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映画感想文【ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い】

2024年製作
監督:神山健治

J・R・R・トールキンの名作小説をピーター・ジャクソン監督が実写映画化したファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の前日譚を描く長編アニメーション。小説「指輪物語 追補編」に書かれた騎士の国ローハン最強のヘルム王についての記述をふくらませたオリジナルストーリーで、実写版3部作の183年前に起こった伝説の戦いを描く。

<あらすじ>
誇り高き騎士の国ローハンは偉大なるヘルム王に護られてきたが、突然の攻撃を受け平和は崩れ去ってしまう。王国の運命を託された若き王女ヘラは国民の未来を守るべく、かつてともに育った幼なじみでもある最大の敵・ウルフとの戦いに身を投じていく。

映画.com


2024年の仕事納めと映画館納めとして、公開日にワクワクしながら行った。
久しぶりのレイトショーに月末で有効期限切れポイント消費のポップコーン&コーラという最強布陣。
観客の入りは10人程度と公開初日にしてはやや寂しいが、田舎のレイトショーはこんなものだろう。年末はみな忙しい。

上記引用の通り、あのロード・オブ・ザ・リング(略称LOTR)から想像を膨らませたオリジナル・ストーリー。
もともとの舞台が広大で重厚なので、こうした想像の余地はおおいにある。本家本元につなげていくとなれば難しいだろうが、同時にオタク心をくすぐる。壮大な二次創作と言えなくもない(笑

原作を読もうとして挫折しているので、改めて実写映画三部作で復習してから臨んだ。
色々と理解が進むので良かったが、なにせどれも(今作品も含め)結構な長丁場。時間のある方かあるいは登場人物やあらすじ、地名などを頭に入れる程度をおすすめする。

チラと見た情報サイトの感想では結構辛口評価が多かったが、個人的にはいぶし銀で実写映画の雰囲気を壊さない、優秀で面白いストーリーだった。
騎士の国・ローハンで伝説のように語り継がれるヘルム王が登場するが、彼の英雄譚ではなくむしろその最後の失策とそれでも続く血筋の話である。
ヘルム王の末子・一人娘ヘラが主たる登場人物だが、彼女もまた物語の一人物に過ぎない。他、復讐心を燃やす領主の息子ウルフや盾の乙女オルウィンなど、登場人物全員で王国の歴史を紡いでいく。

突出した英雄がいない、という意味では、確かに物足りなさを感じるかもしれない。けれどそれこそが野に埋もれた本物の歴史なのである。
実写映画も指輪を託されたフロドが主人公と言えようが、お供・サムの存在感の強さは随一であるし、ゴンドール王となったアラゴルンとエルフの弓使いレゴラス、ドワーフの戦士ギムリの三人組の物語など、こちはらいかにもな冒険譚で面白い。
なによりゴラムである。
善悪の両極を一人で激しく行き来するゴラムには、強烈なフォルムも相まって誰もが釘付けだろう。異論は認め……ない!

サム……!
あんたが大将だよ!


ローハンを攻めるウルフは、冥王サウロンと比べれば動機も含め当然一段も二段も格が下がる。
だって普通のにんげんだもの。
なので原作のスケールを求めるほうがそもそも間違いだろう。
それをちゃんと考慮に入れて、けれどあのLOTRに続く隠された歴史の一幕を見る、となると十分面白い。
しかし長いので、ドリンクの持ち込みはやめといて。

また、結構前の席だったからか、自分の視力の問題か、画面いっぱいのアニメは少々見づらかったので劇場を訪れるならやや後方の席が良いと思う。
別に専門家でもなんでもないのではっきりとは言えないのだが、アニメの品質というか動きというか、リアルさを求めるあまり? 人間のふわふわした身動ぎみたいなモーションを見せるのは気になる。
ポリゴン3Dゲームのような印象。それらを省略するからアニメとして見やすいものが成り立つのでは?


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