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11話:熱海×湯河原 梅林はしごで梅三昧

「日本の旅と風景印の物語」をテーマに、日本各地の旅紀行を綴っていきたいと思っています。
11話目は、先週の花見旅のお話になります。どうぞお読みください。


今回は93歳のじいちゃんも連れてのお花見で、のんびりゆっくりの旅になります。ここで、心琴さんが主宰している「バーチャル登山」という取り組みに、「バーチャルお花見」として参加したいと思います。
心琴さんよろしくお願いいたします!




梅の便りも聞かれる今日このごろ。
庭先でじいちゃんの白梅が1本。

見頃を迎えてメジロを遊ばせているものの、浴びるほどの梅花に埋もれてみたいとリクエストがあり、それではと「神奈川県内の湯河原梅園」「静岡県の熱海梅園」に目をつけた。1日1梅園で、1泊2日の行程だ。


じいちゃんはこの地(神奈川県の湘南エリア)に生まれて93年だから、若い頃から青年団や組合の旅行などで湯河原・熱海の梅園へは何度も行っている。とは言うものの、歳をとると目新しい場所へ行くよりも、昔なつかしい場所のほうに心惹かれがちな様子があった。

使い慣れた杖を1本携えて、いざ出発!
(入れ歯もちゃんとつけて出てきました)


西湘バイパスを西へ走ると、左には湘南海岸(相模湾)、右には富士山という最高の眺めが展開する。
天候もまあまあで、助手席のじいちゃんはご満悦。
真鶴のあたりで陸側に入って、最初の目的地は「湯河原梅園」がある幕山公園だ。この「幕山」も、低山ハイキングやロッククライミングで四季を問わず人気のスポット。わたしは今日で3回目の訪問になる。



湯河原梅園でのコストは、駐車料金が1日500円と入園料が大人1人200円。
これには訪問客を歓迎する各種のサービスが盛り込まれており、詳細は逐一  記していくのでお楽しみに。


大きな看板は無く、いつもの石標の横に中途半端な表示‥‥?


さて、梅まつりの会場は、目立った飾りなどは無くいたって静か。
平日ということもあって人影はかなり疎らだ。
いや、そうじゃなかった。
人影が疎らなのは、よく見たら梅の開花状況が1部咲きだったからだ!汗汗
(会場に掲示がありました)←梅見りゃわかりますが


浴びるほどの梅花に埋もれるつもりのじいちゃんをだましだまし、ゆっくりと歩く。
「まだ、この辺は入り口だからね。奥の方でいっぱい咲いてるよ!汗」



おや、ほんとうに咲いていた。
個体差か場所のせいか、なかなか華やかな紅梅があらわれてくれた。

湯河原梅園は、幕山はじめ周囲を低山に囲まれており、梅花越しの稜線もまた清々しい。

おっと、じいちゃんの姿が見えないが‥‥!



出店を見つけてそっちへ行こうという気だ。花より買い物。

とても広い芝生広場に、このような出店が何軒も立てられて、それぞれに物産を販売中
こういうのが、じいちゃんは大好き
地元特産の柑橘類、湘南ゴールドはじめ夏みかんやキウイフルーツも
こちらは手びねりの陶器販売、素朴な味わいのカップや小鉢、箸置きや香炉などなど



梅のお花見そっちのけで、蒸かし立ての饅頭きなこ餅を購入。
売店では、釣り銭といっしょに小さな券を配っていた。

いつの間にやらお昼時刻となっていたので、持参のおにぎり・お茶を取り出してテーブル席をキープ。

広々としたオープンテラス席


足元を埋め尽くす木材チップはとてもやわらかくて快適
梅まつりに合わせて敷き替えられたばかりのもの


日当たりもよく暖かい場所で、軽食をとりながらゆっくりと休憩。
ここで、さきほど売店で釣り銭と共に渡された小さな券を、あらためて取り出し確認。いく枚かあって、1点3点5点などとある。
じつは通りかかりの人が「もう帰るから、よかったらどうぞ」と、数枚くださって、合計すると22点分あった。
集めると何かいいことがありそうだが、よく見たら、15点分集めるとどこぞで甘酒が1杯飲めるのだとか。それがどこだかは、さっぱりわからない。
まあいいでしょう。


休憩のあとは、じいちゃんが売店のソフトクリームを食べたいと言い出し、梅味のソフトなるものを購入。
もういいかげん梅のお花見にいかなきゃ。汗

梅というより桜いちご味?で美味なるもの


湯河原梅園は、幕山公園の敷地内から始まって、幕山の麓を覆うように梅林が広がっている。
その麓の方が、日照に恵まれて開花が進んでいる様子だが、杖をついたじいちゃんには少々無理があるので、公園内のエリアを歩き回ることにした。


湯河原の日輪と紅梅白梅の図
曇天の薄雲が、やわらかく日射しを遮ってくれた。


玉すだれのような枝垂れしだれ白梅「緑顎」
コロコロしたつぼみが可愛い。



梅林の散歩道
陽光が映し出す影が幻想的にも見える瞬間。



ほろほろと咲き初める梅枝の中を歩く
(梅林散歩道写真の一部ズーム)




じいちゃんは疲れてしまい、曲がり梅の幹にすわって休憩中。
このあたりで3000歩かな。(杖をついても達者です)


そろそろ引き返すのが潮時と、ショートカットした道順にて出入り口の方へ。途中でさっきの売店エリアを通る‥‥、と!
「あま酒1杯250円」と貼り出した店があり、そばに小さくポイント使えますとか何とか書いてある。

おお、ここだったのか!

喜んでポイント券を数えると合計34点だ。2杯もらえる。
けれどこちらは3名づれなので、1杯足りないとボヤいていたら、通り掛かった人が「もう帰るのでコレどうぞ」と、またしても下さった。
よしよしこれで! と勘定したら、合計43点で甘酒3杯には2点足らず。
観念して1杯は250円で買い求め、3人で美味しくいただいた。
(ここで皮肉にも2ポイント獲得)

還元率を計算したら16.6%に昇った。頂いた券まで換算したら何%に迫るやら。甘酒好きにはたまらない。

そして使い残しの15ポイントは、ソフトクリームを舐めていた親子連れに進呈して、我々は梅園を後にした。


この湯河原梅園の入場券には、湯河原駅前商店通りで使える200円分のクーポンが付いてくる。今日は3名で入園したので600円分だ。これを使わずに帰るのも惜しいので、商店通りの酒屋さんで500ml発泡酒缶×3本を買うと、不足額84円だけ支払って求める事となった。今夜の安宿で乾杯するとしよう。
つくづく、湯河原梅園の客向けサービスに感謝だ。

🌸駅前商店通りのタイルはピンクの桜模様🌸



さて、このあたりで本日の風景印をいただくとしよう。
湯河原駅前通りを東へ向かって少し歩くと、右側にパール色のタイル貼りで美しい1階建ての建物が見えてくる。
湯河原郵便局だ。
中へ入ると、カウンターの向こうで中堅どころの女性局員さんが応対してくれた。ポニーテールに、前髪がアニメのキャラクターみたいでカッコいい。

今日は、梅林を堪能したので迷わず梅の切手を選んだ。80円切手だから額面が足りないので、椿の花が連刷された2枚を貼る。これで風景印にとって最高の舞台が整った。笑


風景印を押してもらうためには、現行最低郵便料金 (つまり葉書料金85円)分の切手を貼る必要がある。
今回のように160円分も貼る必要は無いのだが、美しい風景印を残すに相応しくと願い、美しくゆかりある切手を、額面に拘らず貼っておる次第。

収集初心者のかたへご参考


局員さんは、ノートを丁寧に受け取ると、試し打ちを1回してから手早くぺたりと押してくださった。

中央に不動の滝と右側に出世大黒尊の社
ツバキの花のむこうに温泉美人の図


これにて初日、湯河原での予定は終了。
あとは宿の温泉で手足を伸ばし、夜更けまで旅の絵葉書でもしたためよう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



熱海で迎えた2日目の朝は快晴。
梅園のはしご旅。今日は熱海梅園への訪問となる。


来宮きのみや駅界隈の混雑をかわしながら、地方道11号線を山へ進むと、ほどなく熱海梅園に到着だ。
こちらの駐車料金は1日600円で、入園料は大人300円。だが熱海市内で宿泊すると大人は100円に割引き。昨夜の安宿の領収書を提示して600円分の割引きを得た。


さて、湯河原梅園から熱海梅園までは、道のりで13km程。
とっても近い間柄にも拘わらず、
昨日1~2分咲きで淋しげだった梅が今日の熱海では5分咲きで、桜の花までほころぶ程。 知らぬ者なら「早咲きの河津桜が咲いてるよ」と流し見たものだが、さにあらん。
これは「あたみ桜」と言い、河津よりいちだん早咲きで、ちょうど熱海界隈で綺麗に咲いていると、一昨日のnote記事で教わったばかりであったのだ。おかげでそうと判かった次第。
🌸眠り猫さん、ありがとう🌸←あたみ桜の見事なご紹介記事即日投稿モノ 



駐車場の入り口付近で咲いているのが「あたみ桜」。
今年は冬の寒波が厳しくて、本場河津でも桜はまだなのに、この「あたみ桜は」ほぼ見頃を誇っていて、お花見ムード満点だ。

すべて桜です🌸


熱海梅園近くの通りで発見したマンホールふた
熱海市政80年記念のようだ
ちなみに熱海市誕生は1937年(昭和12年)




入場口には「梅園」の石碑。左右に紅梅白梅が配されている。

ご老公さまと助さん格さんみたい




ゲートをくぐります



まずは紅梅


続いて白梅


逆光を透かすロウバイ


熱海梅園は、どの梅木もほろほろと花咲かせて、甘い香りすら漂っている。
どこからか箏曲の音色も聞こえてくる。

               

園内にある多数の句碑中で、これがいちばん立派なもの。

梅が香に のっと日の出る 山路かな
ところどころに 雉の啼きたつ
松尾芭蕉51才(元禄7年)
下句は野波による




八重咲きの白梅「八重野梅」



真っ赤に塗られた「駐杖」

熱海梅園名物の五橋のひとつ「駐杖ちゅうじょう」を渡って、
さらに奥へ。


梅見の滝 下にはわさびが自生


土手を覆う紅梅白梅。

       登って、近くで眺めようか→→ 💣



歩道脇にクリスマスローズのつぼみ



梅林と竹林のシンフォニー🎵


じいちゃんもすっかり満足気な顔をしている。

誰もが梅の甘い香りに酔っていた。
春爛漫の梅園の中では、怒った顔をした人も、泣いている人も無く、またお腹を空かせる人も無く、まこと平和なこの世の天国。
世界の隅々までこのような景色が広がってほしいと、手を合わせずにはいられない。



そろそろ帰路をとる頃合いだが、このあたりで本日の風景印をいただくとしよう。
熱海梅園から海方面へと下ると、熱海市のほぼ中心に静岡県の熱海合同庁舎がある。その一角に、パール色のタイル貼りで3階建ての建物が白く光っている。
昨日の湯河原郵便局と全く同じタイル貼りだが、こちらはかなり大きくて立派な熱海郵便局だ。
中へ入ると窓口がずらりと並び、番号カードをとるシステムだ。
風景印は郵便用の窓口へ直接声をかける。
カウンターの向こうでは、熟連おばさま局員さんがニコニコと出迎えてくれて、ノートを手渡すと早速スタンプを握ってインク台にぽんぽんぽん‥‥

今日は梅園への訪問だったが、お初の「あたみ桜」が印象的だったので、桜の切手を使うことに。非常に地味な通常切手だが、チョコレート色の地に桜のピンクがなんとなく風情がある。額面が52円なので同じ物を2枚貼っ…

あ”あ”あ”ーーッ
局員さん、試し打ちはしないの?!


アッという間も無く笑顔で業務完了。


       少々かぶり過ぎの押印、まあいいでしょう‥‥汗

熱海市の市花 梅型の枠が特徴的な印
左側にお宮の松、奥に熱海湾と遠景左に初島
右側には温泉街の建物と間欠泉



これで梅三昧の旅もミッション終了。
帰路はせっかくなので十石峠から箱根へ抜ける山道コース。
富士山がなかなかの眺めでした。

十国峠ケーブルカーを利用するとより広大な景色(運賃大人往復730円)
麓には森の駅なるものがあり、食事やお土産など買い物が出来ます



(おしまい)



日本の旅と風景印の物語に興味をお持ちのかたは、
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もちろん無料です🍃




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