読書感想文【生物と無生物のあいだ】
人からのオススメで手にとった。オススメでなければ絶対に選ぶことはなかった本である。
分子生物学の学者による、「生物とは?無生物とは?その違いはなにか
?それは誰が、どのようにして、考えてきたのか?」を紐解いた本。
難しすぎた。
本当に、全くもって自分の知識の範疇外、理解が10分の一、いや100分の一も及ばなかった。義務教育レベルから劣化し風化しきった生物の知識を総動員しながらページをめくったが、結論として自分はこの本を読む最低レベルの知識を持ち合わせていない、ということだけが分かった。
もう、途中から目が文字を滑ること滑ること。表層の字を追うだけで言ってることの意味が理解出来ない。
著者の語る『✗✗✗』という単語は著者にとって明確な意味を持つ単語なのだが、自分はそれを知らないから、分からない。音は聞こえるし文字も分かる。しかしそれは宇宙語にすら等しい。
自分の知識水準に見合わない文章というものが如何に理解できないものか、ということを理解した、という意味での収穫はあった。
ただそれでも端々、興味を引かれる一文はあった。SF小説を読む程度のものだが、確かに「へぇ、」と思えるものである。
生命とは何か?
それは自己複製するシステムである。
答えは著者が研究者としての道を歩み始める以前に出されていた。
自分などが読んでも「はあ…」としか言いようがない、この答えに至るまで、どれほどの人間がどれほどの情熱、というかもはや執念をもって思考を巡らせ時間を費やし研究を続けたのか。歴史を紐解いていきながら、更に著者はある発見を追加材料として、生命とは、という問に考察を深めていく。
地の文は論文を多く書く研究者らしい、端的で客観的なものだが、時折行間に滲むように偉大な先達たちへの敬意や情熱がそこにはあった。「研究内容」に理解は遠く及ばないが、「研究すること」に対する情熱や使命感は感じることが出来る。
そして生命というものの許容範囲の広さへの驚愕・畏怖・感嘆。
決して理解しやすい本ではなかったが、得るものも確かにあった読書体験だった。勧めてくれた人に感謝である。
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