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ロンドン駐在記057 : 通貨

1. 略称

 イギリスの通貨はポンドとペンス(1ポンド=100ペンス)である。レジで「ワンピーを持っていないか?」と尋ねられた。何の事かと質問すると、1ペンス硬貨を持っていないかと言う意味だった。ペンスの事を略して”P”と呼ぶようである。ポンドもペンスもPで始まるので、Pだけ言われても何の略か分からないし、ペンスをピーと言ってもたいした省略にはなっていない、合理的でない略式である。

2. 海外通貨

 自動販売機で使えない1ペンスコインがあった。良く見るとイタリアのコロッセオの絵が描いており、ユーロの1セント硬貨だった。レジでお釣りをもらった際にまぎれていたようである。また、1ポンドかと思っていたが、これまた使用できない硬貨があり、周りのエンジニアに聞いてみた。ある人は手にとっても、これは1ポンド硬貨だと言い、ある人は何かのコインだと適当な事を言った。ちょうど彼らの上司が通りかかったので、これは何だと訪ねると、北欧のコインで1コロネだとの回答で、さすが上司の回答だけあって確かにそれらしき表示が書いてあった。

3. 通貨

 興味深い点は、ほとんどの人がイギリスの硬貨でなくてもその事に気付かない点である。日本では、韓国の500ウォン硬貨を削って自動販売機はだませても、人間はだませない。ここでは機械はだませなくても、人間のほうが簡単にだまされる。ちなみに、本当に1コロネが使用可能か、買い物をしてみたが、問題なく買い物ができた。金融当局は偽造防止に躍起になっているが、ここではあまり意味のない事のようさえも思える。逆に皆が1ポンドだと信じて流通・売買が成立するのであれば、その金融システム内での問題はない。ただし、そうは分かっていても、1セントや1コロネを受け取るとどうしても為替換算で損をしている事が頭をよぎり、財布にイギリス以外の硬貨が入ってくるたびに、損をした嫌な気分になった。

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