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税務署の指導なんてイヤだにゃ~

暑くてうんざりしている時に、いきなり税務署から封書が届いた。
この時期になんなん?! (イヤな予感しかしない)

中身を読んでもさっぱり意味がわからなかったので、税務署に電話をかけて担当者の熊沢さん(仮)につないでもらった。
その流れで、税務署へ「源泉徴収税についての指導」を受けに行くはめになったのだ。

指導なんて、イヤだなぁ…
悪い予感しかしない。
電話での説明で、どうやらわたしが税務上のミスを犯したらしい事だけは、わかった。

税務上のミスと言うと、何だかものものしくも聞こえるが、わたしが扱っているのは微々たる案件。夫が建築設計の仕事を細々とやっているので、その確定申告をわたしが引き受けているだけの話だ。
吹けばとぶような税務の、わたしのミスは過去4年間も遡られた。
(げーーーーっ!)


電話でわかったのは、ビジネスパートナーの方に支払った報酬(=給与)から源泉徴収をしていなかったという問題点だった。

→法人でもあるまいし、個人事業のウチが「源泉徴収」?!
→毎月給料を支払っているわけでもないのに??


あらためて聞いていただきたい!
夫が建物図面を描く事をなりわいとしている中で、物件によっては構造計算が必要になるケースがある。
その場合は構造計算の専門家に依頼してやっていただく。
そんな訳で、構造計算屋の杉山さん(仮)は、必要な際に協力をお願いするビジネスパートナーだった。

その杉山さんに支払った報酬(=給与)に対しては、当然の事ながら所得税が発生する。それについては、杉山さんご自身が確定申告をして納税しているのだから、それでいいのではないだろうか???



そんな疑問をふつふつと抱きながら、税務署へ向かった。
担当の熊沢さんからは「過去3年分の確定申告書の控え」と「杉山さんへの支払い金額がわかるもの」を持参するように言われ、それぞれ揃えた。

税務署で用件を伝えると3階にあがるように言われ、3階で名乗るとパーテーションで仕切られた個室風のブースに案内された。
(いやだなぁ、この感じ)
座って待っていると、のしのしと、まるでトランプ大統領のボディーガードみたいな巨漢が現れた。おまけにスキンヘッドだ。
(税金滞納者の取り立て役みたいだ‥‥)
電話の熊沢さんがこんなキャラだとは思いもしなかった。正直おどろいたが、こちらにやましいところも無かったので、鷹揚に構えていた。

今回、熊沢さんもとい国税庁からの話は、要するに構造計算屋の杉山さんに支払った報酬(=給与)からは、源泉徴収税をちゃんと差し引いて、それを事業主のウチが納税せよという指導だった。

「へえぇ、そんなの知りませんでした。インボイスの関係とかで最近 法律が
 変わったんですか?」
「いいえ、ずっと前からこうでしたよ」

すました顔で返されたが、
珍しいことに、この時ばかりは「知らなかった」ことに対する恥の気持ちが全く湧いてこなかった。(‥‥)

熊沢さんは、源泉徴収税に関する説明冊子を用意していて、それを開いて要所要所をかいつまんで説明し、家に持って帰ってよく読むようにと言った。
また、税額計算早見表というのもくれた。
まあ、やるしか無いな。 

「それで、給与から差し引いた源泉徴収税は、年末あたりにまとめて納付す
 ればいいんですか?」
「いいえ、毎月その都度ですよ」

  はぁ?!


「あ、この紙に記入してもらえば、6ヵ月に1度にまとめられます」


「年イチぐらいには、ならないんですかぁ?」 (ほぼ棄てぜりふ)
もちろんならないが、すぐにその紙には記入して、提出した。
それと同時に、札束のようなボリュームの納付書を先渡しされた。手際のいいこっちゃ。
まあ、この程度の話でよかったと思い、帰ろうとしたのだが

しかし本番はこれからだった!



なんと、構造計算屋の杉山さんに支払った報酬(=給与)を、過去に遡って全て源泉徴収すると言うのだ!

なんのはなしですか? と尋ね返しても、税務署が言い出したらもう止まらない。
わたしが持参した(杉山さんへの報酬の)領収書は、過去4年間に渡ってざっと30枚以上。
これからその1つ1つに対して源泉徴収額を計算して納付書を拵えるから、早急に金融機関から納付するようにとのお達しが出たのだった。


意味わかりましたか??

杉山さんは、既に所得税を納めているんですよ。(たぶん)
それなのにまた源泉徴収するなんて、所得税の二重取りじゃないですか!

そうしたら熊沢さんは
「源泉徴収票を発行しますから、杉山さんに次回の確定申告で還付を受けて
 もらって」
「えぇ?」
「それをあなたが受け取って、今回の納税分を相殺して」
「はぁ??」

なんでそんなことせにゃならんのじゃ????


‥‥とゴネても、どうなるものではない。
相手は熊沢さんではなく法律なのだ。
わたしはやむなく「わかりました」と承諾した。

お次は、過去4年分の源泉徴収税の納付書を作るために、30枚以上(月ごとなので)の用紙に、繰り返し繰り返し住所と電話番号と夫の名前を手記入。これが一番キツくて、もはや苦行でしかなかった。
税額の欄は、熊沢さんがテキパキと計算してちゃっちゃと記入。
合算したら、納付する税額は十万円以上になっていた。

税務署から解放されて、さっそく杉山さんと連絡をとった。
事の顛末を説明すると、快く事後処理に応じて下さると言ってもらえたので、心底ホッとした。
ロビーで飲んだ缶コーヒーの美味しかったこと!

けど、なんだかなぁ~~

 
                                                                                    photo by Heidiさん

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