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スペースも、ブランド化していく時代に。

昨年最後に更新した、ひとつ前の記事でコワーキングスペース EATLAB のひとつの成長の形として考えた「概念化」。それは、ひとつのスペースを軸にそこにコミュニティができ、それを並行展開していけるだけのブランド価値を持つということです。

わたしたちは、スペースもブランド化していく時代が訪れる、いや、すでに訪れているのだと考えています。

EATLABのマーケティング自由研究の場として運営してきた有料マガジン「EATLAB online 研究室」ですが、今年最初の note は、EATLABというコワーキングスペースとしてのブランドのあり方について考えてみたいと思います。


ニューノーマルでいよいよ変わる仕事への価値観

ブランディングの話と少し離れますが、コロナ禍ではありましたが 2020年のEATLABの利用は、運営開始2年目にして利用者の変化の兆しがありました。それは、月間メンバーの増加です。また、ドロップイン利用であってもリピーターが増えたことは、一地方都市の小さなコワーキングスペースの話ではあるものの、少しずつ働き方、ライフスタイルの変化を感じた一年でした。その理由として、利用者にヒアリングしたところ、コロナにおけるライフスタイルや働き方の変化の影響であることは間違い無いようです。

しかし、こうした世界的なライフスタイルの変化によりワーケーションという言葉に注目が集まったり、これまで在宅勤務の兆しもなかったような大企業ですらリモートワークを導入したりしている中で、コワーキングスペースを運営するわたしたちの働き方は少しも変わっていない、というのが本音で。

むしろあらためてワーケーションとかリモートワークについて行政や旅行会社から問い合わせを受けると違和感すらあったくらいです。

でもよくよく考えてみれば、市内唯一のコワーキングスペースを運営し始めたのも、市役所と一緒にワーケーションのパンフレットをつくったのも、地域の中で他の人より少しだけ早くニューノーマルなライフスタイルや働き方を実践していたからなのかもしれません。

それならば、そうしたわたしたちが実践してきた働き方を発信することにこそ、わたしたちEATLABが出せる価値があるのではないか。

今年EATLABがやっていきたい広報のひとつの方向性として、そう考えています。

D2C時代、スペースもブランド化していく

さて、タイトルにも書いた “スペースのブランド化” についてですが、SNSが一般に普及し、様々な企業がSNSの使い方を試みて知見も溜まってきた今、ユーザーはいとも簡単にプロデューサーの発する一次情報を手にすることができます。

そんなD2C全盛期の今、あらゆる商売がブランド化していく流れにあり、それはわたしたちスペース運営者も例外ではありません。

では、スペースのブランド化とはなんでしょうか。

D2C(Direct to consumer)とは小売り起点で登場したキーワードですが、リテールフューチャリストの最所あさみさんはD2Cについて、こう発信していました。

D2Cと呼ばれる新しい小売の真髄は、モノを通してコミュニティを作っていること、その旗印としてモノが機能しているということだと思います。(中略)中間マージンがないとか、ECで直接売っているとか、価格帯が従来より安いとかではなく、「作ったモノをどう売るか」の発想から、まずコミュニティを作り、そこに「何を届けていくか」を考えてモノづくりをしていくこと。

また、NewsPicksより書籍D2Cを上梓したTakramの佐々木康裕さんはD2Cのことを

D2Cは単なる「中抜き」ではまったくない。
ー顧客との関係性
ーものづくりのプロセス
ーブランディングのあり方
ープロダクトの売り方
など様々な側面で不可逆の変化をもたらした、時代を象徴する「パラダイムシフト」である。

と紹介するとともに「データとブランディングのキメラ」であるとも表現されていました。

ここから、わたしたちのコワーキングスペースの今後を考えるなら、スペース自体をモノと捉えると、わたしたちが築くべきは、機能だけが優れたスペースではないということ。築くべきは新しい働き方を実践するコミュニティであり、その実践の場としてスペースが機能している状態を目指せたらと思うのです。その中でWEBとリアルをうまく融合することで地域にとって頼りになる多様な働き方をしている人材をデータ化したり、その地域と関係人口の関係性を紐解いたりすることで、地域にとってあそこに行けば新たなインスピレーションが得られると思ってもらえることこそ今後の地域のコワーキングスペースのあるべき姿なのではないかと考えています。

コワーキング利用は、EATLABという世界体験への入り口

フリーランスになりたてのわたしたちがそうであったように、コロナ禍での新しいライフスタイルに適応した仕事術をみんなが暗中模索している中で、誰かを参考にしたい、誰かのおすすめを聞きたいという欲求は本能的に持っているものだと思います。 

なぜならamazonのレビューや@cosmeなどがそうであるように、人間は多くがおすすめされたものを選択して生きているからです。結婚式でも家の購入でもそうですが、何もかもが新しい体験の中で暮らしも仕事も全てを自分で考えて構築したいと思っている人は案外わずかかもしれません。

コワーキングスペースだってもっと自分が参加したいと思える世界観をもったスペースが必要で、そこに入れば共通のアンテナでキュレーションされたモノや情報に導かれていくような体験が求められているのではないかと思うのです。

「小売再生」という書籍を執筆しているダグ・スティーブンスが以前、ブログで『すべての企業は体験企業になる』なると書いていましたが、様々なディバイスの変化やニューノーマルにおけるライフスタイルの変化で購買が変化している中、働きかたや暮らしかたもまた例外ではありません。

コワーキングスペースが提供できる領域は働き方と暮らし方の間にある。わたしたちはその体験企業になれたらと思うのです。


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