原書を読んでみたい!! 海外ミステリー小説:「カササギ殺人事件」
アンソニー・ホロヴィッツのカササギシリーズ第1作目
「カササギ殺人事件」
ひと月ほど前に「メインテーマは殺人」を読み終えた私は、間髪入れずにこの「カササギ殺人事件」を本屋に買いに走りました。
なんだかいくつもの賞を受賞しているすごい小説、ということは数年前から知っていましたが、海外小説故にこちらもなかなか手が出せずに気づけば4,5年が経過。
「メインテーマは殺人」を読んでアンソニー・ホロヴィッツが本格ミステリーを書いてくれることを十二分に理解した私は、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズとカササギシリーズを全て読んでみようと決心しました。
そんなわけで、今回は「カササギ殺人事件」についての記事を書いていきます。
あらすじと概要
1955年ということで、まだあまり科学捜査が発展していない時代のお話ですね。指紋やDNA操作は然り、防犯カメラもありません。SNSもパソコンもないですし、そもそもインターネットすらありません。
ミステリーを読んでいて私が良く思うことは、現代というインターネットが普及した世の中はミステリー小説を書く上で非常に厄介なのではないかということです。インターネット普及以前は情報の伝達に時間を要しました。それが犯人に有利に働くこともあれば、探偵(警察)に有利に働くこともありました。
しかしインターネットが普及してからは全てが一変。メールは送信ボタンを押せばすぐに相手に届きますし、事件の情報は翌朝の新聞を待たずにテレビやウェブ上で流れます。もはやそこに時間の猶予はなくなり、時間差トリックやアリバイ工作の難易度が格段に上がってしまいました。
最近ではこの状況をうまく使った小説もありますが、技術的な話が入ってきてしまうので私はどうにも慣れないです。
と、話が脱線してしまいました。この「カササギ殺人事件」は1人の家政婦の死が周囲に影響を及ぼし、さらなる事件へと繋がっていきます。
そこに登場するのが名探偵アティカス・ピュント。彼は大病を患っており、余命もわずか。そんな彼が人生最後の事件に挑んでいくのがこの小説のあらすじになります。
あらすじと概要2
ん?なんでまたあらすじ?
と思われた方もいると思います。
そうなんです。実はこの小説、上下巻に分かれているんです。
(原書は上下巻に分かれていないようなので、さぞかし分厚いんでしょう。)
上巻では名探偵アティカス・ピュントの物語が進行していると思いきや、下巻では「編集者のわたし」が登場します。
2つの「カササギ殺人事件」が織りなす、古典ミステリーと現代ミステリーの共演
この小説は作中作というトリッキーな手法をとっています。
あえて難しく表現すると、名探偵アティカス・ピュントが主人公の「カササギ殺人事件」があり、さらにその原稿を読んだ「編集者のわたし」が巻き込まれる事件=「カササギ殺人事件」なのです。
何を言っているのかわかりませんね(笑)。
説明しすぎるとネタバレになる可能性も含んでしまうので、気になった方はぜひ読んでみてください。(という説明放棄)
この作中作であるアティカス・ピュントが登場する「カササギ殺人事件」は古き良き古典ミステリー、「編集者のわたし」が登場する「カササギ殺人事件」が現代ミステリーになっており、この2つの作品がうまいことリンクして読者を楽しませてくれます。この仕掛けこそ、この小説が賞賛される所以なのでしょう。
原書を読みたい!でも英語の読解力がないので断念・・・
この「カササギ殺人事件」を読み終えて、
「原書が読みたい!!」
となりました。
翻訳者の方は物語の構成やキーポイントを押さえて非常にうまく翻訳してくれていますが、それでも日本語にする際に変更しなくてはいけなかった部分が多々あると思います。
読みながら、
「あぁ、ここは日本語に訳すときに変えざるを得なかったんだな」
と思う箇所が所々ありました。
そのあたりを英語で書かれた原書を読めればもっと納得感が増しそうな気がしてなりません。
しかし!
残念ながらわたしには英語の本を読む力はありません。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」の原書が手元にありますが、物語導入部のチャプター1、ページにして20ページあまりで読むのを挫折してしまいました。今は本棚のディスプレイになっています。
いつの日か、私の英語力が上がったらチャレンジしてみたいものです。