウチでいえば300Limitedの方がワイドレンジでシルキーです。
でも、例えば『ボンゾのスネアを太く鳴らす』チューニングは、シルキーさとの同居が難しいと考えています。いつぞや投稿したJBLカーオーディオスピーカーのチューニングにおいても、ジョン・ボーナム先生のスネアサウンドは最も重要な事案でした。
このような『密度が高くて前に出てくるようなミドルレンジ』なキャラクターを、SR-X1は持ち合わせていると思えます。つまりロックを聴いていて、とっても楽しい。でもSTAXサウンドから外れていないという絶妙なチューニング。
STAX社は大変な名作を作ってしまったのかもしれない。いつかは丸型フラムの最上位モデル、SR-X9000を買いたいものだと思っていたワタシだけど、なんか意欲が薄れてきてしまったほどであります。
今号タイトルの『ロケンロー・ヘッドホン』は、そんな観点から勝手に命名したのでした。厳密にいえばロケンロー・イヤースピーカーなのですけど。冒頭でも書きましたが、とにかく本体が軽量だから装着感も良好。他のSTAX製品を愛用している方にも自信を持って『買い増ししませんか?』とセールストークできる逸品であります。
*試聴音源です。
高崎 晃さんとランディ・ローズさんとマイケル・シェンカーさんとニール・ショーンさんとマイケル・ランドゥさんに育ててもらったといっても過言ではないワタクシ。
もともとこのアルバムの音色は少々キビシイところがあったのですが、リミックスされて『そうそう、そうなのよー』と大納得なサウンドに仕上がっております。必聴です。
Mother Audioイヤホンのサウンドチューニング時だって、ワタシはどれだけSTAX製品を頼りにしたことか。自分の耳基軸は間違いなくSTAXとJBLとHarbethで出来上がっています。SR-X1は既存のメーカーイメージを超越して、新しいマーケットを開拓していくことでしょう。販売ディーラーとしてもユーザーとしても、これからの躍進が楽しみです。
*珍しくシメのご挨拶。
嗚呼、気づけばコレが今年最後の投稿になります。次号は元旦発射の予定。
しかし2024年は激動だったな。DYNAUDIOと別れてアイレックスと業務提携したり。BJ ELECTRIC製品も、多くの方にお求めいただきました。
ちょっと早いような気もするけど、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。そして来年も変わらぬご愛顧のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。
2024.12.25