「発問」のみを検討していないか?
授業研究会に参加すると、「今日の授業は発問がよくなかった」ということがよく問題になる。「わたしならば、このような発問をする。なぜなら・・・」「いやいや、その問い方ではなくて・・・」などと代案を出す人もいるだろう。
このように発問のよしあしを分析し、検討していくことはそれなりに意義のあることではある。
しかし、忘れてはならないことは、その発問が子どもたちにとって有効でなかった要因は、発問自体にあるとは限らないということである。
「バスの運転手さんはどこを見ていますか?」という有田和正氏の有名な発問がある。「バスの運転手さんは、どのような仕事をしていますか?」という発問と比較して、具体的で分かりやすい発問である。
この発問のみクローズアップされることがあるが、この発問の前には「バスのタイヤの数」「子どもが飛び出してきた時のこと」「交差点の真ん中で信号機が黄色になったときのこと」などについて、有田氏は、発問したり、説明したりしているのである。
その発問に至るまでの説明や指示、補助発問などの指導言が、子どもたちの理解を深めたり、広げたりできていたかを吟味することになく、発問の代案ばかりいくら考えたとしても、明日につながる授業改善にはならない。
主発問のもとになる「説明」「指示」「補助発問」と主発問自体をセットで考えることが大切である。