ビジネス出張記039 : 富士市
1. 富士山のお膝元
早春の言葉に相応しい、暖かい晴天に包まれた2月に、富士山のお膝元の富士市に出張した。日本一の山・富士山から降ってくる花粉も日本一クラスで、同行者のクシャミが絶えない出張となった。
2. 紙の街
B級グルメの雄・富士宮焼きそばの街と、静岡おでんの街に挟まれながら、富士市は特に食の名物のない街であった。強いて言うなら黒はんぺんが名物だそうで、帰る前にビールのつまみに堪能した。食に関して少し控えめな街だが、豊富な地下水を利用した製紙業が盛んで、国内1位の王子製紙工場(世界6位)、国内2位の日本製紙工場(世界10位)の工場を筆頭に、市内に複数の製紙工場があり、その製紙工場数は日本一である。このペーパレスの時代とは言え、売上高一兆円超えの2社が幅を利かす、紙の街である。
3. 田子の浦
タクシーの中で地図を見ると、見覚えのある“田子の浦”の文字が目に付いた。百人一首で有ったはずだがうろ覚えで、いい加減な記憶で「“天の橋立”でしたっけ?」と会社名つながりで田子の浦タクシー社の運転手さんに無茶振りをしていた。地元の地理に精通したタクシーの運転手も、残念ながら万葉集の和歌までは精通していなかった。帰った後にしらべると、正しくは、「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける 」。現代訳では、“田子の浦に出かけて、遙かにふり仰いで見ると、白い布をかぶったように真っ白い富士の高い嶺が見え、そこに雪が降り積もっている。”との壮大な状況を唄った和歌であった。山部赤人の時代にはなかったであろうが、現代の出張時の一句読むとすれば、降り積もるのは雪ではなく、花粉が相応しかった…。