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読書感想文【タイムマシンに乗れないぼくたち】

2022年 寺地はるな
7篇の短編集。
どれもこれも主人公はフツーの人でありながら、共通して孤独を抱えているように見える。
家族がいても友人がいても孤独とヒトは隣り合わせであるらしい。時に孤独にあえぎながらも、孤独を内包して生きている。


理不尽な立場にある登場人物が多く、やや歯がゆい気持ちを味わう。
思い切って現状をぶち破る、なんて突飛な展開もなくスカッとする結末ではない。ただ静かな読後で不快感も少ない。

みんなそれぞれ辛いこと、あるよな。
だって生きてるんだもんな、当然だよな。
だから生きてるんだよな。
うんうん、そんなもんだよ。

ベソベソ泣いている横に座って、適当に頷き適当な相槌を打ってくれる知人(友人でもないかも)のような本である。
説教臭くもないし、淡々として読みやすい。
短編集はこれくらいの長さがちょうどいい。
これまでガッツリ長編、を好んで読んできたけれど、最近は集中力も衰えているので短編があっているのだろうか。

作者は大阪在住とのことだからか、方言が自然で良かった。


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