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チガサキ⊿ライフ008 : インフルエンザ
1. 発熱
眠い目を擦りながら時計を確認すると、夜中の3時だった。息子の様子がおかしいと、妻に起こされた。息子の目が覚めて寝付かなく、「電気を取って。」と無茶を言いながら震えていた。妻と抱っこの役をバトンタッチしたが、高熱は無く体温計で計ると37度であった。気分転換にりんごジュースを飲ませ、やっと寝かし付けた。朝になると熱が39度まで上っており、いっそう元気がなかった。娘も前日から調子は悪かったが、腹痛がかなり完治したようだった。妻の調子も良くなく、差し詰め家族崩壊の危機に面して、会社を休んで看護をする事にした。診察券と保険書を持ち、息子を抱っこして病院に着いたのだが、良く診察券を見ると、病院名が異なる事に気付いた。か細く弱弱しい声で息子に「ここじゃないよ。」と指摘された。来た道を戻り、自宅の窓から「何やってんねん。」と冷かす娘の前を通り、今度は家から全く反対側にある目的の病院に行った。
2. 診断
元気が無く恐ろしく小さい声で挨拶した息子だが、医者の指示通りに口を開け、腹をいじくり回されても冷静に対処していた。鼻にメンボウを突っ込まれ、出された診断結果は、“インフルエンザA型”であった。自殺者が出て話題の薬・タミフルを出すべきか医者が迷っていたが、必要な薬であるなら出すように依頼し、3日分を貰うことになった。
3. 火事
薬局で薬を待っている際、やたらと消防車のサイレンが鳴り響き、自宅の方へ数台走っていた。心配になり妻に電話したが、家の近くまでは来ていないとの確認が取れた。消防車の好きな息子は、泣かずに診察を終えた誇りと、消防車の登場で少し元気を取り戻していた。病院と自宅のちょうど中間地点で火事があり、8台の消防車に救急車とパトカーが1台づつ到着し、帰宅の道が封鎖されていた。立て続けの災害で、私には厄日であったが、息子の目は輝いてあながち悪い日では無く、帰宅後に消防車のホースは赤色でなく白色だと、姉に自慢して教えていた。